Angel therapy【中学生逆ハー夢】

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朋香との一件があってから1ヶ月。

あれから朋香は嫌がらせをしなくなったが、校内ですれ違っても二人を避けるようになった。

杏菜と桜乃はそれが気掛かりだったが、そんな二人にある機会が飛び込んだ。










「本当にここで良いのかな…?」

「た、多分…」

二人がやってきたのは、U―17合宿が行われている合宿所。

青学のみんなが中学生代表として合宿に参加してから数週間後。

手伝いの人手が足りないということで召集された。

大きな門の前で立ち止まっていると…

「君たちが青学から来てくれたお手伝いさんたちだね?」

どこから現れたのか、とても背の高い白衣を来た男が立っていた。

「初めまして。ボクは齊藤至。ここのメンタルコーチをしています。」

急に現れた人物に圧倒されながらも、二人は挨拶をした。

「は、初めまして!竜崎桜乃です…!今日からお世話になります!」

「堀尾杏菜です!微力ながらお手伝いさせていただきます!」

緊張した面持ちでペコリと頭を下げると、齊藤はニコニコしながら言った。

「はい、よろしくお願いします。それでは、合宿所内に案内しますので、付いてきてください。」

そう言うと門を開けてスタスタと歩き出した。










合宿所の広間には既に集合するように声をかけられていたのか、高校生含め中学生代表の面々が揃っていた。

そこには青学も…

「竜崎さん!堀尾さん!」

菊丸が真っ先に声をあげる。

「先輩方!お元気そうで何よりです!」

杏菜が嬉しそうに安堵する。

「さて、ここにいる可愛い子たちは当分君たち選手のお手伝いをしてくれます。青学の一年生みたいですから、青学の方たちはご存知ですね?」

「はい。彼女たちなら安心して手伝いを任せられます。」

大石が胸を張ってそう言い放つ。

「ほ~ぅ。確かおまんら、全国大会にも応援に来とったのぉ…」

「なかなか可愛ぇお嬢ちゃんたちやんな~」

「ねぇちゃんたち、コシマエんとこの子ぉらなん!?」

「こんなに可愛いと、役に立たなくてもゴーヤは食わせられませんね…」

桜乃と杏菜を見て、仁王、忍足、金太郎、木手が口々に呟く。

二人は少し恥ずかしそうに照れた。









それから二人は部屋に案内され、荷物を置いて早速手伝いに入る。

テニスボールやラケットに不備がないかの確認、それらをコートに運び、選手たちのドリンク作り、簡単にではあるが施設内の掃除までこなした。

二人の頑張る姿に選手たちにも覇気が見え、各選手たちの総合評価も上がっていった。

特に中学生たちは……




「竜崎さんと堀尾さん、めっちゃ可愛くね?」

「やっぱ丸井先輩もそう思います?俺も思ってたんスよね~!」

「奇遇だね。俺も同じ事を思っていたよ。」

「ふむ。少々心配なところはあるが、一生懸命手伝っている所を見ると、好評価ではある。」

「真田のお墨付きなら、あいつら本当によく頑張ってるんだな。」

丸井の言葉に切原、幸村、真田、ジャッカルが言う。

そこへ青学、氷帝、四天宝寺、比嘉の面々も立海たちの話に混ざった。

「あったり前っスよ!何たってあの二人、学校内で人気者なんスから~!」

桃城がまるで自分のことのように杏菜と桜乃を自慢する。

それに続いて海堂も頷くが、心なしか海堂の顔が赤くなっているのを全員が確認した。

「学年関係なく人気者の彼女たちだけど、たまに変な人たちに襲われないか心配だよ…」

大石が苦笑しながら言うと、不二がみんなを見渡して言い放つ。

「青学にそんな人たちはいないだろうけど…他校はどうだろう…?」

「ちょ…!不二!?」

菊丸が目を見開いて慌てる。

それに反応するように全員が不二を見た。

「おい不二。それはこの俺様たちがあいつらをどうこうするとでも言いたいのか?ア~ン?」

「不二くん。いくらなんでもそれは聞き捨てならないですね。」

「流石に一年生の子ぉら襲われへんやろ~」

跡部、木手、白石が言うが、更に追い討ちをかけるようにリョーマが言った。

「でも、目はそう言ってないみたいだけどね。」

リョーマの一言に全員が自分の気持ちを自覚した。

そこへ、ドリンクを持って杏菜と桜乃がみんなの元へやって来た。

「皆さん、お疲れ様です!ドリンクどうぞ!」

「タオルもありますのでどうぞ」

笑顔で二人が言うと、中学生たちは我先にと二人の元へ駆け寄る。

「おおきに、竜崎さん、堀尾さん!」

一番に駆け寄ったのは忍足謙也。

流石、浪速のスピードスターだ。

その横には従兄弟である忍足侑士。

同じ血が流れる二人だからこそ、一番にライバル視する対象らしい。

その隣では不二兄弟、そして観月が。

「僕はタオルを貰うよ。」

「あ、俺も…!」

「本当に貴女方はよく頑張っていますね。どうです?我が聖ルドルフで共にマネージャーをやってみませんか?」

「ちょ…!観月さん!割り込まないでくださいよ!」

「うちの生徒を勝手に勧誘しないでもらえるかな…?」

裕太は赤い炎を燃やし、兄の不二は青い炎を燃やして観月を睨んだ。

そんな様子に二人は苦笑する。

そしていつの間に来たのか比嘉中のメンバーが揉めている忍足従兄弟や不二兄弟を押し退けて杏菜と桜乃の前に立つ。

「うんじゅなー、いっぺー、ちゅらかーぎーやさ(貴女方は本当に可愛らしい)」

木手がドリンクを受け取ると同時に二人の手を握る。

バコッ!!

「やー、どさくさに紛れて何してるんばーよ」

「そもそも今のうちなーぐちキツくて伝わらんだろ」

木手を後ろから殴る平古場の隣でケラケラと笑う甲斐。

「堀尾さんと竜崎さん、他校の人たちにも好かれるなんて、凄いな…」

「でもさー、あの二人は青学の癒しなんだよー!何か悔しいにゃ…」

大石と菊丸が群がる他校の人たちを見て言う。

すると河村と乾も苦笑しながら言う。

「まぁ、人気があるのは俺たちも嬉しいことではあるけどね。」

「俺のデータだと、現段階で中学生たちは皆あの二人に夢中になっただろうな。」

眼鏡を押し上げながら乾が不適な笑みを浮かべる。

「ふ~ん…。」

すると後ろからフッと笑いながらリョーマが歩いてきた。

「なら、あいつらは俺たちのだって見せつければいいんじゃないっスか」

自信満々に言うリョーマ。

左手にはラケット、右手にはテニスボール。

「オチビ、何する気だよ…?」

菊丸が聞き終わる前に、既にリョーマはラケットを構えてボールを空高く投げていた。

シュ……バシュ…!!

『!?』

打たれたボールは勢い良く真っ直ぐ群がる人たちの足下に落ちた。

それを避けるようにみんなはボールが落ちた場所から左右に綺麗に別れる。

別れた道をリョーマは自信満々な表情で歩いていく。

真っ直ぐ前を見据え、杏菜と桜乃の方へ向かうリョーマ。

杏菜と桜乃も目が離せず、リョーマを見つめる。

「タオルとドリンク、くれる?」

「あ…!う、うん、ごめん!はい、これ…!」

何故か緊張しながらタオルとドリンクを手渡す二人。

「サンキュ。」

それだけ言ってコートの外へ歩いていく。

「あ。」

そしてふと立ち止まった。

「さっきの訂正。アンタたち“俺たちの”じゃなくて、“俺の”だから。」

勝ち誇ったような表情でそれだけ言ってまた歩き出した。

『…!』

リョーマの言葉を聞いて他校の人たちは目を見開く。

そして杏菜と桜乃の顔は茹でダコのように真っ赤になった。






そんな様子を、中学生より少し大きな高校生たちが見ていた……。











続く
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