歌に乗せて【リョーマ夢】
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いつもより早く起きて軽く声を出してみる。
「あー、あー…」
やっぱり朝は綺麗な声が出ない。
ベッドから降りて床に座ってストレッチ。
そしてまた声を出してみる。
「あー、あー……よし!」
何でこんなことをしているかというと…今日は新曲のレコーディングの日。
レコーディング自体は何度か経験あるけど、今日はいつもより緊張する。
だって、今日の曲は……
「杏菜ー!そろそろ起きないとご飯食べられないわよー!」
お母さんが1階から私を呼ぶ。
「はーい!!」
ささっと着替えて2階に降りた。
ご飯を食べて顔を洗い、気持ち少しだけメイクをする。
「行ってきまーす!」
「杏菜、忘れ物しとるぞ~」
勢いよく出ようとすると、おばあちゃんがマスクとのど飴を持ってきてくれていた。
「おばあちゃん!ありがとう!」
「まったくそそっかしい孫によくリョーマは呆れんの~」
溜め息を吐きながらおばあちゃんが言う。
「も~、おばあちゃん…!」
頬を膨らませておばあちゃんを見上げる。
「冗談じゃ!ホレ、言っといで!」
バシッと私の背中を叩いて笑顔で見送ってくれる。
「うん、行ってきまーす!」
のど飴をポケットに入れてマスクをして出掛けた。
スタジオに行く前に少しだけ寄り道…
向かうのはリョーマくんの家。
リョーマくんの顔を見ると、不思議とお仕事が頑張れる。
でもあまり時間がないから、少しだけ急いで歩いた。
玄関の前に着いてマスクを取ってチャイムを鳴らした。
ピンポーン
「はい…」
ガラガラ…
「杏菜…!」
リョーマくんの家のチャイムを鳴らすと、リョーマくんが驚いた顔をして出てきた。
「おはよう、リョーマくん。」
「今日レコーディングとか言ってなかった?」
「うん、スタジオに行く前にリョーマくんの所に寄ってみたんだけど…迷惑だったかな?」
何も言わないで来たから迷惑だったんじゃないかと少し心配になる。
でも、そんな心配はいらなかったみたい。
リョーマくんはすぐに首を横に振った。
「そんなことない。会いに来てくれてサンキュー。」
「う、ううん///////」
普段は素直に言ってくれないリョーマくんだけど、時々素直に言ってくれると凄くビックリするし嬉しい。
「杏菜、ちょっと…」
「え…?何…?」
急にリョーマくんが私の手を取って外に出る。
何事かと思いながらリョーマくんに着いていくと、リョーマくんの家の庭にある木の陰に連れてこられた。
「どうしたの…?」
そうリョーマくんに問うと、リョーマくんが私に近づいて……
チュ……
「っ…!/////////」
リョーマくんが私の唇にキスをした。
「レコーディング上手くいくおまじない。」
ニヤリと笑うリョーマくんに私は赤面するばかり…
でも、何だか嬉しくてニコッと笑い返す。
「ありがとう、リョーマくん!私、頑張るね!」
「ん。行ってらっしゃい。」
「行ってきます!」
名残惜しいけど、そろそろ行かなきゃ遅刻しちゃう。
そう思いながらリョーマくんの元を離れて見えなくなるまで手を振った。
……よし、頑張れそう…!
おばあちゃんが渡してくれたのど飴を口に含んでスタジオに向かった。
スタジオに着くと既に数人のスタッフさんたちがいた。
「おはようございます!今日は一日よろしくお願いします!」
元気よく挨拶をすると、ミキサールームにいたスタッフさんたちが挨拶を返してくれた。
歌い方のアドバイスや変更点を聞いてレコーディングルームに移動する。
『杏菜ちゃんの想いを綴った歌詞だから、心を込めて歌ってね!』
「はい!」
ディレクターさんがミキサールームから指示を出す。
…そう、今日レコーディングするのは、私が初めて作詞をした曲。
大好きな彼氏に感謝を伝える内容の歌詞。
この曲はリョーマくんのために歌う。
リョーマくんを思い浮かべてヘッドフォンから聞こえてくる音を聞きながら歌った。
いつもは歌の表現が難しくてリテイクばかりだけど、今回はリョーマくんへの気持ちがストレートに伝えられるからやり易かった。
『これで本日のレコーディングは終了です。お疲れ様でした』
「お疲れ様でした!ありがとうございました!」
あり得ないくらいトントン拍子にレコーディングが進んでいって、予定終了時間の30分前に終わった。
「竜崎さん、家まで送りますよ」
「いいんですか?」
「ええ。どうぞ。」
マネージャーさんが優しくそう言ってくれるから、お言葉に甘えてマネージャーさんの車で送ってもらうことにした。
本当はリョーマくんに会いに行きたかったけど、今の時間は多分学校で練習中。
車に乗って揺られながら今日のレコーディングのことを考える。
……リョーマくん、この曲聴いたらどんな反応してくれるかな…?
少し照れくさいけど、私の素直な気持ちを歌に込めた。
喜んでくれるといいな…
「何かいいことあったんですか?」
いつの間にか笑っていた私をマネージャーさんが横目で見て言った。
「え…?/////」
「幸せそうですね!」
「はい!」
私の返事を聞いて、マネージャーさんは微笑ましそうに運転を続けた。
END