短編(FFX)
ナマエ
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───11月11日。それはスピラにとっては何ら変わらない日常……。
少し小腹が空いた。そして甘い物が食べたい…。
そう思って飛空艇内のリンさんのお店にやってきた。
「いらっしゃいませ、ナマエさん。」
「リンさん、こんにちは。」
「本日はいかがされましたか?」
「ちょっと小腹が空いたのと、甘い物が食べたくて来ちゃいました。」
「そうでしたか。こちらのドライフルーツなどは如何ですか?」
リンさんがドライフルーツの試食を一欠片くれた。ビサイド産のものだそうで、程よい甘味と酸味がとても美味しかった。
「リンさんは商売上手ですね…………あれ?」
試食したドライフルーツを手に取ってリンさんと話している時に、隅っこにある箱が目に入った。どこかで見た事のある、赤い箱。それを手に取ってリンさんに見せた。
「あの、リンさん。これって…。」
「おや?見た事のない品物ですね…。紛れてしまったのでしょうか…?見た事のない物ですし、安全かも分かりません。こちらは処分しますね。」
「あ!それ買います!多分大丈夫だから…!」
「しかし…。」
リンさんが渋る。
商売人として商品に不備があった時の事を考えたら分からなくないでもない。でも、“それ”見てしまったらどうしても食べたかった。
「お腹痛くなってもリンさんのせいにしないから…っ。お願いしますっ!」
「……わかりました。」
必死に頼む私にリンさんが根負けした。
赤色の箱とドライフルーツを買って自分の部屋に小走りで戻る。
「ふんふ〜ん♪」
上機嫌になり買った物を抱えてスキップしながら鼻歌も歌ってしまう。だって、ねえ?
「ポッ◯ー、ポッ◯ー♪」
まさかスピラでポッ◯ーに出会えるとは思わなかった。
箱を手に取って見ると、日本語で色々表記されている。完全に私の世界の物だというのが分かる。
賞味期限も切れてない。全然大丈夫。
「どこで食べようかなー?────あっ!」
どこで食べよう。まるでピクニック気分で考えていると前方を見知った赤色が歩いていた。
「アーロンー!」
「なんだ、騒々しい。」
「あらら…。今日はちょっとご機嫌斜め?」
アーロンに声を掛けながら駆け寄ると、いつもより眉間に皺が寄っていた。聞けば朝からティーダの剣の鍛錬に付き合わされた…との事。
「じゃあー…。ちょっと一息、休憩しよ?」
そう言ってアーロンの返事も聞かずに手を引っ張って甲板を目指した。後ろからため息が聞こえたけど手は離されずに繋いだままだった。
「到着ー!はい!アーロン、座って座って!」
アーロンの腕を引っ張って甲板の上に一緒に座って目を瞑ってもらった。アーロンの顔の前にはポッ◯ーの箱。
「開けていいよっ!」
「──────ポッ◯ー……か?」
「ピンポーン!正解ー!さっきね、リンさんのお店に行ったらあったの!」
「………食えるのか?」
箱を手に取り表と裏を見ているアーロンは訝しげにしている。
「多分大丈夫じゃない?賞味期限まだだし?」
「…そういう問題か…?」
箱を受け取り、ぺりぺりと乾いた音を出しながら箱の封を開けて個包装のひとつを取り出して開けた。
チョコの香りがふわりと漂う。一本取り出してぱくりと食べた。ポリポリといつもの食感と味が口の中で広がる。
「んー…。ん、ポッ◯ーだ。はい、アーロン。」
「…いや、俺は…。」
「あーん。」
「…………。」
「口開けて。あーん。」
にこにこして『食べるまで引き下がりませんけど?』と言わんばかりにアーロンに差し出すと、観念したアーロンが口元を隠している布をずらして食べた。
「…………ポッ◯ー、だな。」
「ねっ!」
ふたりでポリポリと音を立てて食べる。
口にポッ◯ーを咥えて、目を瞑って味わって食べていたら不意に暗くなった。さっきまで雲一つない快晴だったのに───そう思って目を開けたら、口に咥えたポッ◯ーがパキン、と鳴って消えた。
目の前にはアーロンの顔………。
「…へ?」
「俺の分が無くなったからな。食った。」
「〜〜っ!!!」
アーロンの言葉に一気に顔が熱くなる。
言葉にしたいのにうまく出来なくて…。
「……まだ、あるだろう?」
ジリジリと寄ってくるアーロンに追いやられて飛空艇内に戻るドアに背中があたった…。
「あ、あげるから…っ。自分で、食べて…。」
「俺はお前から与えられたいんだが?」
お菓子を持つ手ごと優しく握られ、鼻先が触れる距離…。熱い吐息とチョコの香りが胸をくすぐる…。
「ん…っ。」
「…甘いな。」
「…チョコ、食べたからでしょ…っ…。」
「ナマエ、だからだろうな。」
柔らかく笑って、また甘くて優しいキスが降ってきた…。
「……もう、しばらくポッ◯ーはいいかな…。」
「ふっ…。残念だ。」
私を揶揄う赤に優しく抱きしめられる。
アーロンの香水と、チョコの香りに包まれて目を閉じた。たまには、こういう日もいいかも…。なんて心の中で呟いた。
fin.
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後書き(07.11.11)
アーロン夢でしたー。
仕事中に「今日、ポッキーの日やん。」で思いついたお話でした(仕事して?)
