会いたい【キルア夢】
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―キルアと離ればなれになってもう何日経ったんだろう…?―
あの日から一日がすごく長く感じる。
今日が何月何日なのか、何時なのかさえわからない…
何日なのかは意識できないけど、一つだけはっきりと意識出来るものがある。
それは、日を重ねる度に、キルアが私のことを忘れてしまわないかという恐怖。
初めて出来た友達……初めて出来た好きな人…。
キルアの事を想えば想うほど胸が苦しくなって、切なくなる…。
今日もまた、いつものように自室で月の美しい夜空を窓から見上げて、キルアへの想いに耽っていた。
「キルア……。」
そう呟くと、ドアの方からノック音と共に、お兄さまの声が聞こえてきた。
「名無しさん、ご飯の時間だぞ。」
「…欲しくない……。」
ドアの方も見ず、窓越しに言った。
すると、ガチャ…とドアの開く音がして、お兄さまが部屋に入ってきた。
「食べないと元気出ないぞ?」
私の方へ歩み寄りながら優しい声で気遣ってくれる。
「食欲ないの…。」
一瞬だけお兄さまを見て、またすぐに窓に目をやる。
「…そんなに会いたいか?」
「…え…?」
急に私の気持ちを見透かされて、思わずお兄さまの方を向いた。
「会いたいか?」
「え…でも私……」
「正直に言うんだ。お前のしたいことはなんだ?」
再度聞かれて困っていると、私の言葉と被せるようにお兄さまが真剣な顔で言う。
「………たい……会いたい…!キルアに会いたい!……会いたいよぅ……ぅ、ひっ…うぅ…」
脳裏にキルアの笑顔が浮かび、涙がポロポロと出る。
そばにいたお兄さまにしがみついて、今まで溜まっていた気持ちと共に涙を流す。
お兄さまの大きな手が、私の頭を優しく撫でる。
「よし!じゃあ行って来い!」
「え?」
お兄さまが何を言ったのかがわからなくて、顔を上げてお兄さまを見上げる。
「母さんには俺が言っておくから…な?」
優しい瞳で見つめられ、信じられない気持ちを抑えられずにいる。
「…本当にいいの…?」
「ああ。名無しさんの人生は名無しさんのものだろ?」
ニコッと微笑みかけ、また大きな手で私の頭を撫でた。
「…ありがとう!お兄さま!!」
今度は笑顔でお兄さまに抱きつく。
「すぐに出ろ。今なら母さんたちも執事もご飯の時間だから、監視は誰もいない。」
「うん!わかった!…本当にありがとう!」
「ああ。気をつけろよ!」
お兄さまの許可を胸に抱いて、笑顔で部屋を出た。
長い廊下、庭を抜けて、ようやく正門までたどり着いた所で私のずっと聞きたかった声が聞こえた。
「名無しさん!」
「…え……?」
正門を抜けて声のする方を見ると、そこにはキルアが立っていた。
「キル…ア…?ホントにキルアなの?」
「当たり前だろ?…俺の顔忘れたのかよ!」
ニカッと笑うキルアを見たら、せっかく止まった涙がまた次から次へと溢れてきた。
「…キルア!!会いたかった…!」
涙が頬を伝うのと同時に、キルアに思い切り抱きついた。
「…俺も……名無しさんに会いたかったぜ!」
キルアは私の背中に腕を回し、優しく抱きしめてくれた。
ずっと空いていた私の心…
埋めるきっかけを作ってくれたのは、いつでも私の見方をしてくれたお兄さま。
埋めてくれたのは、私の大切な人…キルア。
終わったと思っていた私の人生は…まだ、始まったばかり……。
END