贈り物【リョーマ夢】
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♪♪♪~♪♪♪~♪♪♪~♪♪~
世はクリスマスムード一色。
街はツリーやらイルミネーションで彩られて、周りには幸せそうなカップルや家族連れが笑顔で歩いている。
だが、そんな雰囲気に不釣合いなカップルが一組…。
「ねぇ!もう機嫌直してよ~!」
「………」
名無しさんが何を言ってもリョーマは答えない。
事の発端は数時間前に遡る。
午前まで部活をしていたリョーマは、午後からデートする名無しさんと駅前で待ち合わせをしていた。
しばらくして名無しさんが改札口から出てきた。
『遅い…ん?』
『じゃあまたね~!』
改札口から出てきた名無しさんを見つけて話しかけようとすると、名無しさんは知らない男と笑顔で出てきた。
もちろんすぐに別れたのだが、リョーマは信じられないというようにムスッとした。
『ごめんねリョーマ!つい話し込んじゃって!』
『別に…あいつとずっと一緒にいれば良かったじゃん。』
名無しさんの顔も見ずにスタスタと歩くリョーマを名無しさんは訳がわからず追いかける。
『ちょ…待ってよリョーマ!あれはただの幼馴染だよ!』
『じゃあ何であんなに笑顔なわけ?』
立ち止まらずに早足で歩きながら聞く。
『だって久しぶりに会ったんだもん…!彼、引っ越しちゃって会わなくなったから…』
必死に誤解を解く名無しさんの言葉に耳を傾けながらもやはり怒りは冷めない。
何も会話が無いまま数時間が過ぎ、今に至る。
「あれはたまたまだったんだってば!信じてよ~!」
何を言っても何も喋らないリョーマに困り果てた名無しさんはすっかり落ち込んでしまった。
歩く速度を落とし、とぼとぼ歩いてしまった名無しさんの方をやっと振り返ったリョーマが溜息を吐く。
俯いていた名無しさんがフと前を見るとリョーマがいなくなっていた。
「…あれ…?…リョーマ…?」
少し不安げな声でリョーマを呼ぶ。
すると名無しさんの首元に何かが触れた。
「キャ…!」
振り返るとリョーマが首に腕を回していた。
「リ…リョーマ…!?///////」
「ごめん。」
そう一言呟く。
「わ、私こそごめん…。リョーマの気持ち全然わかってなくて…」
「いや。俺も子どもみたいだった…。」
名無しさんに向き直り、真っ直ぐ見つめる。
すると周りの人たちがワッと歓声を上げた。
『綺麗!』
その声に名無しさんとリョーマは人々の向く方向を見た。
「…うわ~…」
そこには今まで点いていなかった高いツリーにイルミネーションが一斉にライトアップされた。
このツリーのイルミネーションをカップルで見て、キスをすると二人は必ず幸せになるという噂があった。
周りを見ると、カップルの殆どがお互い人目も気にせずにキスをする。
その恥ずかしさに耐えられなくなった名無しさんは、恥ずかしさを誤魔化すようにあることを思い出した。
「あっ!そうだ!…リョーマ、これ…/////」
「ん?」
鞄の中をゴソゴソと漁り、一つの紙袋を出した。
「これ、誕生日プレゼント…。」
そう言って紙袋をリョーマに差し出す。
「え…俺に?」
「うん。」
「アリガト…。開けていい?」
「う、うん…!」
ガサゴソと中身を取り出す。
「あ…グリップテープ…!」
リョーマの手にはいつも愛用しているテニスラケットのグリップテープがあった。
「もう少なくなってきてると思って…/////」
「ありがとう。…あれ?まだある………あ、これ…」
袋の中からもう一つ取り出すと、そこにはオシャレなフォトアルバムがあった。
「それにカルピンの写真を入れてくれたら嬉しいなって…//////」
照れながらリョーマを見つめる名無しさんに、リョーマは微笑んだ。
「ありがとう。大事にする。」
グリップテープとフォトアルバムを紙袋に仕舞い、鞄に入れる。
それと同時にリョーマも何か取り出した。
「俺からも…。これはクリスマスプレゼント。」
「え、嘘!?ありがとう!!」
予想していなかったことに驚く名無しさんはリョーマからプレゼントを受け取ると、早速袋を開けた。
「あ、この色…!」
名無しさんの手にはシュシュが入っていたのだが、その色が赤、青、白…青学のジャージの色になっていた。
「すごい!デザインも何だか似てる!嬉しい!」
シュシュを掌で包み込んで笑顔を見せる。
「良かった。」
改めてリョーマが微笑むと、名無しさんはおろしていた自分の髪を器用に一本に纏めて高い位置で整え始めた。
そして貰ったばかりのシュシュを纏めた髪に結ぶ。
「出来た…!どう?」
嬉しそうにポニーテールにしてリョーマに聞く。
「……似合ってんじゃない…?//////」
だがリョーマは名無しさんの方を向こうとしない。
「ちゃんと見て無いじゃん!」
リョーマが顔を逸らした方に名無しさんが覗くとまた逸らす。
そんなことを繰り返していく。
すると二人の目線が会った。
「……」
「…///////」
お互いどちらからでもなく、吸い寄せられるかのようにそっと唇を重ねる。
触れるだけのキスだったが、二人の頬は既に熱い。
長い沈黙を破ったのは名無しさんだった。
「…お誕生日おめでとう。リョーマ…。」
「ん、ありがとう。…メリークリスマス。名無しさん…。」
いつの間にか街には深々と雪が降り始めていた。
END