短編(FFX)
ナマエ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「もう、お前たちの時代だ。」
そう言って共に旅をした仲間たちに別れを告げた。
────10年、長かった。
ブラスカとジェクトと旅を共にした時よりも余程きつかった。
友との約束を終えてこの身を手放し異界へと向かう。
「…ブラスカ、ジェクト。久しい────」
再会の言葉を言い切る前に拳が横っ面に叩き込まれた。脳が揺れる感覚がした。
「ジェクト!やめないか!」
「うるせえ!ブラスカ、止めんな!!」
「…っ、ジェクト…いきなり何を…っ!」
俺はジェクトに殴り飛ばされた様だった。
暴れるジェクトをブラスカが必死に止めていた。
「ブラスカ!離せ!オレはこのクズ野郎をまだ殴り足りねえ!!」
「アーロンを殴ったところでナマエはもう戻って来ないんだ!ジェクト、落ち着くんだ!」
「…ナマエ…?誰の話をしている…っ」
困惑している俺の顔面をブラスカの制止を振り切ったジェクトが怒りに満ちた眼で鷲掴みにし真っ直ぐに俺を見据える。
「おお、全部観せてやろうじゃねえか…。そのひとつしか無い目ン玉で良く観ろや…!」
ジェクトの身体からたくさんの幻光虫が溢れて俺の中へと入っていく──────
《私がアーロンの事を支える…?でも、アーロンは私より強いから…私なんて…》
《 …うん、アーロンの事、子どもの頃からずっと好き。大好きなんだ…。えへへ、ちょっと恥ずかしいな…。》
《…ジェクト、さん…。私、要らない子になっちゃった…。…ごめんね。》
《さよなら》
消え去っていた記憶が蘇る。
笑顔で消えた少女の顔も名前も何もかも…。
「なん、だ…今のは…?」
「お前が忘れてたオンナの記憶だ!!思い出したか?!このクズ野郎!オメェ、ナマエの気持ち知ってたよなあ?!それなのに他の乳臭えガキに絆されやがって!!心底見損なったぜ!!」
「…何処にいる。」
「ああ?!」
「ナマエは何処にいる!!ジェクト、お前がナマエを飲み込んだんだろう!!」
「おお!オレ様が飲み込んでやったさ!飲み込んで殺した!!だからナマエはもう何処にも居ねえよ!!」
「殺した…?」
ジェクトの言葉をただ繰り返した。
俺の声に苛立ちを隠せないジェクトがまた俺の顔面を殴った。
「アイツは元々違う世界の人間だ!テメェを助ける為にオレが『シン』の力を使ってこのスピラに無理矢理呼んだんだ!『アーロンを支えてやってくれ』って。アイツとお前に縁が出来てたから、愛情って繋がりが出来てたから呼べた!!だがよ、テメェは他の女を選んだ。糸が切れたんだ…。
元々この世界の人間じゃないナマエは、死んだら元の世界に戻る。だけどよ、元の世界に戻ったらこの『スピラ』の人間から忘れ去られるんだ。誰もなんも覚えちゃいねえ。」
だから、テメェも今の今まで忘れてただろ。
ジェクトの言葉に胸が掻きむしられる衝動に駆られた。息が、出来ない…。
「ナマエ、ナマエ…っ…!」
うわ言のように少女の名前を繰り返し口にする。
ジェクトに胸倉を掴まれ頭突きをされる。
「テメェがアイツの心を殺して、オレがアイツの魂を殺した。もう二度と会えねえよ。」
手を離され崩れ落ちる。
俺がお前の心を殺したのか…。
…いつも己の事は後回しにして常に誰かの為に動いていた。泣き言も言わず、独りで全てを抱え込んでいた。
常に笑顔で寄り添っていたお前を俺は──────
「俺が、殺した。」
お前が居る世界へ、意識を飛ばす事も出来ない。
お前の世界にいるはずの己の身体へはもう二度と戻れない。
完全に途絶えた。
胸に込み上げてくる想いがとめどなく溢れ出てくる。
「ナマエ…、」
お前が愛おしい…、お前を抱き締めたい、お前の声が聴きたい…。
何もかもが遅過ぎた。
ナマエ、お前を愛している。
end
─────────────────────────────
後書き(07.07.26)
アーロンをギャン泣きさせたかった…(想像出来なくてやめてしまった)
アーロンの身体と魂は分離して
身体は夢主の世界へ
魂はスピラへ…。
と言う設定になっています。
─────────────────────────────
(07.11.03)
名前変換が出来ていなかった箇所を修正しました。
