Angel therapy2【青学+高校生逆ハー夢】
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杏菜たちが合宿に参加して早一週間。
今では大分手伝いにも慣れ、大変ながらも楽しそうにやることをやっていた。
今日も選手たちが練習をしている間に施設内の掃除や洗濯をやり、時間が空けば練習風景の見学も許されていた。
選手たちには厳しいコーチ陣も、杏菜と桜乃の前ではやや甘々気味だ。
杏菜と桜乃は、選手たちがもうすぐ休憩に入るということで、ドリンクやタオルを用意してコートの外で練習風景を見ながら待っていた。
すると…
「おや、こんにちは。」
後ろから誰かの声が聞こえた。
二人が振り返ると、振り返った先の目線よりまだ少し上の方でニッコリと笑うメンタルコーチの齋藤至がいた。
「あ、こんにちは。」
二人がペコリとお辞儀をすると、またニッコリと笑って齋藤が言う。
「もう準備が出来ているなんて、流石頑張り屋さんのお二人ですね。選手たちが気に入るのも無理はない。」
「い、いえ…!そんな…!」
桜乃が恥ずかしそうに俯くが、内心嬉しそうにしている。
「そういえば、この間入江くんと平等院くんが君たちの話をしているのを聞きましてね。珍しく平等院くんが君たちの事を褒めていましたよ。」
「え…!?そうなんですか…!?」
二人は驚いて口をポカンと開ける。
「ええ。あの平等院くんが褒めるくらいですから、君たちは相当優秀なんですね。」
まるで自分のことのように喜ぶ齋藤。
そんなことはいざ知らず、二人は余計に恥ずかしそうにするのだった。
その日の夕食が終わった後の自由時間。
風呂に入ったり自主練したり遊んだりと、選手たちは各自自由に行動していた。
杏菜と桜乃は食堂のテーブルに座って休憩しながら楽しそうにお喋りをしていた。
と、そこへ…
「こんなところで何してるんだい?」
優しそうに微笑みながら近づくのは入江だった。
『え…!』
「入江、そいつら驚いてるじゃねぇか。」
入江の隣に平等院。
思いもよらぬメンバーが続々と二人に近づき、何事かと驚く。
二人は平等院の姿を見て、昼間の齋藤の話を思い出して何故か俯く。
それを萎縮と感じ取ったのか、ひょこっと現れた種ヶ島が平等院に言った。
「お二人さん、エライ萎縮しとんな~!そりゃこんなバカデカイおっさんがおったら誰だってビビるわ~!」
ケラケラと笑う種ヶ島に平等院はフンッと顔を背ける。
それを咄嗟に杏菜が否定した。
「ち、違うんです…!萎縮とかじゃなくて…その……」
何と説明していいのかわからないでいると、今度は三津谷が輪の中に入って代わりに説明した。
「彼女たちは普段人を褒めない平等院さんが自分達を褒めていたので、照れているだけのようだ。そうだろ?」
『!?…//////』
図星をつかれビックリする二人。
だがそれもそのはず。
三津谷あくとは柳にデータテニスを教え、更に柳が乾にそれを教えた、云わば乾のデータテニスの大元となった張本人。
乾自身、本人が何故それを知っている?と思うほどのデータ収集力を持っている。
その大元となればこれくらいのことを知っていても無理はない。
身近に同じような先輩がいれば最早二人はすんなり納得出来てしまった。
「ほ~!平等院がな~…。珍しいこともあるっちゅーことやな!」
平等院を肘で軽くつつく種ヶ島。
顔を背けていた平等院の顔が少しだけ赤かったことを種ヶ島は黙っておいた。
…あとで殺されかねないからか……。
そんな会話を聞いていたのか、他の高校生たちもぞろぞろ集まってきた。
「随分と賑やかですね。」
「俺らも混ぜやがれ!」
「月光(つき)さん!何や楽しそうな話してますよ~!」
「なかなか珍しい面子じゃねぇか。おい!徳川も来いや!お前もアイツらのこと気にしてたじゃねぇか!」
「いや…俺は……」
「こんなに大勢集まってどうしたんですか?」
君島、遠野、毛利、越知、鬼、徳川、更にかつての青学の元部長である大和まで集まった。
「や…大和部長まで…!」
大きな体格の高校生たちが小さな中学生女の子二人を囲む。
端から見たらとても危険な光景だ。
「何だかぞろぞろと集まってきちゃったね。みんな君たちのこと気に入ってるからかな…?」
やれやれ…とため息を吐く入江の一言で、他のメンバーは何かを察した。
「どうやら俺の予想通り、ここにいる方たちは皆ライバルということか。…実に興味深いデータが取れそうだ。」
眼鏡を押し上げて三津谷が不適に笑う。
「さして興味はない…。が、誰かに負けるというのは癪だ。」
「…とか何とか言って、月光(つき)さんも彼女らのこと目で追っとったやないですか~?」
毛利が越知を見つめる。
すると越知がギロリと毛利を睨み返した。
「おっと…!ここで精神の暗殺者(メンタルのアサシン)使わんといてください…!…すんませんって!」
ダブルスパートナーでも睨まれたらやはり怖いのだろう、毛利が少しおののいた。
「…テニスでも恋でもライバル、ということですね?」
「面白ぇじゃねぇか!俺に挑むやつは全員血祭りに上げてやるよ!」
君島と遠野も目を滾らせて全員を見る。
置いてきぼりの杏菜と桜乃。
と、そこへ…
「ちょっとちょっと先輩方~。うちの後輩いじめないでもらえますかね~」
桃城を始めとする青学メンバーがぞろぞろとやってきた。
「先輩方…!」
見知った先輩たちの登場に少しだけ安堵する二人。
「どうして先輩方が彼女たちを取り囲んでいるのか…。それを聞くのは愚問ですよね…?」
「大方そいつらを気に入って近づいてんだろ…」
不二と海堂が高校生たちを怯むことなく見据える。
ただならぬ空気に大石は仲裁に出る。
「や、止めないか二人とも…。先輩方に向かって…」
苦笑しつつも二人が心配というようにチラッと大石は二人を見る。
それを察してか菊丸が強気で言った。
「大石、高校生たちに俺たちの可愛い後輩取られてもいいの?」
「え…!そ、それは……」
菊丸の言葉に戸惑う大石に、更に河村が言う。
「俺も最初は大石と同じ意見だったけど、彼女たちが彼ら高校生たちに囲まれてるのを見るのは嫌な気分だな。」
「堀尾さん、竜崎さん共にここ一週間我々のために一生懸命頑張ってくれた。その健気な姿が高校生たちに好評価を受けたらしい。」
淡々と語る乾も声には出さないが表情は真剣。
「そういうこと。アンタたちモテすぎ。」
リョーマが呆れた声で言うが、当の本人たちはその気があって接しているわけではないのでどうしようもない。
無自覚というのは怖いものだ。
「そういうことに興味なさそうに見えて、意外と闘争心丸出しじゃねぇか。」
今度は誰だと思い杏菜たちが声のする方を見ると、なんとそこにはリョーガがオレンジを噛りながらやってきた。
「…そういうアンタもそいつらのこと狙ってんじゃん。」
む。としてリョーガを見る。
ここまで来ると最早わけがわからない。
何故こんなに自分達に先輩たちが寄ってくるのか謎だ。
そんな様子をニヤリと笑いながら平等院が言った。
「どうやらここにいる奴ら全員がお前らに惚れてるらしいな。」
『えっ!?』
腕組みをして言う平等院を見上げる二人。
「無自覚だったのか。」
徳川も平等院に“全員”と言われたことに最早反論することなく、自分の気持ちに気付いて二人を見て言った。
そこに入江がクスクスと笑いながら二人に顔を近づけた。
「でも、一番君たちの事が大好きなのは、この僕だよ?……なんてね」
『!?//////』
囁くような物言いに二人はドキッとする。
「気ぃつけや~。入江は青草~い演技が得意なんや。騙されたらアカンで~」
二人の頭をポンポンと撫でる種ヶ島。
その手を遠野が掴んで払いのける。
「おい。こいつらに触れていいのはこの俺だ!」
「そんなこと誰が決めましたか?彼女たちはこれから私と交渉して、私専属のお手伝いさんにするんです。」
「君島、それかなり変態だぞ。」
鬼が君島にツッコミを入れる間に今度は大和が言った。
「君たちは僕の後輩ですし、一度青学の合宿でお会いしています。知らない人たちより、同じ学舎の先輩の方が気が楽でしょう。」
確かに青学は関東大会の立海戦の後、強化合宿を行った際、合宿所で大和に初めて会った。
だがまさかこの合宿所で再開するとは思わず、しかも風貌がかなり変わっており、初対面での印象とまるで違って戸惑った。
「お言葉ですが大和部長。我々現青学メンバーの方が彼女たちにとって最も気が楽なのでは?」
乾がすかさず大和に言うと、リョーマがそれに付け加える。
「先輩たち年上だけど、俺と堀尾と竜崎、同い年なんだけど。」
リョーマの言うとおり、高校生よりも同じ青学の先輩よりも同い年のリョーマの方が気が楽なのは確かだ。
だが二人にとってはそういう問題ではない。
自分達を取り合ってテニス以外で張り合う姿を見るのはあまり良い気分になれない。
「あ…あの……皆さん……」
オロオロと高校生メンバーと青学メンバーを交互に見る杏菜。
「チビ助。テニスでも俺に勝てねぇくせに、恋の事でも俺に勝てると思ってんのか?」
ニヤリとリョーガがリョーマを挑発すると、リョーマはさっきよりむ。とする。
「アンタにだけは負けたくない。」
ギッとリョーガを睨むと、高校生と青学の間でバチバチとただならぬムードになっていく。
これからどうなるのかわからない空気を、更にオロオロしながら眺めてため息を吐く杏菜と桜乃だった。
END