バギー:あなたしか
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「船長、台風が接近しています。早めにどこかの港に船をつけるのが良いかと思われます」
始まりはそんな航海士の言葉だった。
それほど先を急ぐこともないと思い、すぐさまここから一番近い港へと船を進め、台風が通り過ぎるのを待つことにした。
港についた時はまだ空は静かで、人が賑わいあっていた。
しかし、船を降り、港を通り抜けて街の奥へと向かうと、そこに隙間なく並ぶ店にはまだ明かりがついていない。
いっぱい引っ掛けたい気分ではあったが仕方ない、船に戻ろう。
そう思って船に戻ろうと来た道を引き返していくと、ひとりの若い女がそこの角を曲がっていくのが見えた。
一瞬しか姿は見えなかったが、綺麗な青いドレスを来た、どこか見覚えのある女だった。
どこか懐かしい雰囲気に包まれた彼女を放ってはおけず、女が曲がったその角をのぞき込んだ。
そこにはもう道はなく、代わりに1件のバーが静かに立っていた。
こじんまりとした店。看板の下にぶら下がる「Open」の文字には、まだ明かりがついていない。
もう日も暗くなってきた、しばらくここで待っていれば開くかもしれない。
そうは思ったがやはり女の正体が気になる。いつ開くかもわからないのにここで時間を持て余していても仕方がない。
ゆっくりと店の前まで行き、ドアノブに手をかけてゆっくりとその扉を開いた。
「ごめんなさい、まだ準備中なんです」
そう言い終わると同時に、女の目と、バギーの目が合う。女の目はみるみる開かれていき、信じられないという表情で手で口を覆った。
もちろんバギーも、見覚えがあるとは思ったもののかつて自分が愛した女がこの街にいると思わず何を話せばいいのかわからなくなり、よう、と一言だけ発し、その後はただ沈黙が続いた。