11.江戸参戦
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船はひっそりと岸に着けられ、一同はそこに足を踏み入れた。東の果ての島国、日本。感情のない三日月だけが、この孤独な国を照らしていた。見上げる先には終わりの見えない階段に、連なる鳥居。満開の桜が夜を鮮やかに色づけている。それに感嘆することもなく、神田は不機嫌を顔面に張り付けていた。
「二度と乗らねぇ……」
「そう? 残念。アメノイワみたいで面白かったと思うけど」
「なんだよそれ」
「日本神話の空飛ぶ船」
移動中大半の時間を、甲板の上で過ごしていた神田と咲耶の髪は乱れに乱れている。大方彼女が荒っぽく海を操っていたせいだった。
「二人共、移動ご苦労様」
ティエドールが神田の肩に手を置いた。船内にいた彼とマリの服に乱れや体調には特に問題がない様子。皆フードを深く被り、日本の夜に溶け込む準備をする。
マリが本来いるはずのない『一体』に問いかけた。
「道案内を頼めるか」
「そのつもりだ。オイラの仕事だし」
蜂のような姿をしたそれはクロスが寄越した改造アクマだと名乗った。嵐を超えた直後、船の上に現れた彼に神田と咲耶はほぼ反射の本能で攻撃をしかけた。逃げ惑いながら必死で敵意がない事を訴える彼を到底信じることは出来なかったが、ティエドールに宥められ今この日本へ共に上陸している。
現在にいたるまで殺気を出していないところから、信用していいものだと同行を許した。
「咲耶」
「はい」
前を歩くティエドールが首だけ自分に振り向いた。
「体調は平気かい?」
「……はい。なんとか」
数日間休まず船を動かした。正直江戸上陸の時点で体力が残っていなかったら死活問題になっていたが、今のところ身体は動かせる。頭痛もない。きっと帝都には想像もできない悪意の塊がいる。この国はそういう所だ。
階段を登りきり空が開けた時、不意に先頭を歩いていた神田が足を止めた。一同フードを脱ぐ。
「ゴツイのがいるぜ」
眼下に広がる江戸の街と、聳える独特のデザインの城。そして未だかつて見たことのないほど巨大なあれは、恐らくアクマ。桜が風で舞い踊る花色のそれには、とてもじゃないけど似つかわしくない。
「ティエドール元帥。先に行きます」
返答を待たずして彼女は地を蹴り、敵陣へ突っ込んでいく。
「おい! あの馬鹿……」
「マリ。キミの耳で何が聴こえる?」
「……あそこからアクマの膨大な機械音に混ざってかすかにリナリー……ラビ……クロス部隊の声が聴こえます」
全てを察し、緩やかにティエドールは言った。
「うん……行ってあげなさい」
師の命令にも似たそれに弟子二人は瞬時に駆けだしていく。ほんの少し先に行っただけの彼女の姿がもう見えない。リナリーの黒い靴を連想させるスピード感に、あいつのことは未だよく分からないと神田は思うばかりだった。
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「二度と乗らねぇ……」
「そう? 残念。アメノイワみたいで面白かったと思うけど」
「なんだよそれ」
「日本神話の空飛ぶ船」
移動中大半の時間を、甲板の上で過ごしていた神田と咲耶の髪は乱れに乱れている。大方彼女が荒っぽく海を操っていたせいだった。
「二人共、移動ご苦労様」
ティエドールが神田の肩に手を置いた。船内にいた彼とマリの服に乱れや体調には特に問題がない様子。皆フードを深く被り、日本の夜に溶け込む準備をする。
マリが本来いるはずのない『一体』に問いかけた。
「道案内を頼めるか」
「そのつもりだ。オイラの仕事だし」
蜂のような姿をしたそれはクロスが寄越した改造アクマだと名乗った。嵐を超えた直後、船の上に現れた彼に神田と咲耶はほぼ反射の本能で攻撃をしかけた。逃げ惑いながら必死で敵意がない事を訴える彼を到底信じることは出来なかったが、ティエドールに宥められ今この日本へ共に上陸している。
現在にいたるまで殺気を出していないところから、信用していいものだと同行を許した。
「咲耶」
「はい」
前を歩くティエドールが首だけ自分に振り向いた。
「体調は平気かい?」
「……はい。なんとか」
数日間休まず船を動かした。正直江戸上陸の時点で体力が残っていなかったら死活問題になっていたが、今のところ身体は動かせる。頭痛もない。きっと帝都には想像もできない悪意の塊がいる。この国はそういう所だ。
階段を登りきり空が開けた時、不意に先頭を歩いていた神田が足を止めた。一同フードを脱ぐ。
「ゴツイのがいるぜ」
眼下に広がる江戸の街と、聳える独特のデザインの城。そして未だかつて見たことのないほど巨大なあれは、恐らくアクマ。桜が風で舞い踊る花色のそれには、とてもじゃないけど似つかわしくない。
「ティエドール元帥。先に行きます」
返答を待たずして彼女は地を蹴り、敵陣へ突っ込んでいく。
「おい! あの馬鹿……」
「マリ。キミの耳で何が聴こえる?」
「……あそこからアクマの膨大な機械音に混ざってかすかにリナリー……ラビ……クロス部隊の声が聴こえます」
全てを察し、緩やかにティエドールは言った。
「うん……行ってあげなさい」
師の命令にも似たそれに弟子二人は瞬時に駆けだしていく。ほんの少し先に行っただけの彼女の姿がもう見えない。リナリーの黒い靴を連想させるスピード感に、あいつのことは未だよく分からないと神田は思うばかりだった。
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