短編(FFX)
ナマエ
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“永遠のナギ節”
『シン』を……その核となるエボン=ジュを倒してスピラは平和になった。もう怯えて眠る必要もない。
ビサイドに戻り、村のおじいさんやおばあさんたちと話す日々…。そんな平和な日常を送っていたある日のことだった。
夢を見た。わたしはどうしてか、子どもの頃に父さんと住んでいたベベルの家にいた。懐かしくて家の中を歩き回ればそこには、アーロンさんとジェクトさんに、父さん。
───そして、キミがいた。
みんながわたしを見て、笑って褒めてくれた。
『頑張ったな』『凄かったぞ!』『さすがユウナだ』って…。
アーロンさんも、ジェクトさんも父さんも、子どもの時にしてくれたように頭を撫でてくれた。
大きくて、強くて、優しい手……。
嬉しかった。
わたし、頑張って良かったって。
みんなと一緒に頑張って、やってきて良かったって……。
こぼれる涙を隠すように下を向いた。
涙が鼻の頭から床に落ちて弾ける。
顔を、上げなきゃ…。
笑顔で『ありがとう』って伝えなきゃ……。
そう思って、顔を上げた。
誰も、いない。
優しい笑顔をくれた人たちが。
思い出のたくさん詰まった家さえも……。
真っ暗闇。
父さんたちや、キミの名前を叫んでも返事はない。
自分がどこへ向かって歩いているのかも分からない。
不安で押しつぶされそうになる……。
暗闇の中を走った。
何度も、何度も叫んだ。
でも、いくら叫んでも返事は返ってこない。
涙があふれていく……。
怖くて、寂しくて……。
「……ひとりは、いや……っ」
涙が止まらなくて、気付けば足元が涙の海になっていた。
息が出来なくて、苦しくて、もがいた。
このまま、わたし、死んじゃうのかな……。
そう思った時、誰かに手を思い切り引っ張られた。
《大丈夫だよ》
《ユウナは『シン』を倒したすごい召喚士だろ?》
《みんながユウナを待ってるッスよ》
みんな……?
でも───
「そこには、キミがいないじゃない……っ!」
《そう、だな。だけどいつか───》
声が遠くなっていく。
キミの声が、波にさらわれていってしまう……。
「───っ……!」
意識が一気に浮上した。
見慣れた、寺院の部屋。
起き上がり部屋の中を見渡した。
「夢……終わった……?」
早鐘を打つ胸を押さえた。
落ち着かせるように……。
『だけどいつか───』
「……夢になんか、したくないよ……っ!」
確かにキミは居たんだよ?
確かにわたしの前に居て、わたしを見て、わたしと笑って───
キスをしてくれたんだよ……。
もしも、キミの言う“いつか”があるなら……。
わたしは決して、それを離さない。
見逃さない。絶対に。
こぼれる涙を強く拭った。
キミが信じた“無限の可能性”。
わたしも、夢のキミが最後まで伝えようとしてくれた言葉を、信じる。
「ユウナ。リュックがお前になんか見せたいものがあるって慌ててるぞ?」
「うん。……今行くね。」
───だから、その時まで待ってて。わたしは必ずキミに会いに行くから。
fin.
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後書き(08.06.29)
本編終了後から映像特典“永遠のナギ節”の前までのお話を書いてみました。
「こんなことがあってもいいよね」と…。
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