短編(FFX)
ナマエ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おい、逃げようと思うな。」
「……………。」
猿轡をされ手は後ろでキツくロープで縛られていてる…。返事は出来ないので頷いて逃げる意思がない事を伝えると、目出し帽をした男の人は私の目の前に出したナイフをゆっくりと離した。
その手は緊張からか震えている。
学校の帰り道、2人組の男の人に囲まれて車に押し込まれた─────誘拐だ。
高校生になってまでまさか誘拐されるとは思わなかった…。……何処かのアパートの一室なのだろうか…。
「兄貴…腹減った…。」
「我慢しろ!このガキのオヤジから身代金貰ったら食いたいもん食え!」
身代金目的の誘拐か……だけど、私にはそんな価値はない。なぜなら実子でも無いし養子でもないから。お金目当てなら双子の兄達を…と思ったけど、どちらも有段者だったのを思い出した。しかも容赦が無い。
どうしたものかと考えていたら頬に痛みと乾いた音が聞こえた。…平手で殴られたようだった。
「テメェ…。なんだよその顔……バカにしてんのか。」
「兄貴!女の子、殴っちゃダメだよ!」
少し考え事をしていた表情が誘拐犯の癪に触ってしまったようだ…。……弟さんなのだろうか、私の心配をしてくれて慌てて猿轡を外してくれた。
「だ、大丈夫?口の中とか切ってない?」
「…大丈夫です。それから、私を誘拐しても意味、ありませんよ…。私は天宮碧人の娘では無いので…。」
「なんだと…!でもお前この間あの男のこと『父さん』って呼んでたじゃねえか!!」
「…どこで聞いていたのか知りませんが…。便宜上『父さん』とは呼んでいますが、実子でも養子でもありません。あの方は私の“後見人”です。」
私の言葉に後退りをする男の人。私の殴られた頬を気遣ってくれた人も『そんな…。』と呟いていた。
「……どーすんだよ!!全く金にならねえヤツ誘拐したって意味ねえじゃねえか!!」
「だから誘拐なんて辞めようって俺言ったんだよ!!兄ちゃんのバカ!!」
……誘拐犯の兄弟喧嘩が始まってしまった…。
とりあえず喧嘩をやめさせないと…。
「あの、とりあえず解放してもらっても良いですか…?私、警察に言うつもりもないから今ならまだ間に合────」
『まだ間に合うから』そう言おうとした時、アパートの玄関のドアがものすごい音を立てながら吹っ飛んだ。
「「「は?」」」
誘拐犯と一緒に声を揃えてしまった…。
コツコツ…と革靴の音がする…。
「……見つけたぞ…。」
右目に大きな傷がある男の人が入ってきた…。
誘拐犯の兄弟は悲鳴をあげなら互いに抱き合って部屋の隅で震えてる…。
一歩、また一歩と誘拐犯に近付いてく男の人。
その眼光は鋭くて……でも、琥珀色の瞳がとても綺麗だった。
「…貴様ら、くだらん事をするな…。おい、連れていけ。」
「はっ!」
「さあ!立て!」
男の人が声を掛けると警察官が数名入って来て誘拐犯たちを連れて行った。床に転がってるナイフを拾い上げ手を縛ってるロープを切り解いてくれた…。
「あの…ありがとうございます…。」
「礼は要らん。仕事だからな。」
「お仕事…?」
「警部!我々は署に戻ります!」
「ああ。ご苦労だったな。」
…警察の人、だったんだ…。
「さあ、アンタも一緒に署に来てもらうぞ。調書を取らんといけないんでな。」
「は、はい…っ。」
椅子から立ち上がって一緒に部屋を出ようとした時にスーツのジャケットを羽織らせてくれた…。……香水の匂いが香ってきた…。
─────────────────────────────
─────────────────────────────
あの誘拐事件から一週間が経った。
……何故かあの警部さんの事が頭から離れない…。
「ナマエ、どうしたの?そんな可愛い顔して。」
「…父さん…あの…。私が誘拐された時に来てくれた警部さん……。」
「ん?アーロンかい?彼がどうしたの?」
アーロンさん…っていうんだ…。
……素敵な名前…。
「えっと…、助けてくれたお礼、したい……んだけど…。」
「………ふぅん。いいよ、アーロンに話つけてあげる。」
「…!本当!?父さん、ありがとう!」
─────────────────────────────
─────────────────────────────
「───って、事があったんだけど?」
「…だからなんだと…。」
「だからいつ空いてる?」
……古い友人の娘を助けた。ただそれだけなのだが……やたらと俺の空いてる日を聞いてくる…。
「…来週の土曜なら…。」
「ありがとう。じゃあお見合いって事で!」
「何故そうなる!!」
「え?だって完全にキミに惚れてるんだもん。僕の娘。」
「は?」
『いやあ、あんなにモジモジしてるナマエが見れるなんてねえ!相手がキミじゃなかったら殺してたよー!』なんて笑顔で言い放ちおった…。
未成年の自分の娘と30超えた男を見合いさせるなど……こいつは父親としてどうなんだ…?
「僕は僕が好きな人同士が結ばれるなら年齢は関係ないと思ってるから!」
「っ…!人の心を読むな!」
「あの子はとてもいい子だよ。きっとキミも気にいるさ。」
『じゃあ来週の土曜に!』と言って去っていった。
「…警部。あの天宮の社長と知り合いなんすか…。」
「ああ…。古い友人だ…。」
「…お見合い、するんすか?」
「………知らん。」
「…女子高生とお見合いっすか…いいっすね…って、いてええ!!」
「無駄口を叩いてないで働け…。」
部下の頭を一つ叩いて仕事に向かわせた。
……相手は女子高生だぞ…。………しかし…愛らしかった…。それは事実だ。……見合いであれば合法的に手を出しても……いや、俺は何を考えている…駄目だろうっ…。
「はあ…。来週の土曜、か…。」
…あの娘の好きそうな花でもひとつ買っていくか…。
fin.
─────────────────────────────
後書き(07.11.03)
現代パロで警部なアーロンでした。
元々私の頭の中でアーロンはスピラから転生って設定じゃなくて警察関係者って設定でした。
だけど長編を書くに当たって『警察関係者は色々無理があるな…』で無くしました。
今回のこのお話はそんなアーロンとナマエちゃんのファーストコンタクト的なお話でした。
