短編(FFシリーズ)
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第一印象は、まさに【仔犬】だった。
無視をしても、めげずに話しかけてくる。
任務中だろうがお構いなしに。
こいつの直属の上司に文句を言っても、苦笑されるだけで毎回終わる。それどころか『アイツと仲良くしてやってくれ』とまで言われた。
「なあー、ナマエ。」
「……………。」
「無視すんなって。」
「……任務中だ。」
「分かってるって!だから、少しだけ──」
その瞬間に撃ち込まれる弾薬の雨。
金属にあたり、火花が頭上から降り注ぐ。
隣を見れば、肌に当たったのか騒いで頭を振る。
その仕草が水を浴びた仔犬そのものだった。
「さすがは仔犬のザックス…だな。」
「んなっ!?ナマエまで言うのかよ!!」
「ほら、無駄口を叩くな。──私が隙を作る。あとは、分かるな?」
「──!!りょーかいっ!!」
胸ポケットから、小さな鏡を取り出して、敵を確認する。……八人、か。
刀を構え、物陰から走り出す。
「来たぞ!!狙え!!」
銃口の照準が全て私に向けられる。
……これでいい。
「貴様ら、どこを狙っている!!この木偶の坊どもめ!」
「んだとぉ…っ!!殺せえ!!」
安い挑発にまんまと乗ってくれるのは有り難い。
サンダーを連続で放てば、数人が痺れてその場にうずくまるその隙にとどめを刺す。
濡れる刀を振るう。まるで汚れが付いたものを振り払うように───
「ザックス!!」
「おう!!」
「なっ!??」
ザックスが敵を斬り伏せる。
それに合わせてファイガを放つ。
燃えて跡形も無く、消し炭になる“人だったもの”を見てもなんの感情も湧かなくなってしまった。
“敵”……その一言で、情けもなく片付けられてしまう。それが、戦場だから。
「うっし!ナイス連携!」
「そうだな───っ…?」
刀をしまい、淡々と返事を返せば、いきなり肩を抱かれた。
なんだと思い、その顔を見上げれば、どことなく泣きそうな表情をしているザックスが、私を見ていた。
それが少しだけおかしくて、目を細めて笑った。
「どうした、ザックス。そんな表情をするなんて、お前らしくもない。」
「………ナマエだって、泣きそうな顔してんぞ。つか、泣いてる。」
「え───」
そう言われて自分の頬に手を当てた。
触れた手のひらに、確かに濡れた後が残る。
「……泣いて、いるのか…?」
「泣いてんだよ……。」
それを認識してしまえば、とめどなく涙が溢れて止まらなかった。スーツの袖で拭っても拭っても、止まらない。
「ナマエ、無理に止めようとすんなよ。」
「…っ、しかし…!」
「……敵は制圧完了。誰もいないから、泣けよ。」
ぐ…っ、と私の肩を掴む力が強くなった。
痛いくらいなのに、何故かそれが嬉しかった……。
「……、仔犬の、くせに…。」
「仔犬でもなんでもいいさ。……ナマエ、俺たちは“人間”だ。……これからも人を大勢殺すかも知れねえけどよ…。俺たち、“心”まで捨てないでいようぜ…。」
その言葉は、“人を殺すことに慣れてしまった”自分自身に言っているようだった。
それでもその言葉が、心を少しだけ軽くしてくれたような気がした。
「そう、だな…。私たちは、人間だ…。」
「そうだよ。人間なんだ。だから、忘れないで生きていこうぜ。」
「ああ…。ザックス、ありがとう。」
「いいってことよ。───じゃあ、帰ろうぜ?」
「ああ、そうだな。」
端末を取り出して、任務完了の報告。
そして帰還のヘリの要請。
ヘリが来るまでの間、ザックスの胸を借りた。
生きている。私たちは生きているんだ…。
このぬくもりが、何よりもその証拠だった。
「……やっぱり、お前は仔犬だよ。ザックス。」
「はいはい、仔犬ですよ。俺は。」
「……ふふっ。」
「あ。ナマエが笑ったの初めて見たかも。」
「……煩い。」
消した命を、忘れないで生きていく。
それが、命を奪った者の責務だから───
fin.
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後書き(08.05.22)
唐突シリーズです。
なんとなくザックス夢が書きたくなりまして…。
基本的に相手がいるキャラは余り書かないのですが、友情夢ならいけるかなーと。
今回、お試しで書いてみました。
次は恋愛系も挑戦したいと思います!
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