短編(FFX)
ナマエ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ…ナマエ。」
「────っ…。」
「ご、ごめん…邪魔するつもりじゃなかったんだ……。…っごめんなさい…っ!」
ずっと好きだった人が、友達とキスをしていた。
私、ちゃんと笑えてごめんねって言えたかな…。
ふたりを見ていたくなくて、広い広いナギ平原を走って、走って逃げた。
「あれ、おかしいなぁ…。なん、で…涙、止まらないかなぁ…。」
ぽろぽろ涙が溢れてとまらない。
この世界に来たのは、彼の事を助けてあげて欲しいってお願いされて。でも、もう彼は心の支えを…私じゃない子を手にしていて…。
「あはは…。私って何の為にこの世界に来たの?…これじゃあいらない子じゃない…っ。」
この世界で死ねば元の世界に帰れる?それともどちらの世界でも私の命は終わるのかな…。
なんて考えが頭の中を占領していく。
「ジェクトさん、ごめんね。私、ジェクトさんとの約束守れなかった…。……うん、アーロンはもう大丈夫。素敵な女の子と巡り会えたから。」
ナギ平原の断崖絶壁。そこから見える海に独り言を紡げば風に吸い込まれ消えていった。
『シン』の咆哮がナギ平原に轟く。
海から『シン』が現れナマエの前に静かに佇む。
「ジェクトさん、来てくれたんだ…。ごめんね。私、ダメな子だ…。ジェクトさんとの約束も守れない、誰の役にも立たない…ダメな子。」
笑顔で涙を零しながら『シン』に語り掛ける。
『シン』は何も言わない。動かない。ただ少女の悲しみに溢れる言葉を静かに聞いているかのように。
「──────ナマエ!!」
名前を呼ばれて振り向けば、彼が、仲間たちがいた。
零れる涙を拭い、なにも、何もなかったかのように笑顔を、言葉を贈る──────
「さよなら」
その言葉が合図だったかの様に『シン』が再び咆哮を上げひとりの少女を跡形もなく飲み込み海へと帰っていく。
「──────!!」
誰かが名前を叫んだ。
「『シン』が現れるなんて…!」
「────くっ…ナマエ…!」
「アーロン、誰だよ。ナマエって…。さっきの女の子か?」
ナマエ。確かにそう、口にした。
その名前を呼べば照れたように、はにかんだ笑顔が浮かぶのに。泣いている、怒っている、その表情も知っている。
なのに、頭に靄が掛かったように顔が思い出せない。
「──────…?」
「おっちゃん、大丈夫…?」
ぎゅっと不安そうに俺の手を握る緑の瞳の少女。
その不安を取り除いてやる為に手を握り返す。
「おっちゃん…泣いてるの?」
「───な、に……?」
ただひとつ残った目から涙が零れ落ちた。
悲しい事などない。しかし心に大きな穴が空いた様な虚しさが押し寄せ涙が止まらない。
「…何故だ…?何故…。」
「アーロン…!」
リュックが俺の名前を呼び抱きしめる。
─────アーロン
お前は誰だ…。何故…
─────ねえ、アーロン
何故、愛おしそうに俺の名前を呼ぶ…。
──私、さよならってあんまり言いたくないんだ。もう二度と逢えないみたいじゃない?
だから、すれ違うだけの出逢いでも笑顔で『またね』って言うの。そしたら、寂しくないでしょ?
いつかまた逢える気がするんだ。おかしいかな?
何故、お前は笑顔で『さよなら』と言った?
「…くっ…!」
押し寄せる虚しさが悲しみが胸を締め付ける。
息が出来ない、俺はなにを──────
「アーロン!アーロン!どしたの!ねえってば!」
───違う…。この声じゃない…
…違う、違う違う違う!!
「…っ…お前ではない!!!」
「っ…!」
「────お前は一体、誰なんだ…。」
fin.
─────────────────────────────
後書き(07.07.25)
悲恋夢は書かないとか言っておきながら書く人。
ナマエ→アーロン←リュック
で、アーロンはナマエの好意は分かってるし、リュックからの好意も分かってる。
どっち付かずって言うよりは心はナマエに寄っていたアーロンだったのに、アーロンがちょっとグラついたところをリュックが掻っ攫っていって、アーロンは責任を取ってくっついた感じを想像してくだせぇ…。
…何かきっかけがあってナマエの事を思い出してギャン泣きするアーロン夢書きたいな←
