忍ぶれど【仁王夢】
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『仁王君時々いじわるだよぉ(笑)』
『よぉ言われるナリ』
『あはは!そうなんだ!』
最近メールのやり取りをするようになって一気に距離が縮んだクラスメイトの仁王君。
彼と話していると凄く楽しくて、気づけば夜中になっていることなんてしょっちゅう。
学校でも休憩時間には必ずと言っていいほど話す。
冗談を言い合ったりして笑うこの瞬間が凄く好き。
最初はただ話したりするのが楽しかったのに、たまにメールの返事が遅かったりすると少し寂しい…
この瞬間、自分の気持ちに気づいてしまった。
「私、仁王君が好きだ…」
仁王君の事を考えると胸がドキドキするし、学校で直接話してる時も内心ドキドキ。
そんなことも知らずに仁王君は私の照れ屋な性格を知ってか、よく耳元でわざと囁く。
それで何度心臓が壊れそうになったか…
ある日の休憩時間。
いつものように仁王君と話していると…
「名無しさんと話しとると楽しいぜよ」
「っ!/////////」
「顔真っ赤じゃ。」
「に、仁王君が急に囁くからでしょー////」
「可愛い反応じゃのぅ…」
「もー////仁王君はそんなこと言って恥ずかしくならないの?」
「なるぜよ?じゃが俺は顔には出さん。」
「えー!?…何か悔しいー…」
「悔しかったら顔に出させてみんしゃい。」
「よし!じゃあどっちがいっぱい顔に出すか勝負だよ!」
「ほぉう…。無謀な勝負じゃが、受けてやろう。なら負けた方は勝った方の言うことを何でも聞く罰ゲームはどうじゃ?」
「いいよ!…よーし!覚悟しててね!」
「楽しみじゃ…」
……本当に無謀な勝負だとは、その頃の私は思いもしなかった。
…仁王君ってば本当に顔に出さないんだもん…!
「俺の勝ちじゃ」
「負けました……。…で?何を聞けばいいの…?」
半分投げやりになって仁王君に聞く。
「そうじゃな~…。二人の時は俺の事を名前で呼ぶ。」
ニヤリとして言う仁王君。
「え、名前で?…えっと、雅治君?」
「呼び捨てじゃ。」
「呼び捨て!?…ま、雅治……」
「ん。上出来じゃ。名無しさん…」
わしゃわしゃと私の頭を撫でる仁王君。
恥ずかしいけど、何だかそれが心地よかった。
二人で一緒にいることが多くなり、周りから囃し立てられることが多くなってきた。
それが凄く嬉しかったけど、仁王君は私とそんな噂になったりして大丈夫なのかと聞くと、言わせとけばいいとまさに仁王君らしい返事が返ってきた。
…仁王君は私のことをどう思ってるんだろう…?
最近ふとそう思うようになった。
誰とでも仲が良い仁王君だけど、囁いたり一緒に帰ったりする女の子は私だけ。
…もしかしたら……と期待するけど、あり得ない!って思ってすぐにその考えを止める。
でもそんな気持ちは残酷に終わる…。
昼休憩になり、仁王君の姿が見えなくて屋上に行ってみた。
すると、クラスメイトの名無しさんちゃんと仁王君が話していた。
『最近名無しさんちゃんと仲良しだけど、名無しさんちゃんと別れたの?』
「え…?」
何で名無しさんちゃんが……?
『いや、そういう訳じゃなか。』
『転校してなかなか会えないのは仕方ないけど、最後に会ったのはいつなの?』
『いつだったかのぉ…夏に会ったぜよ。』
『そんなに会ってないの!?…嫌いになった訳じゃないでしょ?』
『ああ。』
『名無しさんちゃんと仲良くするなって言ってる訳じゃないけど、名無しさんちゃんの気持ちも考えてあげてね?』
『わかっとるよ。』
そこまで聞いて私は耐えられなくなり、その場から去った。
仁王君、彼女がいたんだ……
しかも転校しちゃった元クラスメイトの友達。
「…どうしよう……胸が苦しい…」
廊下を走りながら止まらない涙を何度も拭った。
そしてその瞬間、私は仁王君の事が好きだという気持ちは誰にも知られてはいけないと悟った。
なるべく隣にいない方がいい、メールもしない方がいいと思うのに、仁王君はやっぱり私の隣にいて、私が恥ずかしがるような事を言ったりしたりする。
でもその度に胸が苦しくなって切なくなる。
絶対に報われることはないし、何より名無しさんちゃんを傷つけてしまう。
そう思うのに、仁王君といると幸せだと思ってしまう。
「名無しさんちゃんって、仁王君のこと好きなの!?」
何度も聞かれる質問。
「う、ううん、そんなんじゃないよ…!」
以前の私なら嬉しい質問なのに、好きと言えない…
「しんどいな…」
忍ぶれど 色に出にけり わが恋は
物や思ふと 人の問ふまで
END