本当は【伊武夢】
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『伊武くん、おはよう!』
俺の同じクラスに笑顔が可愛いヤツがいた。
気が付いたらそいつのこと見てて、気が付いたら好きになっていた。
でも俺は、話しかけられても癖でついボヤいて彼女を傷つける。
「伊武くん、部活頑張ってね。」
HRを終えて教室を出ようとすると、名無しさんが話しかけた。
-傷つけないように…優しく…-
そう心の中で思っていてもやっぱり…
「部活好きなんだから頑張らないわけないだろ?…いちいち言わないでほしいよな~…。」
「う…うん…、そうだね…。ごめんね。…じ、じゃあまた明日ね!」
しまったと思った時にはもう遅かった。
名無しさんは苦笑しつつ少し悲しい表情をして教室から出て行った。
…またやってしまった…
そんな後悔が俺の心を苦しめていた。
フと廊下を見ると、女子と仲良さそうに歩くアキラがいた。
「だろ!?…で、俺がこう言ったらさ~!……」
「あはは!神尾くん面白~い!」
無駄に高い声で媚びる女子を横目で見ながら二人を追い抜かしていた。
「あっ!深司待てよ!…じゃあまたな!」
俺の後ろを追いかけてアキラが叫んだ。
…何でアキラは楽しそうに人と話せるんだろうか…。
アキラと話す女子はみんな笑ってる。
俺だって名無しさんの笑顔を見たい。
でも俺は名無しさんを傷つけてばかりだ。
名無しさんは何で自分が傷つくとわかっていながら俺に話しかけるんだろう…?
そう思い始めるとキリがなく、部活も集中できなかった。
『部活好きなんだから頑張らないわけないだろ?』
よくそんなことが言えたものだと、自分で自分を笑った。
次の日、いつものようにHRが終わり、みんなが帰っていく。
名無しさんは昨日のことがあるから、俺に話しかけずに手だけ振ってドアに向かう。
それを俺は無意識に止めた。
「あ…名無しさん。」
「えっ!?」
びっくりした顔で俺を見上げる。
「あのさ…何であんたっていつも俺に話しかけるわけ?」
「え?」
「一応…自分で自覚はしてるけど…俺、ボヤく癖あるし…楽しくないんじゃないのかって思って。」
そう言った後、何故か名無しさんが笑顔になった。
「そんなことないよ。私は伊武くんの話を聞いて楽しくないなんて思ったことないよ。」
「じゃあ何で悲しい顔するわけ?」
「…私が伊武くんを不快に思わせることが多いから…“あぁ…またやっちゃった…”って思うの。」
苦笑して名無しさんが言う。
それに俺は溜息を吐いて言った。
「何だよそれ。わかりにくすぎ。そんなの俺が悲しませて名無しさんに嫌われたかと思うじゃん。」
「そ、そんなことないよ…!私…伊武くんが…!////////」
そこまで言って名無しさんは顔を真っ赤にして俯いた。
「そういうの、俺から言うべきだよね。…ずるいよな~…。」
軽くボヤいた後、名無しさんを真っ直ぐ見つめた。
「俺、名無しさんが好きだから。」
「え…?///////」
いったいどこまで赤くなるんだろうと思うほど顔が真っ赤になる名無しさん。
「あの…伊武くん…ホント…?/////」
「嘘なんて言う訳ないだろ?」
「う、うん…///////」
名無しさんは俯いて頷いた。
俺、名無しさんと上手く話せるかな…?
名無しさんを笑顔に出来るかな…?
そんな不安を抱きながら俺たちの関係は始まった。
END