俺の印【リョーマ夢】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『それでは!今、人気急上昇中の中学生アイドル、竜崎杏菜ちゃんでーす!』
テレビを付ければ杏菜の笑顔が映る。
俺の彼女の杏菜は、俺と出会って少ししてからスカウトされたらしく、そのまま一気に芸能界の道に進んでいった。
それはあっという間に学校中に知れ渡り、杏菜の周りにはいつも取り囲むやつらがいた。
そんなある日…
「リョーマくん!」
いつも学校が終わる時間か、途中で仕事があって帰る杏菜が今日は仕事が休みらしく、珍しくテニス部に顔を出した。
「あ、杏菜ちゃん!」
杏菜に英二先輩が気付いて話しかけた。
俺はその声に素振りを中断させて杏菜の方へ行った。
「杏菜、どうかした?」
「あのね、今度新曲の発売イベントがあるんだけど、リョーマくんと先輩たちに是非来てほしくて!」
嬉しそうに言う杏菜に、桃先輩が反応する。
「マジか!行っていいのか!?」
「はい、是非どうぞ!」
鞄からチケットを出してみんなに渡す。
「ありがとう。是非行かせてもらう。」
手塚部長がチケットを受けとると一言言った。
誘ってくれるのは素直に嬉しいけど、俺の中で何かモヤモヤした。
イベント当日、先輩たちと待ち合わせして会場に向かった。
会場にはすでにファンがかなり並んでいた。
「凄い人だな…」
「そうだね…」
「竜崎さん、今凄く人気があるからね。」
大石先輩の呟きに、河村先輩と不二先輩が言った。
「でもこの人達、まだ一部なんだよにゃ~…」
「俺たちは招待されたが、元々は抽選で当選した人しか来られないからな。」
キラーンと音が聞こえてきそうな程乾先輩が眼鏡を押し上げる。
周りは女もいるけどかなりの確率で男だ。
俺はその光景を見て少しだけ胸がチクチクした。
『まもなく入場開始いたしまーす!チケットをお持ちになってお待ちくださーい!』
スタッフの男の人がメガホンで指示する。
桃先輩はワクワクしているのか、何故か鼻息が荒かった。
「桃城、鼻息荒くしてんじゃねぇよ…。みっともねぇだろ…」
「何だと!?マムシだってソワソワしてんじゃねぇよ!」
「なっ…!……ソワソワなんかしてねぇよ!」
「こらこら、止めないか二人とも。他の人の迷惑だろ。」
二人のいつもの口喧嘩に大石先輩が止めに入る。
俺は溜め息を吐きながら前に進んでいった。
席について周りを見渡せば、みんな同じ目的で来ているんだと改めて思う。
そんなことを思っていると司会者が喋りだし、ついに杏菜が出てきた。
「みなさーん!こんにちはー!」
『こんにちはー!!』
フリフリの服を着て挨拶しながら出てきた杏菜。
普段俺が手を繋いだりキスしたりすると顔を真っ赤にして黙り混むくせに、そんな杏菜は今はどこにもない。
「今日は私の新曲発売イベントに来てくれて、どうもありがとう!いっぱい楽しんで行ってくださーい!」
『杏菜ちゃーん!!』
手を振る杏菜にファンが手を振り返す。
横を見ると先輩たちも手を振り、楽しそうに笑っていた。
「みんなー!大好きだよー!!」
『キャーーーー!!!』
『うおおおおお!!!!!』
「……。」
俺はこの杏菜の一言に、心の中でムッとした。
イベントは新曲のミニライブ、トークコーナーの後に握手会があった。
かなり興奮したファンたちが杏菜と握手するために長い行列を作る。
俺はその人だかりから離れ、杏菜の楽しそうな顔を見ていた。
「すっごい良かったよー!」
「菊丸先輩!ありがとうございます!」
「いつもと違う竜崎さんに驚いたよ。」
「河村先輩も、ありがとうございます!」
先輩たちが次々に杏菜に握手していく。
…先輩たちは普段から会えるのに…
「杏菜ちゃん!!ずっとずっと応援してます!」
「俺たちの女神だ!!」
「ありがとうございます!」
どんどん流れてくるファンに杏菜は一人一人にしっかりと握手をして笑う。
俺の方が杏菜にいっぱい触れてる…
俺は杏菜の……
そこまで思った途端、俺は無意識に杏菜の方に駆け寄り、杏菜の腕を掴んでいた。
「越前…!」
手塚部長が珍しくビックリして俺を呼ぶ。
「りょ、リョーマくん!?」
何事かと杏菜もビックリする。
警備員が俺と杏菜を離そうとすると、杏菜が咄嗟に…
「わ、私の知り合いです…!大丈夫ですから!」
…知り合い……ね。
俺が杏菜を拉致したことによって周りが大騒ぎする。
先輩たちも俺を追いかけるけど、上手く角を曲がったりして人気のないところへ連れ込んだ。
「ど、どうしたの急に…!」
事態が呑み込めないのか、杏菜が目を丸くする。
俺は杏菜を壁に追い詰めて、唇と唇が触れそうな程顔を近づけた。
「何かムカついたんだよね…」
「え…?」
「杏菜に触れていいのは俺だけ。仕事だから仕方ないんだろうけど、大好きって言うのも俺だけがいい。」
強気で攻めたつもりだけど、楽しそうに笑う杏菜を思い出して不安になる。
俺、こんなに独占欲強かったっけ…?
杏菜の首筋に唇を近づけて、強く吸った。
「んっ…!」
ピリッとした痛みがあったんだろう、杏菜の口から少しだけ息が漏れた。
「俺だけのっていう印。」
付いたばかりのキスマークを指でなぞる。
「やだぁ…//////」
「杏菜が悪い。一週間は消えないから。」
「もぉ…リョーマくん…強引だよ…/////」
「そんな俺が好きなくせに。」
ニヤリと笑う俺に、杏菜は観念したかのように顔を真っ赤にさせた。
「否定出来ないよ…。私、世界一リョーマくんが大好きだもん…/////」
「サンキュー、杏菜。」
そのままそっと杏菜の唇にキスをした。
数日後、イベントで俺が杏菜を拉致したことが問題になったみたいだけど、杏菜が正式に彼氏がいるということを公表したらしく、とりあえずは落ち着いた。
…いや、アイドルに彼氏がいることで更に話題になり、その対応でしばらく大騒ぎになっていた。
END