未来【リョーマ夢】
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光が産まれて早半年。
リョーマは部活が終わるとみんなより早く帰り、必ず杏菜の家に寄るのが日課になった。
だが、この日は予想外の出来事があった。
「やぁ。」
久しぶりにテニスコートに顔を出したのは卒業した3年の元レギュラー陣たちだった。
「先輩方!!」
堀尾が声を上げると、他の部員も片付ける手を止めて先輩たちの前に集まった。
「お久し振りです!」
少し背が大きくなったカチローが目をキラキラさせて言った。
「みんな、元気そうだな。」
手塚がみんなを見渡すと、端に並んで立っていたリョーマに目を止めた。
「越前、桃城と光は元気か?」
「まぁ。元気っス…」
急に振られて少し驚く。
すると不二が吹き出した。
「手塚、それ何だかお祖父ちゃんみたいだよ…」
「ぷははは!!それ俺も思ってたー!」
不二に続いて菊丸も笑う。
手塚が少し顔を赤くすると、乾が眼鏡を押し上げてリョーマに言った。
「越前。どうやら俺たちが引き留めてしまったようだな。」
「え…?」
「乾じゃなくてもわかるよ。杏菜と光ちゃんの所に毎日行くんだろう?早く行ってやれよ。」
大石が優しく言うと、それだけ自分がわかりやすかったのだろうとリョーマは少し恥ずかしくなりながらも一礼して足早にその場を去った。
「オチビ、本当に父親なんだよにゃ~」
ポツリと呟く菊丸。
それにみんなはクスッと笑って去っていくリョーマを見つめる。
「越前のやつ、誰よりも早く着替えて帰るんスよ!」
ニヤつきながら堀尾が言う。
「でもリョーマくん、光ちゃんがどんな感じか教えてくれないんだよね…」
「その代わりに、桃ちゃん先輩が時々光ちゃんを連れて来てくれるんですよ!」
カツオとカチローが微笑ましげに言うと、他の部員やレギュラー陣も自然と笑みが溢れた。
ピンポーン…
「は~い!」
杏菜の家のチャイムを鳴らすと、すぐに杏菜が玄関の扉を開けた。
「お疲れ様、リョーマ。」
ニッコリとリョーマに笑いかける。
「っス…」
リビングに入ってベビーベッドを覗くと、光が気持ち良さそうに眠っていた。
「今日ね、光の6ヶ月検診に行ってきたんだよ!」
「6ヶ月検診…?」
首を傾げるリョーマに、杏菜は検診の診断書をリョーマに見せた。
「光がどれだけ成長してるかの検診。寝返りとか、歯の生え方とかを検査するんだって!」
「へ~。」
診断書と光の顔を交互に見る。
「光はすくすくと問題なく成長してるみたいだよ!」
ね~。と光の頬を軽くつつく杏菜の表情は、母親そのもの。
それをリョーマは横で幸せそうに見つめていた。
次の日、いつものメンバー9人で集まり、ストリートテニスコートにやってきた。
杏菜が普段テニスをしているみんなの様子をウズウズしながら見ていたのを大石が気付き、たまには体を動かした方がいいという提案だった。
その間光は他のレギュラー陣たちが見ていればいいということで、杏菜は喜んで提案にのった。
「体動かすのなんて久しぶりー!」
久々に握ったラケット。
一年以上やっていないと自分がどうなっているか少し怖い。
「下手になってるんじゃないスか?」
ニヤリと笑うリョーマに、杏菜は笑いながら反応した。
「ちょっとー!どういう意味よー!……否定は出来ないけどさー」
笑いながら言う杏菜につられて、光も笑いだした。
「本当に二人は仲が良いよね。」
河村が言うと、他のレギュラー陣も揃って頷く。
「…そうっスか…?」
首を傾げてリョーマが聞く。
「ああ。光ちゃんも幸せそうだよ。」
大石が光を見て微笑むと、それに反応した光が更に笑った。
コートには杏菜、反対側にはリョーマが立ち、シングルスで試合をすることに決まった。
「サーブはリョーマに譲るよ。」
「いいんスか?後悔しますよ?」
「また生意気言う~!」
コートの端と端でのやり取りに、レギュラー陣はクスッと笑った。
「このやり取り、懐かしいね。」
「ああ。親になっても二人が変わらなくて良かったよ。」
不二と大石が二人を見ながら言った。
試合が始まって5分…
一向にお互い点が入らず、0ー0のままラリーが続いた。
「ラリーが続くようだな…。」
手塚が呟くと、みんなが頷く。
すると乾が杏菜を見ながらノートに何やら書き出した。
「どうしたんスか、乾先輩。」
「いや、桃城の打球の威力がが以前より強くなっている気がしてね。」
「確かに、越前が打ち返すボールの音が前と違う気がするよ…」
乾の横で大石が杏菜を目で追いかけながら言う。
「腕の筋肉が発達しているようにも見える…」
ノートと杏菜を交互に見る乾に、今まで光を抱いていた河村があることに気がついた。
「そうか!杏菜は毎日光ちゃんを抱っこしてるから、自然と筋肉が付いたんじゃないかな?」
「なるほど!だから打球の威力が強くなったんだ!」
感心するように菊丸が言うと、乾は興味深そうにノートに書き込んだ。
すると………
「ヒック…ヒック……ぅぅ…う………ぅあああああん!!!」
「うわっ!」
今まで笑っていた光が急に大きな声で泣き出した。
その声にみんなビックリして、試合中のリョーマと杏菜も中断して光の元へ駆け寄った。
「どうしたの~?光~?よしよし、泣かないで~」
河村が杏菜に光をそっと渡すと、杏菜はさっきまでの学生の顔からすぐに母親の顔になった。
光をあやす杏菜の横でリョーマも何事かと心配しながら見ていた。
「おしめでもなさそうだし、ご飯はさっきあげたし…何で…?」
原因がわからず困っていると、リョーマが光の頭を優しく撫でた。
すると光が泣き止み、安心したのかすぐに幸せそうに眠りについた。
「泣き止んだ!」
「急にどうしたんだろうね…?」
菊丸と河村が光を見ながら不思議に思う。
「もしかして、杏菜と越前がラリーを続けてたとき、光ちゃんにはお父さんとお母さんが喧嘩しているように見えたんじゃないかな?」
不二がポツリと言うと、みんなはなるほどと言ったように杏菜とリョーマを見た。
「そっか。だから俺たちが光の傍に行くと泣き止んだ…」
「そういうことだったの。ごめんね、光。不安にさせて。でもパパとママはずーっと仲良しだからね~」
杏菜が優しく微笑みかけると、眠っている光はまるで杏菜の声が聞こえているかのように幸せな表情になった。
レギュラー陣もその様子を微笑ましそうに見つめていた。
END