短編(FFX)
ナマエ
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旅の途中。旅行公司の建物の外、リュックがひとり何かをしている。
アーロンと他愛もない話をしていたナマエはアーロンの手を引き近付き話しかけた。
「リュックー?なにしてるのー?」
「わっ、わっ!!ヤバ!!」
────ボフンっ!!!
軽い爆発音と共に淡いピンク色の煙が風下に居るナマエとアーロンにもろに掛かった。
「ごほっ…!なに、これ…!リュックっ!」
「…くっ…。」
煙に包まれた2人が咽せながら現れる。
「リュック、なにこれ…目にしみる…!」
「…一体、これはなんだ…っ」
「ご、ごめん!ナマエとおっちゃん!ちょっと見た事ないアイテムがあったから調合してみようかなって思ってやってて…。」
「そうなの?…いきなり話しかけてごめんね、怪我、してない?」
「ナマエ、お前はまず自分の心配を…………。」
「どうしたの?アーロン。…て言うか、なんか声おかしい……?」
ナマエが自分の名前を呼びながらアーロンを見て、アーロンが自分の名前を呼びながらナマエを見た。
「「は?」」
互いに自分の姿を見て固まる。
「え、なんで私がいるの…?」
「……どういうことだ。」
「えっとぉ〜、もしかして2人とも中身入れ替わってる系……?」
ナマエがアーロンに、アーロンがナマエに。
とてもややこしい。
「おい、リュック。さっさと元に戻せ。」
「うわ、ナマエって怒るとめちゃくちゃ迫力あるね〜。美人の迫力…ってやつ?」
「リュック…、今は私じゃないよ…。中身アーロンだよ…。」
「あ、やっば…。」
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「なんか、外騒がしいね。」
「オレ、ちょっと見てくるよ」
旅行公司のロビーで話をしていたティーダとユウナ。外がやたらと騒がしい事に気付き外に出る2人。そこで2人が見たものは──────
逃げるリュックを鬼の形相でナマエが追いかけ、そのナマエを追いかける困り顔のアーロン。
「ちょ!!目がマジだって!!ごめんて〜!」
「当たり前だ!さっさと元に戻せと言っている!」
「ふたりとも待ってって!ストップストップ!!……きゃあ!!」
アーロンが渋い声で『きゃあ』と可愛い悲鳴をあげ転んだ。全く可愛い要素はない。
それを見たナマエが振り返りアーロンに近づいて行く。
「いたた…。」
「おい、俺の身体で勝手に転ぶな。」
「無理に決まってるでしょ!今、片目見えてないんだよ!まだ受け身とっただけマシだと思ってよ!」
ナマエが腕を組み不機嫌な顔でアーロンを見下ろし、アーロンはしゃがんだまま膨れた顔でナマエを見上げる。
その状況に頭がついていかないティーダとユウナ。そこにナマエから逃げたリュックが2人に説明をした。
「……とりあえずリュックが悪いんだな!」
「ナマエとアーロンさん、大変そう…。」
「ごめんて〜!ワザとじゃないんだよ〜!」
おおよその状況を理解したティーダとユウナ。
腕を組み眉間に皺を寄せリュックを睨み続けるナマエ──もといアーロン。
一方で苦笑いをしているアーロン──もといナマエ。
「ティーダとユウナ。私たちが説明するとワッカたち混乱しちゃうと思うから、ちょっと他のみんなに説明をお願いしてもいいかな?」
首を傾げてお願いをしてくるアーロン。
「……ぷ、……くくくっ……ちょっとタンマ!!無理!笑っちゃうって!!」
「な!なんで笑うのよ!」
「笑うなって方が無理だって!!アーロンが……!中身はナマエだって分かってるけど、アーロンが可愛く、お願いしてくるのって……ふはっ……あはははは!!っ痛ってえええ!!!!!」
ナマエがティーダの腰に思い切り蹴りを入れる。
「なにすんだよ!ナマエ……じゃなかった、アーロン!!」
「…なんだ、蹴り一発じゃ足りんか…?」
「…アーロン、私の身体で暴力振るわないでよ…。」
「ふん……。お前も俺の身体でそんな口調で話すのはやめてもらいたいものだがな。」
ナマエはそう言うと1人でさっさと旅行公司の中へと戻って行ってしまった。残された4人はとりあえず、まだこの状況を知らない仲間に説明をする為に宿の中へと戻った──────。
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「あら、あんた達戻ってきたの?ちょっとナマエの様子がヘンなんだけど、熱でもあるのかしら?」
ルールーに抱きしめられ、胸に顔が埋められているナマエが耳まで真っ赤になって固まっている。
「「「「あ。」」」」」
綺麗に4人の声が重なった。
アーロンが咳払いをしてナマエに近付く。
「……ん゛んっ…あー…。俺が部屋まで連れて行こう。リュック、説明をしたら皆を部屋まで連れてきてくれ。」
「あ、あいよー…。」
アーロンがいまだ固まったナマエを横抱きにして部屋へと戻る。
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とりあえず女子の部屋にアーロンとナマエは入り、ナマエが使っているベッドにナマエを座らせ自分は床に膝をつく形でしゃがみ向かい合う。
「アーロン、大丈夫?」
「…っ…お前はいつもああいう事をしているのか……?」
“ああいう事”とは恐らくルールーの胸に顔を埋めていた事だろう。女同士ならなんとも無いだろうが今のナマエの中身はアーロンで男性だ。
「いつもって…のは違うけど、ちょっと元気ない時とか女の子メンバーにぎゅーってしてもらってはいるけど…。」
「そ、そうか…。」
「アーロン、男の人だからあんまり同性でギューってしたりしないかぁ。」
男同士で抱きしめ合うなど…、想像したくなどないと、頭を振るナマエ。
──────コンコンっ
部屋の扉がノックされる。恐らく説明が終わってみんなが来たのだろう。
アーロンの口調を真似て、出来る限り柔らかくノックした相手に話しかける。
「…入ってくれ。」
旅の仲間が部屋に入ってきた。
…若干ルールーの顔が赤い。無理もない。抱きしめてたのが年下の女の子ではなく、中身が年上の男性で尊敬しているガードなのだから。
「あ、あの…。」
ルールーが恥ずかしそうに話し始めるのを人差しで口を塞ぎ止めるアーロン。
「!?」
「ルールー、中身が入れ替わってるのは聞いたな?俺はナマエで、こっちはアーロンだ。その、さっきのは多分ナマエに元気がないように見えてしてくれたんだろう?その説明もしてあるから気にしないでくれ。」
「…っ、分かったわ。」
何故か黄色い声をあげるリュックとユウナ。ルールーの顔が先程よりも赤くなってる気がする…と
無意識に眉間に皺を寄せて首を傾げてしまったアーロン。
「リュックとユウナ…どうした?」
「中身、ナマエなのは分かってるんだけど、今のルールーの唇に触れて止めるの、ちょーー色っぽかった!!アレが大人の魅力ってやつ?」
「なんか、大人って感じ、したよね…!」
ルールーは別に悪い事をした訳じゃないから、謝る事は違うからそれで指で塞いだだけなんだけど、きゃあきゃあとリュックとユウナにキラキラした目で見られた。
「アーロン…。アーロンの真似しながら喋るのやめて良い?なんか、ダメな気がしてきた…。」
「ああ…。なんか、すまなかったな…。」
ナマエとアーロン。2人とも頭を抱えて項垂れてしまった。
「とりあえずまだアーロンが喋った方がマシだから、色々決めて…。何か異論があったら言うから…。」
「あ、ああ。」
とんだハプニングで旅が中断されたので、もう一度計画を練りなおす。
「ひとまず、新たにふた部屋借りてそこで俺とナマエは過ごす。いくら中身が俺だと言っても身体は女だ。男部屋に置くのは危険だ。逆も然りで俺の身体も女部屋には置かない。」
「なんだと!おっさんのくせに!」
「なんでよー!おっちゃんのくせに!」
「…お前ら、万が一間違いを犯さんと言えるのか?」
「「ぐぬぬ…。」」
なんでティーダとリュックが悔しがるのかと不思議に思うアーロン。
それ以前に男と女が同室で中身が違っても間違いは起こるんじゃないのかと思ったけど言うのをやめた。
「数日この宿に泊まる。様子を見て戻りそうに無かったら、このまま旅を続ける。…それでいいか?ナマエ」
「大丈夫。異議なし。」
「決まりだな。話し合いは以上だ。」
各々部屋に戻ったりそのまま残ったり。
ナマエとアーロンは宿のロビーに行き受付のスタッフに空き部屋がないか尋ねた。
「申し訳ございません。今現在ご用意出来るのがベッド一つのお部屋のみでしてあとは満室となっております。」
申し訳なさそうに頭を下げる女性スタッフに顔を見合わせるナマエとアーロン。
「す、少し待っててくれ…。」
ナマエの手を引き受付から少し離れた所で小声で話し始める。
「どうする?お部屋ひとつしか無いって」
「…お前はどうしたい。」
「んー…。他のお部屋が空く保証も無いし、今あるお部屋が埋まるのは避けたいから、私はあのお部屋で良いよ。寝る時は私がソファで寝れば問題ないだろうし。」
「…なら、決まりだな。」
「じゃあ、お部屋取ってくるね。」
ナマエに待っててと告げたアーロンが仮押さえしている部屋を借りに受付へと戻る。
……鍵を受け取るだけなのに、なにやら受付の女性スタッフと長々と話をしている。
少し聞き耳を立て会話を聞く。
「…いや、俺は…。」
「一夜だけでも良いんです…っ」
「…そういうのは大事な人の為に取っておくものだと思うが…。」
部屋を借りに行くだけで何故ナンパされているんだ?
はあ…とため息を吐きながら、アーロンに近付こうとした瞬間、肩をぐいっと抱き寄せられた。
いつもの、自分の身体ならよろける事も無いがこの身体は軽過ぎて簡単に相手の意のままにされてしまう。
「っ…!!」
「キミ、可愛いね…。オレと一夜の熱い思い出、作らない?」
「…は?」
見知らぬ男に肩を抱き寄せら顎を持ち上げられたナマエは不快感極まりない顔で睨みつける。
「ふふ…、そんなに睨んでも怖くないよ…。なんて言ったってキミは美しいからね…!」
するりと腰に手を回す男に対し腰に差した刀に手をかけるナマエ。
「…死にたいようだな…。」
受付にいるアーロンがナマエの現状を見て慌て始めた。
「お願いしますっ…」
どうしよう…。このお姉さん全然引き下がらない…。あー…もう、自分の身体、使うかー…。とりあえずあのナンパしてるお兄さんをなんとかしてくるか…。
「…なら、少し待っててくれ。」
「はいっ…!」
アーロンは男に絡まれているナマエの元に向かう。…出来る限り、機嫌が悪い感じを出して…。
「…おい。」
「あ?なんだよ、オッサン。話しかけてくんじゃねーよ。」
ナマエの腰に回された男の手をギリギリと力強く握り剥がしていく。
「俺の連れに何か用か?」
「ぐっ…!!離しやがれ…!!」
パッと手を離すと、掴んでいた手首を痛そうに押さえながらこちらを睨んでくる。
「テメェ…!よくもやりやがったな!」
男がナイフを取り出しアーロンに突進してくる。
ナマエの手を引き自分の後ろへと隠す。
「遅い。」
「…は?」
男は何が起こったのか理解出来ていなかった。
自分が握っていたナイフは手元になく床に落ち、鳩尾に拳がめり込んでいた。
「嫌がる女性に纏わりつくのも、無闇矢鱈に暴力振るうのも男としての価値が下がるぞ。」
「ぐ……っ…」
気絶させた男を宿の男性スタッフに事情を話し引き渡し、ナマエと手を繋いだまま受付へと歩いていった。
「あ、あの……?」
「…あー…、すまないが今夜は先約があってだな…。」
「は?」
アーロンはナマエを後ろから抱きしめるように抱き抱えナマエの耳を甘噛みし、頬に口付けした。
「んっ…!!お前…!」
「申し訳ないが、今夜の相手はもう決まっててな…。また機会があったら誘ってくれ。」
顔を真っ赤にした女性スタッフの頭をぽんぽんと撫でて、その手にしている鍵を受け取り部屋までナマエと手を繋いで消えていった。
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「…なにが『今夜の相手は決まっている』だ!!…しかもお前…!!」
「だってああでもしないとあのお姉さん引き下がんなかったんだもん!」
顔を真っ赤にし耳を抑えたナマエがアーロンを殴る。
「痛い痛い、自分の身体のほっぺにチューしただけじゃん。そこまで怒んなくたって…。」
不貞腐れるアーロン。全てがややこしい。
「耳まで噛む必要性はあるのか!!」
「あー、なんとなくノリ?───痛あぁぁっ!思いっきり殴る事ないじゃない!」
アーロンの答えにナマエが思い切り頭を殴る。
「お前は…!!──────もういい…。俺は寝る。」
「え、寝るの?ならせめてお風呂入ってからにし……あ。あー…お風呂かー…。」
野営の時でも寝る前には必ず水浴びなり湯浴みをするアーロンはそのままベッドへと潜るナマエを抱き抱えたが、ある問題に直面した。
「さて、ここでアーロンに三つの選択肢を与えます。必ずどれか選んでください。
1、ユウナたちと一緒にお風呂に入る。
2、ティーダたちと一緒にお風呂に入る。
3、私と一緒にお風呂に入る。
なお、お風呂に入らないという隠しルートはございませんのでご了承ください。」
はい、選んでーとナマエを後ろから抱き抱えたまま揺れるアーロン。その腕から逃げようともがくナマエだが、がっちりと掴まれてて逃げれなかった。
「揺れるな!ユウナたちと入るのが当たり前だろう!」
「『私』の身体ならね。でも、中身はアーロンでしょ?いいの?ブラスカさんの娘の裸を見る事になるけど。あとリュックとルールーもいるけど。本当に大丈夫?」
「…くっ…!」
かつての仲間の娘の裸体を見るという事を想像してしまったナマエ。
「…では、2…。」
「自分で言うのもなんだけどさ、私、結構胸大きいんだよね。たまにティーダがチラチラ見てくるし。…そんな健全な青少年の目の前にこれがぽよぽよ揺れてたら…ねえ?間違いが起こっちゃう可能性の方が高くない?…身体は私だけど、中身はアーロンだから、ある意味男の人同士でえっちなコト、とか?」
アーロンはナマエの胸を服の上から持ち上げるように、たゆんたゆん…と寄せてあげてを繰り返す。その行動に顔を赤くするナマエ。
「まあ私としてはアーロンになら見られても良いかなぁとは思うんですけど。…おにーさん、3番が無難じゃないです?」
「…っ、お前、言ってる意味が分かってるのか…?」
「…ちゃーんと、分かってますよ?」
スルスルと胸から腰を抱くように腕を絡め更に密着するアーロン。
「っ!!…揶揄うのも大概にしろ…っ!!ひとりで風呂に入る!!」
アーロンの腕を振り解きシャワールームに逃げたナマエを残念そうに見送るアーロン。
「…本気だったんだけどなぁ。」
ぽそりと誰にも聞かれない独り言を呟きため息を吐いた。
その後、ナマエと交代でシャワーを浴びたアーロンは、既に寝ているナマエにぴったりくっつくようにベッドへと潜り込んだ。
「ソファで寝るつもりだったけど、一緒に寝よ。んー…私って結構、抱き心地いいんだなぁ…。──────おやすみ、アーロン。」
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翌朝、元通りになったナマエとアーロン。
何故一緒のベッドに寝ているのかと頭を抱えるアーロンと幸せそうに眠るナマエ。
そして、ふたりが同じベッドに寝ているのを見たリュックとユウナの悲鳴が響き渡ったとか…。
おわれ
─────────────────────────────(07.09.19加筆)
