短編(FFX)
ナマエ
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みんなが寝静まった夜更け。
少し蒸し暑くて眠気が来なかった私は窓から見える月を眺めていた。すると、部屋のドアが叩かれた。小さく、控えめに。
「はい?」
ベッドから降りてドアを開けて外を確認した。誰もいない…?…幽霊…?でも、何も感じない…。
「…おい。」
子どもの声がした。でも、見当たらない。
そもそも飛空艇には子どもは乗っていないはず…。
「ナマエ。下だ…。」
「下…?え…キミ、だあれ?」
“下”と言われて下を向けば不機嫌な顔をした、多分5歳くらいの男の子…。それに、私の名前を知ってる…。しゃがんで目線を合わせると男の子はぷいっ!と恥ずかしそうに顔を背けた。
「“だあれ?”じゃない…。顔を見れば分かるだろう…っ。」
「え…?───もしかして、アーロン…?」
じ…っと、男の子の顔を見た。右眼に大きな傷跡…。
「…やっと分かったか。」
「え?アーロン…なんで、子どもになってるの?」
私がそう聞いたのと同時に私の部屋へと勝手に入ってくアーロン。……いや、別に良いんだけど…。
「旅行公司のオーナーから渡された物を飲んだらこうなった。」
「…リンさんから貰ったもの?」
「あぁ。疲労回復に効果抜群だと言われてな。試しに飲んで欲しいと頼まれた。」
「そしたら、子どもになっちゃった、と…?」
「あぁ…。」
さっきまで私がゴロゴロしていたベッドの上に座りながら愚痴をこぼすアーロン。その隣に私も腰掛けた。
……可愛い。
「…でも、どうして私の所に来たの?」
「…他の奴らに見られたくないからな…。」
それは“私になら見せても良い”っていう風にとれますけど…。
「…とりあえず、寝る?夜中だし…。」
「…そうだな。この身体のせいか…眠気が強い…。」
「というか…。アーロン、いつもの赤い服は?」
アーロンはいつもの赤い服を纏っていなかった。
白いバスタオルをマントみたいにしている。
「…全て、脱げた。」
「え…じゃあ、今……。」
「ああ…。全裸だ。」
爆弾を落とされた気分になった。
……いくらバスタオルをマントみたいにしてるって言ったって…。普通全裸で女の子の部屋に来ないでしょ…。
いや、身体が子どもに戻ったのを見られたくないって言ってたしなぁ…。
うん。ここはお姉さんになったつもりで許しましょう。
「…全裸は如何なものかと思うので…。これ、着て。」
アーロンに手渡したのは、私の服の換え。
女性物だけど今のアーロンにしたらピッタリだと思う。
少し嫌そうな顔をしたけど背に腹はかえられない…みたいな表情で袖を通していった。
「…ふむ。」
「はーい、寝るよアーロン。」
「ああ。」
ひとつのベッドをふたりで使う。
やっぱりちょっと狭くて、ピッタリとくっついてしまう。アーロンは申し訳ないのか身体を離そうとしてくれるけど、ベッドから落ち掛けている。
「アーロン。もっとこっちおいでよ。」
「……しかし…。」
「いいから。落ちたら危ないから。ほら…。」
アーロンの腕を掴んで腕枕をする形にして抱きしめた。
「……私、弟か妹…。欲しかったんだよねぇ…。」
「…………。」
「…ふふっ、アーロン、あったかいね。」
“子どもの体温って高いんだって”なんて揶揄うように言ったけど、アーロンは静かに“そうか…”とだけ返してきた。
「おやすみ、アーロン…。」
「ああ…。」
アーロンもぎこちなく抱き付いてきた。
子どものアーロンは身体がぽかぽかして、子ども体温。
ふたりで体温を分け合ってうとうとし始めた。
その時、アーロンが私の胸に擦り寄ってきた。
……可愛い。
アーロンの髪を指で梳きながら、頭を撫でるともっとくっついた。
大人のアーロンも素敵だけど、子どものアーロンは可愛いからぎゅう…ってしたくなっちゃうな…。なんて思った。
アーロンの頭にひとつ口付けを落として私も眠った。
***
「んうー…っ…。」
朝。窓から入る光で目覚めた。
身体を軽く伸ばす。
「…起きたか。」
私より高い位置から低い声が降ってきた。
それと頭を撫でられてる。
「ん、アーロン、おはよう。」
そう、返事を返した。
……あれ、アーロンの声…元に戻ってる…?
昨日、夜中に聞いた声は子ども独特の高い声だったけど…。
ぱちり、と目を開けた。
そこには上体を起こして、私を見下ろしているアーロンがいた。
みちいっ…と音がしそうな感じで、私の服を着ている…。
「服…っ!服伸びる!アーロン!脱いで…!」
「む…。」
慌てて起き上がり、少し嫌そうな声が一瞬聞こえたけど、そんなのに構ってられない。この服、お気に入りなんだよ…っ!そう思って、アーロンに着せていた服に手をかけて脱がした。
「うー…ちょっと伸びた…。」
「……。」
少し伸びた服を見て肩を落としているとため息が聞こえてきた。ちらりとそちらに目を向けると、上半身裸のアーロンが私をじ…っと見ていた。
わあ…綺麗な筋肉…だなんて呑気に考えてしまった。
「………。」
「………。」
しばし、互いに無言。
先に口を開いたのはアーロンだった。
「さすがに服を脱がされると寒いな。」
「……っ!???」
『……ああ。全裸だ。』
夜中に訪れたアーロンが言っていた言葉を思い出した。
自分でも顔が赤くなっていくのが分かるほど、顔が熱い。
「あ、あの…えっと…。」
「…このまま、また抱き合って温めてくれても構わんぞ?」
「…っ!!わ、私、アーロンの服取ってくる…っ!」
私が動いてシーツがずれた。アーロンの太腿の付け根が見えそうになった時、慌てて目線を逸らしてベッドから降りてアーロンの部屋に向かった。
部屋を出る時にアーロンがクスクス笑ってるのが聞こえたけど怒る気になれなかった。
それどころじゃなかった…。
***
アーロンの服を手にして自分の部屋に戻る時に、リンさんと会った。
「リンさん!アーロンに変な物あげないで下さいっ!」
「変な物…?ああ、アレですか。アレはリュックさんと共同開発したんですよ。効き目はありましたか?」
「…あり過ぎて困りますっ!」
そう言って逃げるように部屋へと戻ってアーロンに服を渡した。
「…もう、変なの飲んじゃダメだからねっ!」
「そうか?昨夜のお前は満足そうにしていたがな?」
笑って答えるアーロンに昨日の自分を恥じた。
「アーロンのばかっ!」
そう悪態をつくのが精一杯の抵抗だった。
…だけど、小さな子どもになったアーロンは可愛いなと、もっと甘やかしたくなったのは内緒にした。
fin.
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後書き(07.12.04)
思いつきで書きました(またか)
次は現代パロで完全幼児化したアーロン(とジェクト)を書きたいです…。(スランプ気味)
