弱虫【キルア夢】
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キルアがなんとなく受けたハンター試験。
その試験もいよいよ残すところ最終試験だけとなった。
試験会場に行く飛行船の中で、†紅アリス†とキルアがラウンジで楽しそうに話していた。
「悪ぃ、ちょっとトイレ!」
そう言ってキルアが立ち上がり、トイレに向かった。
キルアがトイレで手を洗っていると、突然声が聞こえてきた。
―お前は殺し屋だ…
友達も恋人も必要ない…
もしお前がこのまま人と関わるなら、お前はそいつらを殺したくなる…
お前の身体はそう教え込まれている―
「っ…!」
頭の中で鳴り響くように聞こえる声に、キルアは頭を抱える。
―お前は†紅アリス†を殺したくなる―
「っ…止めろ!!!」
†紅アリス†の名前が出てきた途端、キルアは叫んだ。
やがてその声は大きくなり、キルア自身を支配した。
その頃にはキルアの気持ちに変化が見えた。
「…俺が……†紅アリス†を殺す…?」
壁につけてある鏡を見つめて呟く。
「…俺は……殺し屋………っ!」
そこまで考えた後、キルアはトイレから急いで出た。
その時キルアは、自分の背後に潜んでいる人物に気がつかなかった。
†紅アリス†の待っているラウンジまで行くと、†紅アリス†が笑顔でキルアの名を呼んだ。
「あ、キルア、おかえり。」
キルアは†紅アリス†の言葉も聞かず言い出した。
「†紅アリス†、俺とはもう関わるな…」
「…え?」
†紅アリス†は何を言われたのかわからない様子で笑顔を消す。
「これ以上お前といると俺はお前を殺すかもしれない…」
†紅アリス†の顔を見ずに言う。
「何で急に…!私なら大丈夫だよ…!?」
「お前は大丈夫でも…俺が大丈夫じゃねぇんだよ!!!!」
†紅アリス†の言葉を遮ってキルアが叫ぶ。
「……俺は殺し屋だ…。お前を好きになっちゃいけないんだ…。」
消え入りそうな声でキルアが言う。
「……弱虫…」
「何?」
ボソッと言う†紅アリス†に、キルアが顔を上げて聞き返す。
「弱虫!弱虫!結局キルアはそうやって逃げてるだけじゃない!!」
力強く†紅アリス†が言うと、キルアは図星をつかれて黙り込む。
「…私、そんなキルアを好きになった覚えはない…!」
†紅アリス†は涙を目に溜めながら走り去った。
キルアはその場に立ち尽くし、同じように涙を流していた。
それから程なくして最終試験が始まり、キルアはギタラクルこと実兄のイルミの急な登場と、†紅アリス†のことで自分をコントロール出来なくなり、レオリオと戦うはずだったボドロを殺してしまい、キルアは試験失格となった。
失格となったキルアは、ついに†紅アリス†と一言も口を利かないまま去って行った。
本当にこれで良かったのだろうか…?
いや、†紅アリス†のためにしてあげられることはこれしかない。
血だらけの手をギュッと握り締め、キルアは道を歩いた。
END