映像に乗せて【リョーマ夢】
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今日はこの間レコーディングした曲のMV撮影。
どんな感じにするのかは打ち合わせで聞いてるけど、上手く出来るか正直不安。
でも、頑張らなきゃ!
家を出て撮影スタジオに向かう。
「おはようございます!よろしくお願いします!」
いつものようにスタッフさんに挨拶すると、笑顔で返してくれた。
「じゃあ、早速ヘアメイクお願いします。」
演出さんがそう言うと、ヘアメイクの女性のスタッフさんが返事をして私をヘアメイク室に通した。
「竜崎さんの髪、すっごく長いですよね~!お手入れ大変でしょ?」
髪を櫛でときながら言う。
「もう慣れちゃいました。」
「あら、そうなんですか?」
「はい!」
そんな談笑をしながらあっという間に髪型が出来上がった。
「では次にメイクに取りかかりますね!」
「はい、お願いします!」
パタパタと手際よくメイクされていく。
何度経験しても、自分の顔がみるみる変わっていくのに戸惑ってしまう。
ゆっくりしている暇もなくすぐに衣装に着替える。
私の好きなピンク色を基調としたバルーンスカートが可愛くて、それだけでも嬉しくなる。
衣装に着替えてスタッフさんの前に出ると、所々から可愛いという声が聞こえてきて少しだけ照れる。
「じゃ、MV撮影始めます!」
『よろしくお願いします!』
みんなが挨拶をすると、いきなり事務所の社長がマネージャーさんと一緒にスタジオに入ってきた。
「すみません、その前に今日は杏菜ちゃんに素敵なお客さんが来てるから、見学させてもいいかな?」
社長がそういうと、ドアの方を向いてその見学者を呼んだ。
「誰だろう?」
不思議に思いながら入ってくる人たちを見る。
「りょ、リョーマくん!?それに、先輩たちに堀尾くんたちまで!!」
そこにいる人たちが信じられなくて目を丸くする。
「竜崎さんに内緒で見学に来てもらったんですよ。」
マネージャーさんが私に言うと、手塚先輩が丁寧に挨拶をした。
「本日はお忙しいところ、お招き頂いてありがとうございます。」
「いやいや、杏菜ちゃんの緊張も解れて丁度いいよ!ゆっくりしてって!」
スタッフさんが優しく言うと、他の先輩たちや堀尾くんたち、リョーマくんもお辞儀をした。
「特に越前くんと杏菜ちゃんは公認のカップルだし、緊張も解れると思ってね。」
ニヤニヤと社長が言うと、スタッフさんたちがつられてニヤニヤと笑う。
それが何だか恥ずかしくなり顔を少し赤くするけど、何より嬉しさの方が強かった。
「ありがとうございます!私、頑張ります!」
社長やマネージャーさんの好意が嬉しくて、顔を綻ばせて頷く。
「じゃあ、撮影始めます!」
監督の合図で撮影が始まった。
「何かワクワクするな!」
「堀尾くん、静かにしなきゃダメだよ…」
「でも、竜崎さん可愛いよねー」
堀尾くん、カチローくん、カツオくんが端でボソボソ言っている。
その横で何故か乾先輩がノートに何かを書いていた。
「乾、何書いてるんだい?」
大石先輩が乾先輩に聞くと、乾先輩はニヤリと笑った。
私の距離からだと何を言っているのかはわからなかったけど、聞かない方が良い気がする…
先輩たちの視線が恥ずかしいけど、何より気になるのは…リョーマくん…
リョーマくんに向けての曲だから、余計に恥ずかしい…!
それでも集中しなきゃと撮影に没頭する。
『♪無口なあなたへ伝える気持ち 恥ずかしくて普段は言えないけれど ずっと想いは変わらない
ありがとう 大好き♪』
私のお気に入りの歌詞。
カメラの隣に立つリョーマくんを見つめていると、恥ずかしいけどとても幸せな気持ちになる。
黙って見ていたリョーマくんが少しだけビックリしているのがわかる。
「はい!OK!じゃあ10分間休憩します!」
監督が指示を出してみんなの緊張が解けた。
「すっごい良かったよー!」
菊丸先輩が真っ先に駆け寄る。
「あの曲、越前に向けての曲か。」
またニヤリと笑う乾先輩の言葉に、他の先輩たちが囃し立てる。
「この幸せ者~!」
「ちょ…痛いっス桃先輩…」
「ケッ!浮かれてんじねぇよ…」
「マムシ羨ましいんだろ~!」
「そ、そんなんじゃねぇ!!!」
先輩たちに弄られるリョーマくんを見てつい笑ってしまう。
「すごく気持ちが入っていたね。」
「見ているこっちが恥ずかしかったよ~」
不二先輩に続いて河村先輩が言う。
「ありがとうございます/////」
するとあっという間に休憩が終わり、撮影が再開された。
口パクで曲に合わせるのが難しくて何度かやり直しがあったけど、ようやく最後のシーン。
実は私はこの最後のシーンの撮影の企画を聞いていなかった。
「最後のシーンは君に協力してもらおうと思うんだけど、いいかな?」
すると監督がリョーマくんにそう言っているのが聞こえた。
「え、俺…?」
急なことに戸惑った顔のリョーマくん。
私だってビックリしてる…
「か、監督…!どういうことですか!?」
監督に駆け寄り事情を聞く。
「杏菜ちゃんのこの曲は彼に向けた曲だろ?それなら最後はその彼にも出演してもらうんだ。」
「でも、リョーマくんは一般人ですよ?…そりゃ、テニスの雑誌にはいっぱい出てますけど……」
「安心しなさい。杏菜ちゃんと彼にはカーテンの奥に立ってもらって、二人のシルエットを撮影しようと思うんだ。」
いつの間にかセットされたのか、白い綺麗なカーテンが出ていた。
「そこで何をすれば…?」
「ん~…一番良いのはキスだが…強要はしない。」
「!?////////」
「っ…!」
監督の一言に私たちはビックリする。
強要はしないとは言っても、まさかそんな案が出てくるなんて…!
私はチラっとリョーマくんを見た。
すると…
「ん。俺はいいけど」
二つ返事でリョーマくんが言った。
「えっ!?リョーマくん…!」
スタスタと歩くリョーマくんに、監督が後ろから言った。
「ただ君の身長だと、少し台に乗ってもらうことになるな~」
「うっ…!!」
リョーマくんの気にしてることをストレートに言う監督。
後ろで先輩たちが声を殺して笑っているのが聞こえる。
「…別に……それでもいい…」
少し不服そうだけど、コクンと頷いた。
かなり恥ずかしいけど、やるしかない…!
私は軽く深呼吸してリョーマくんのいるカーテンに行った。
私より身長が高くなるようにリョーマくんは台に乗る。
腰から上を撮るみたいだから問題はないみたい。
「じゃ、撮影再開しまーす!」
監督の合図で撮影が始まった。
曲の最後の部分が流れる。
タイミングに合わせてリョーマくんにキスをする。
すっごく恥ずかしい…////
シルエットだけど、みんなが見てる…!
でも何だか嬉しくて、思わずリョーマくんの体に腕を回した。
それから数秒後…
「OK!!最高だよ杏菜ちゃん!」
監督が今までにないくらい大きく頷いた。
私の顔は真っ赤のまま…
カーテンから顔を覗かせると、囃し立てるように先輩たちが私たちを見る。
リョーマくんは何故か勝ち誇ったような顔で私を見た。
「これでMV撮影は終了です!お疲れ様でした!」
『お疲れ様でした!』
一日中撮影していた分疲れは凄かったけど、何だか心が満たされている気がする。
恥ずかしかったけど、リョーマくんが傍にいて、堀尾くんたちや先輩たちも傍で笑ってくれる。
「ありがとう、リョーマくん!」
私は満面の笑みでリョーマくんにそう伝える。
「良かったよ、杏菜。」
笑ってそう言ってくれるリョーマくんに照れながらも、幸せな気持ちになりながら頷いた。
後ろから冷やかす先輩たちの声がやけに大きく聞こえたけど、それも全部恥ずかしさから嬉しさに変わっていった。
リョーマくん、大好きだよ!
END