すれ違い【ポックル夢】
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『この手に24人の命が掛かっているかと思うと…俺は……』
怯えていたポックルにそっと手を重ねたポンズは、ポックルに微笑みかけた。
私はその様子をずっと見ていた……。
ポックルに手を差し伸べたのは私じゃなく、ポンズ。
手を差し伸べてポックルを安心させたのも私じゃなく、ポンズ。
どうしてポックルの隣にいるのは私じゃなくてポンズなのか…?
私がずっと心の中で思っていた醜い嫉妬…
でも、そんな私にもチャンスが来た。
無事にゼビル島に着き、私たち受験生は第四次試験の狩りをするためのくじ引きをしていた。
「な~んだ…ポックルじゃないんだ…。」
自分の引いたくじの番号を見ると、そこに書かれているのはポックルのプレート番号とは全然違う番号だった。
半ばがっかりしながらポックルの方を見ると、手にしたくじと私のプレート番号を交互に見ていた。
「(ポックルのターゲットって…私なんだ…!)」
心の中で舞い上がっていると、試験官から出発命令が出た。
出発する順番が、第三次試験でトリックタワーの集合場所に着いた順ってことは、私はポックルの1つ前に出発することになる。
頭の中で考えていると、ある考えが浮かんできた。
「…これならいけるかも…!」
ワクワクしながら出発を待った。
そしてとうとう私の出発の順番が来た。
私は軽い足取りで森の中へと消えていく。
少し行った所で足を止め、木にもたれながらポックルを待った。
そしてしばらくすると、ポックルの姿が見えた。
「……!」
ポックルも私を見つけたらしく、今までよりさらに走るスピードを上げて来た。
「(やっぱりポックルのターゲットは私ね!)」
ポックルに追いつかれまいと私も必死に走る。
「おい!待て!!」
後ろで弓矢を引く音がした。
ヒュッ!
すると弓矢は、私の方へ目がけて向かってくる。
それを軽々と交わして、また速度を上げて走り出す。
「へ~…やるじゃねーか…。」
ポックルが走りながらそう呟く。
そしてどんどん森の奥に行くにつれて人気も無くなってきた。
「そろそろいいかな…?」
そう呟いて私は足を止めた。
それに合わせてポックルも足を止める。
「人気のない所に俺を誘き寄せて、プレートを俺から奪うつもりだろ?…その手には乗らねーよ。」
再度弓矢を構え、今にも弓を引きそうだ。
「誘き寄せたのは正解だけど、プレートには全く興味ないよ。」
「何?」
構えた弓矢を軽く下ろして、少し驚いた顔をするポックル。
「気づいてなかったの?…私……ず~っとポンズと一緒にいるポックルに嫉妬してたのよ…?」
だんだん声のトーンが低くなってくるのが自分でも恐ろしくなるほどわかった。
「嫉妬…?」
私の言葉が意外だったのか、目を大きく見開く。
「ハンター試験が始まった頃から、私はあなたをずっと見てた…。だから私があなたのターゲットってこともすぐに気づいたの。」
いつもの声のトーンに戻しながら淡々と言っていく。
「…お前こそ……あの4人と結構仲良かっただろ…?」
少しずつポックルの顔が赤くなっていく。
「あの4人?…あぁ…ゴンたちのこと?……あれはただ普通に話してただけよ!」
…あれ?何で私、こんなにムキになってんだろう…?
何だか…恋人同士の嫉妬喧嘩みたい……////
「俺だって…お前のこと…嫉妬してたんだ…/////」
…え?ポックルが私に嫉妬…?
「…ポックル…?それって…」
「俺…玉虫のこと……好き……だ…////////」
私の台詞に被せて、ポックルが顔を真っ赤にしながら私に“好き”と言った。
「え…??//////」
状況がなかなか飲み込めない私は、放心状態になっていた。
「そんなお前が俺のターゲットと知ったときは…思わず何度もくじとお前のプレートを見比べた…。」
…そっか……あの時…ポックルは心の中でそんなに焦ってたんだ…。
ポックルのその気持ちが嬉しくて、思わず涙が頬を伝った。
「お、おい!泣くなよ…!」
ポックルは私の所へ駆け寄り、心配してくれた。
「…ありがとう。ポックル…。私も、ポックルのことが大好き…。」
ポックルの身体にもたれて、幸せな気持ちを噛み締めていた。
「玉虫…」
そしてポックルが優しく私の背中に腕をまわし、ギュッと抱きしめてくれた。
すれ違った私たちの愛は、長い遠回りを繰り返して…ようやく結ばれることができた。
END