そっくり【菊丸夢】
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中間試験のため4時間で帰る青学中等部の学生たち。
その中に男子テニス部の不二と菊丸がいた。
「英二、テストどうだった?」
「ん?…ん~、まぁまぁかにゃぁ?」
苦い顔で菊丸が答えた。
「あっはは…。僕も…かな?」
「ええ!?不二でもまぁまぁなのかよ!?」
「うん。今回のテスト、少し難しかったからね。」
「不二がまぁまぁなら俺はダメダメじゃんか~…。」
「英二、僕を買い被りすぎだよ。」
そんなことを言いながら二人が歩く。
すると急に菊丸が止まりだした。
「英二?どうしたの?」
菊丸に続いて不二も止まる。
菊丸の目線の先には幼稚園があった。
「幼稚園?」
不二が外で遊ぶ園児たちを見て言う。
「うん。帰るのが遅いし、いつも園児たちはいないから。」
「そうだね。こんな時間に帰ることなんていつもはないからね。」
二人が見ていると、部屋の中から泣きながら外へ出て先生のところへ行く女の子を見つけた。
『先生~!○○くんがクレヨン取った~!!』
顔を真っ赤にして女の子が泣く。
「あ、あの子泣いちゃったね…。」
女の子を見ながら不二が言った。
そしてしばらくして不二が歩き出した。
「英二、行こう。」
だが菊丸は女の子を見つめたまま動かない。
「…英二?あの子が気になるのかい?」
不思議に思って聞いた。
「いや…あの子…俺が今好きな子に面影がそっくりだなって…。」
女の子を見て菊丸が呟く。
「え?」
「その子ね…近所に住む女の子で、名無しさんちゃんって言うんだけど、童顔で幼さがあるから、同い年なのに子どもっぽいんだ。」
幸せそうに話す菊丸を見て不二がクスッと笑って言った。
「限りなう心を尽くしきこゆる人に、いとよう似たてまつれるが、まもらるるなりけりと思ふにも、涙ぞ落つる。」
「え?不二、今何て言った?」
不二からの突然の言葉に菊丸が聞き返す。
「クスッ…。何でもないよ。ほら、もう行くよ。」
困惑する菊丸を置いて先に進む不二。
それを菊丸は慌てて追いかけた。
END