友達【青学レギュラー陣逆ハー夢】
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「杏菜ちゃん、ラリーの相手してもらってもいいかな?」
「うん、いいよ。」
桜乃がそう頼む相手は堀尾杏菜。
テニスが上手く、大人しいが誰にでも優しい桜乃の大親友。
「おっ!今日もやってるにゃ~!」
菊丸がジャージから制服に着替え終えてテニスコートにやってくる。
「杏菜ちゃんはテニス上手いからね。竜崎さんも熱心に教わってるよね。」
「でも、女の子が遅くまで残って練習なんて、ちょっと心配だね…」
「可愛い後輩たちが頑張ってるんだ!終わるまで見守っててやるかー!」
「お前ぇはただあいつらを見ていたいだけだろ」
「あ!?そう言うマムシもそうなんだろ!?」
菊丸に続いて不二、河村、桃城、海堂が言う。
「こらこら二人とも、あまり大きな声で騒ぐと二人の邪魔になるだろ?」
大石がいつものように後輩二人を宥める。
「ここ数日で竜崎さんの腕が格段に上がっている。相手をしている堀尾さんも、竜崎さんのどこに飛んでいくかわからない球を的確に返している。二人の瞬発力も良い。」
ノートに書き加えながら乾が眼鏡を押し上げた。
「まぁでも、まだまだっスね…」
ポンタを飲みながら二人をリョーマが横目で見る。
「二人とも、練習熱心なのはいいが、あまり遅くなりすぎるなよ。」
手塚が桜乃と杏菜にフェンス越しに声をかけた。
「「はい!」」
それから30分
誰一人帰ることなくレギュラー陣は桜乃と杏菜を見守ることを前提に目の保養にしていた。
『あ、おはよう!竜崎さん、堀尾さん!』
「おはようございます」
「おはようございます」
『おはよう!今日も二人は可愛いねー!』
「いえ、そんな…!」
先輩、同級生関係なく挨拶されるのは最早日常茶飯事。
それでも慣れることのない二人は少々戸惑い気味だ。
『やっぱあの二人がいると雰囲気違うなー!』
『疲れも吹き飛ぶくらいの穏やかなオーラだよなー!』
『周りにお花が飛んでるイメージよねー!』
『私が男なら絶対二人にアタックしてたわー!』
歩く先々でそんなことを噂される杏菜と桜乃。
男女問わず人気者の二人。
そんな二人を良く思っていない人もいた。
ある日を境に、二人のテニスラケットのガットが切れていたり、靴が片方なかったりと、明らかに偶然ではない嫌がらせが起こっていた。
それでも二人は毎日学校に通い、誰にも知られないように笑って過ごしていた。
ある日杏菜と桜乃が下校中、二人を呼び止める人物が現れた。
「あんたたち…」
「え…?」
「朋ちゃん…!」
振り返ると、凄い剣幕で立っている小坂田朋香がいた。
朋香はかつて桜乃と杏菜の親友で、何をするにも一緒だったが、杏菜と桜乃が周りから特別な目で見られるようになってから、朋香はだんだん距離を置くようになり、遂には親友であった二人を憎むようになった。
「何で嫌がらせされてるのに毎日笑っていられるわけ?」
「嫌がらせって…」
杏菜が今まであったことを思い出す。
「気付いてんでしょ!?私がやったって!なのに何で何事もなかったかのように過ごしてんのよ!」
あまりにも変わらない二人をイライラしながら睨む朋香に、桜乃が狼狽える。
「だ、だって…朋ちゃんは友達だから…」
「友達だから何!?友達だから嫌がらせされても何とも思わないわけ!?私はあんたたちの存在が腹立つのに…!」
強い口調で言い放つ朋香は更に続ける。
「あんたたちは良いわよね!弟たちの面倒見なくてもいいし、放課後は好きなだけテニスが出来る。先輩たちにもチヤホヤされて……あのクールなリョーマ様にだって認められて…!」
「違うよ朋ちゃん…。私たち、認められようとしてるんじゃ…」
「ただテニスが好きなだけ…」
桜乃と杏菜が朋香の言うことを否定するが、全く聞く耳持たない。
「そんなつもりがなくても実際学校中のみんながあんたたちを気に入ってる!私もあんたたちの隣にいたのに…。自由に色んなことが出来るだけで私とあんたたちは全然違う…!」
だんだん朋香の目に涙が溜まっていく。
「だから嫌がらせしてたのに…何で平然と笑っていられるのよ…!」
「友達、だからじゃない?」
『え…?』
不意に聞こえた声に三人はビックリする。
「友達だから、例え嫌がらせがあんただって気付いても誰にも言わないし、思わなかったんじゃないの?」
「リョーマくん…!」
「リョーマ様…!!」
急に現れたリョーマに三人は目を丸くする。
朋香の顔はみるみる青くなる。
「あんたのやってることはただの僻みだよ。家庭の事情とかは知らないけど、その憂さ晴らしをこの二人にするのは最低だよ。」
朋香を睨んで言い放つリョーマに朋香は愕然とし、遂には溜めていた涙をポロポロ落としながら走り去って行った。
「越前くん…ありがとう。」
「別に…。」
ペコリとお辞儀をする二人を背に、リョーマは帽子を深く被って歩いて行った。
リョーマの背中を見つめる二人の心には、朋香の悲痛な言葉と表情が焼き付いていた。
END