光【ゴン夢】
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チュン…チュン……
朝目が覚めると、そこには見慣れた風景があった。
低い天井、埃まみれの棚、狭い室内…
生まれつき身体が弱くて、外に出ることが出来ない。
―私は、外の世界を知らない。
雨の感触や日の暑さ、自然そのものを知らない。
私の身体は太陽の光も受けられず、いつの間にか私の周りには“暗”しかなかった。
でも、そんな私に光をもたらしてくれたのは、ゴンだった。
「はい!名無しさん。タンポポが咲いてたから摘んできたよ!」
タンポポを何本か手で束ねてゴンが笑顔で家に来た。
「いつもありがとう、ゴン。…わぁ!綿毛がフワフワしてる!」
タンポポの綿毛を指で軽くポンポンしながら笑みを零した。
「名無しさんもいつかこのタンポポみたいに、外へ自由に出られるようになれたらいいね!」
私の隣でタンポポを見つめながらゴンが言った。
「そうね…。そうなれたらいいわね。」
ニコッと笑ってゴンを見た。
「名無しさんの身体は、きっとレオリオが名無しさんを外に出られるようにしてくれるよ!」
「レオリオ?」
パット明るく言い出したゴンに、聞き返した。
「ハンター試験で出会ったお医者さんの卵だよ!すっごく明るくて楽しいよ!」
レオリオさんのことをすごく楽しそうに話す。
「へぇ~。会ってみたいわ!」
そんな楽しい人がいたら、気分もきっと楽しくなるかもしれない。
心からそう思っていた。
「今度くじら島に連れてくるよ!」
「うん!」
そう約束してくれたゴンの表情が、段々真剣な顔になった。
「どうしたの?」
「名無しさん…オレ、名無しさんを守る!」
強い眼差しでそう告げられ、ゴンから目を反らせない。
「もし名無しさんがずっとこのままでも、オレは名無しさんとずっと一緒にいるよ!」
「ゴン…」
急に抱きしめられ、頭がついていかない。
「オレ…名無しさんのことが好きだから。」
自信に満ちた声でそう言われ、頭に浮かんでいる言葉がなかなか出てこない。
「あ…ありがとう……。」
やっと口から出た言葉は、瞳から溢れ出てくる涙の所為で掠れていた。
ゴンがもたらしてくれた“光”は、今までよりもずっと輝いて、私だけを照らしてくれた。
END