避けられない運命【キルア夢】
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『お前、そこで何やってんだ?』
『景色見てるの。』
『ふ~ん……。俺も一緒に見ていい?』
『いいよ。』
二人の出会いは、ここから始まった。
ある日、キルアがフラッと出かけた散歩道で、キャットという少女に出会った。
キャットは静かに街の景色を眺めていた。
そんなキャットの様子が気になったキルアは、キャットに話しかけ、今ではとても仲良くなった。
そんな日が続いていくにつれて、二人の気持ちが徐々に変化していった。
“俺、キャットが好きだ”
先に想いを告げたのはキルアの方だった。
だが、二人のその気持ちが後に不幸を招くことになろうとは、この時の二人は微塵も思わなかっただろう。
ある日キルアは父であるシルバに呼ばれ、部屋に入った。
「何?仕事?」
適当に椅子に座り、父の言葉を待つ。
「ああ。今回は子どもだ。しかも女の子だ。殺し屋の俺が言うのもなんだが、可哀相にな。」
そう言って依頼内容の紙を渡され、キルアは目を見開いた。
「……キャット………」
父に聞こえないように小さい声で呟いた。
「どうしたキル。」
「………いや、何でもねぇ………。」
なるべく顔を見られないように部屋から去った。
クシャ……
紙を握り締めてキャットの所へ急いだ。
「どうしたのキルア?急に家に来るなんて…」
「キャット!!すぐにこの街から逃げろ!!」
「えっ?」
キャットの家に来るなりキャットの言葉を遮ってキルアが言った。
「何でもいいからとにかく逃げろ!じゃなきゃお前殺される!」
そこまで言った後、キャットの表情が信じられないほど冷静になった。
「……もしかして、私を殺して欲しいっていう依頼が来たの?」
「え?……何、言ってんだ…?」
掴んでいたキャットの肩を離して驚く。
「キルア、殺し屋さんでしょ?私知ってたよ。」
笑顔でキルアに言うキャット。
「……知ってたんなら、何で俺と今まで一緒にいたんだよ…?」
「だって、私キルアがどんな人でも好きだもの。」
キルアの手を取って微笑む。
「…そっか……。……とにかく早く逃げろ!」
そう言ってキルアはキャットの手を握り返して逃がそうとするが、キャットは動こうとしない。
「な、何やってんだよ!?」
「私はここにいる。ううん。ここで死ぬ。」
キャットの言葉にキルアは耳を疑った。
「何言ってんだよ!俺はキャットは殺さねぇし誰にも殺させねぇよ!!」
「ダメ!私を殺す任務はキルアが受けたんでしょう?ここでキルアが私を殺さなきゃキルアが怒られちゃうよ。」
真剣な目で見つめるキャットに、キルアも負けじと言い返す。
「んなのどうってことねぇよ!!いいから早く逃げるぞ!」
再度手を引こうとするが、キャットは頑として動こうとしない。
「……お願い…。キルア……私を殺して…?」
「…っ!」
キャットは涙を流しながらキルアに訴える。
「私、キルアに殺されるなら幸せだよ?……だから、ね?私を殺して?」
キルアの手を自分の心臓へ持っていく。
「っ…止めろよ!」
手を離そうとするがぎゅっと握られている所為で離せない。
「お願い……。私、生きてちゃいけない存在なの…。それだけのことをしてきたの…。だからお願い……お願い…………」
半ば懇願するようにキャットはキルアに訴えた。
「キャット……」
キャットの気持ちを考えると、キルアの胸が痛くなった。
「…わかった…」
そして意を決してキルアは爪を伸ばし、ゆっくりとキャットの頭の上まで腕を上げた。
「………キャット……大好きだ………」
グサッ…!
キルアの顔にキャットの返り血が飛び散った。
キルアの頬の涙に返り血が混ざって流れた。
無残な姿になったキャットの顔は、幸せそうに笑っていた。
END