あいつと出会ったのは、何気なく立ち寄った港町だった。

酒場で隣同士になり、ログが貯まるまでの数日間毎日その酒場に通い、話題が尽きるほど話をした。そうしているうちに気に入ってしまい、船へ歓迎してしまったのだ。

俺の船、ビックトップ号に連れてきてやった時は、こんなに派手で大きな船は見たことがないと、目を輝かせていた。


そしていつの間にか恋に落ちていた。

毎晩愛し合った。


今まで、愛した女には逃げられ、裏切られ続けた俺にとっては、本気で愛し、愛された女はアイツが初めてだった。

だがあいつは俺からすれば小娘で、いい歳した俺がどんな風に愛してやればいいのかわからず、行きつけの酒場でいろんな若い女に相談し続けていた。

アイツがその姿を見ているとは知らずに。

ある日船に帰ると、アイツが悲しそうな顔をして立っていた。

「バギーは私のこと、どう思ってるの？」


誤解だ、と言っても今のお前じゃ信用してくれそうにねぇからただ、

「わかった、もうしねぇ、おめぇだけを見てる」

そう言えば、もう離さないでと抱きついてきて。

俺はお前を離した覚えなんてねぇよ？

俺はただ、お前ともっと密接な関係になりたくて、お前を安心させてやれるような男になりたかっただけなんだと言っても、やっぱりわかってくれねぇんだろうな、お前は。

アイツが寝静まったことを確認して、このモヤモヤとした気持ちを晴らすために一人酒場へと足を運ぶ。

この鬱憤を晴らしたい、と酒を飲み続けた。よく相談に乗ってくれている若い女は、ただひたすら俺の話を聞いてくれた。

気づけば朝で、隣にはその女がが寝ていて。

いつの間にか場所も、ベッドの上で。

土砂降りの雨の中、急いで船に戻ってアイツを探したが、既に姿はなかった。

酔った勢いとはいえ、朝まで帰らないとなれば、敏感になっているアイツはすぐに察するだろう。

カバジやモージに聞いても二人とも首を振るだけで、見張りのクルーさえアイツが出ていったのを知らなかった。


やっぱりこんな俺と小娘のアイツじゃ本物の愛は成り立たない。そう悟った俺は、船を出した。

また別の男を見つけて、幸せになって欲しいと願いながら。