短編(FFシリーズ)
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「副社長、触らないでください。任務中です。」
「ふたりきりだ。別にいいだろう?」
私の腰に触れる手を払い除けても、また触れてくる。
それの繰り返し。
「……副社長。もう一度言います。任務中ですので、触らないでいただきたいです。」
「俺とお前の仲だろう?良いじゃないか。」
「だーかーらー!!!触んなって言ってんの!!分かる!??今!仕事中!私はアンタの護衛してんの!!馬鹿なの!?あと、ふたりっきりじゃないし!!」
頭にきて高級そうなソファで寛いで座っているルーファウスの胸倉を掴んで怒鳴った。
それなのにこの男は、楽しそうに笑ってやがる。
「はっはっは!やはりお前はそうでないとな、ナマエ。」
「笑ってんじゃないわよ!!バカルーファウス!!」
「……ナマエ。」
「ツォンさん!!私帰ります!!このバカの護衛なんてもうウンザリですっ!!」
揺さぶっても、楽しそうにしているだけのバカから手を離して、上司であるツォンさんに詰め寄った。
ミッドガルから離れて、平和に!快適に!家庭菜園しつつ充実した暮らしをしていた私を無理やり連れ去り、神羅カンパニーに勝手に入社させて、専属秘書になれとか言ってきたのを断ったら、強制的にタークスに異動させられなきゃいけないのよ!!
「……ナマエ、いくら君が副社長と幼馴染だからといって、その言葉遣いはどうにか出来ないのか…。」
「無理です!!こんなバカに敬語なんか使う必要が無くなりました!!」
「ナマエ。さっきから馬鹿と何度も連呼するんじゃない。さすがの俺でも傷つくぞ?」
「アンタが傷つこうがしったこっちゃないわよ!!この人攫い!てか、神経が図太いアンタが傷つく訳ないじゃない!!アホか!!」
そう……。とてつもなく嫌なことに、私とルーファウスは幼馴染なのだ。私の家は平々凡々の一般家庭。むしろどちらかと言うと貧しい方だ。ギリギリ、両親はプレートの上で生活が出来る程度の稼ぎ。
別に私も特別に頭が良いとか、超絶美人とかそういうわけではない。
ただ、子どもの頃にルーファウスが家を飛び出して、迷子になっていたのを私が拾って公園で遊んで、そのまま家に連れ帰ったのがキッカケだった。
「なんだ、これ。こんな残飯がお前の夕食なのか?」
その言葉を聞いた私はルーファウスにガチギレして、顔面を思いっきり真正面から殴った。当時、私の両親は必死に働いていて帰って来るのは、早くて深夜、遅いと太陽が昇り始めたくらいの時が多かった。だから、いつもひとりで夕飯を食べて、お風呂に入ってひとりで寝ていることが多かった。
それでも母が忙しい合間を縫って、私の為に作ってくれた食事を『残飯』と言い放ったルーファウスに本気でキレた。マジでキレた。
「あたしのお母さんが、あたしのことを思って作ってくれたご飯をバカにするな!!お前なんかだいっきらいだ!!どっかいけ!!」
泣いて、殴って、叫んだ。
ボロボロ泣いて、ルーファウスの表情は分からなかった。だけど、小さな声で『……悪かった。』と言う言葉が聞こえて、ルーファウスが家を出て行った音がした。
その日から数週間経った時のことだった。
ルーファウスがプレジデント神羅の息子だと知ったのは。
まさかのルーファウスがプレジデントと共に我が家に来て謝罪をしたのだ。
「愚息がお宅の娘さんと母君を侮辱してしまったと。その謝罪に来たのだが…。」
プレジデント神羅の突然の訪問に、両親は顔を真っ青にして対応していた。
当時、『このおじさん、誰?』状態の私は、階段の柱の陰から、ルーファウスとプレジデントをめちゃくちゃ睨んでいた。それを見て慌てた父が私の腕を引っ張り出し、前へと出した。
「ほ、ほら!!ナマエ!ご挨拶しなさいっ…!」
「やだ。あたし、このクソガキ嫌い。」
「ナマエ…っ!??」
ふんっ!と、そっぽを向いて悪態をついた。その態度が気に入らなかった父は手をあげようとした。
叩かれる。そう思っていたけど痛みはいつまで待っても来なかった。そろり、と目を開ければプレジデントが父の手を掴んで止めていた。
「元はと言えば、私の愚息の発言が原因だ。彼女を叱るのは間違っている。」
「し、しかし…っ!」
「ルーファウスよ。彼女にしっかりと謝るんだ。」
プレジデントの言葉に促されるように、ルーファウスは一歩前に出て、真っ直ぐに私を見てきた。
「……あの時は、僕が悪かった。……許してくれるなら、僕と……友達に、なって……ください…。」
最後の方は、声が段々と小さくなっていったけど、聞こえた言葉を受け止めた。
「………いいよ、許してあげる。でも、またあたしのお母さんのこと悪く言ったら、ゆるさないから。」
そう言って、手を差し出した。
ルーファウスは、自分の手をじ…っと見つめて、私の手を取って握った。
それは子どもなりの和解だった。
後々聞いた話によると、私はどうやらプレジデントに気に入られたらしく『これに懲りず、愚息と仲良くしてやってくれ』と言われた。多分だけど、真正面からルーファウスに文句を言う人間が私が初めてだったみたいで。
それからというもの、ルーファウスが頻繁に家に遊びに来る事が多くなった。そして、プレジデントの計らいか、両親が神羅カンパニー関連の会社に勤めることになり、我が家は豊かになり、今まで以上に共に過ごす時間が増えた。
そして私が社会人になる時、就職先がジュノンに決まった。
両親と離れて暮らすことは、正直寂しかった。
でも、それ以上に自分が目指していた職につけたことが何よりも嬉しかった。
それなのに───。
「どこぞのバカ息子がワガママを言うもんだから、平和な日常がいっぺんに崩れ去ったわ…。」
「ナマエ。心の声がダダ漏れだぞ?」
「アンタに聞こえるように言ってんのよ!!このバカ息子!」
「別にいいだろう?お前は俺の妻になるんだ。働かなくて済む。親父も許可しているぞ。」
「……は??」
寝耳に水、とはこの事を指し示すのだろうか。
「誰が?誰と結婚?誰が許可してるって??」
「お前が、俺の、嫁になるんだ。親父も許可している。それから、お前の両親もな。」
「はあぁぁぁ?!!!」
今日イチの声が出た。
いやいやいやいや!!!なんで私がルーファウスと結婚しなきゃいけないわけ!??コイツ、あっちこっちに女いるのに!??
「待って!!私の両親が許可って……それ、本気で言ってんの??」
「ああ。先日、お前の実家に結婚の挨拶をしに行った。お父上も母君も、涙を流しながら喜んでいたぞ?」
「待て待て待て。結婚する相手を抜かして、両親に挨拶に行く馬鹿がどこにいる??」
「ふむ。私だな?」
頭が、痛い…。
頭を押さえながら、よろけると『大丈夫か?ここに座ると良い。』と自分の膝を叩く馬鹿がいた。
「………本気で辞めたい……。」
「では、俺に永久就職だな。」
「誰か助けてよおおおおっ!!」
この世界中を逃げ回っても、延々と追いかけられる未来しか見えなくて絶望した…。
「はっ!!ツォンさん!!私と結婚しませんか!?」
「ナマエ。私はまだ死にたくないのでな。遠慮しておく。」
「ひとでなししかいないの!?この会社っ!!!」
next…?
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後書き(08.05.12)
ルーファウス夢(?)でした。
なんとなく思いつきで書きました。
騒がしい夢主のお話をあまり書いてないので、ちょっと叫ぶ夢主にしてみました。
ノリと勢いで書いたので、続くかは分かりませんが一応…ね?(何)
