X'mas Date【大石夢】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
陽気な音楽、綺麗な飾り付けで街はクリスマスムード一色。
どこのお店もクリスマスに向けて安売りをしていて、街は賑わっている。
そんな中、大石と名無しさんは学校からの帰り道を歩いていた。
「もうすぐクリスマスか~」
街を眺めながらボソッと名無しさんが呟く。
「そうだね~、人がたくさんだ。」
それに答えるように大石が苦笑する。
「周りはカップルだらけか~…。はぁ~何か悲しくなってきた…」
「ははっ!名無しさんさん、モテるのに?」
「モテないモテない!!!何言ってるのよ大石くん…!」
1年からクラスが同じで、委員会も同じ、部活も同じテニス部、そんな繋がりで二人は自然と仲良くなり、今では所謂友達以上恋人未満の関係。
名無しさんは大石に恋愛感情はなく、ただ一緒にいて安心できる、話しやすいという感情だけ。
大石もそうだろうと名無しさんは勝手に思っていたが、急に大石がこんなことを言い出した。
「名無しさんさんさえよければ、冬休み、どこかに行かないかい?」
「え?いいよ!」
その時の名無しさんは、友達としての冗談だと思い、軽く返事をしてしまった。
だがその数日後…………
冬休みに入って一日目、名無しさんは冬休みの宿題をしていた。
するとケータイが鳴り出した。
ディスプレイには大石の文字。
「?大石くん?」
受信メールを開いてみると…
『名無しさんさん、急なんだけど25日予定入ってるかな?』
と書いてあった。
「25日?」
名無しさんはスケジュール帳を見て予定を確認する。
『予定はないよ?どうしたの?』
『一緒にどこか出掛けないかい?』
『え、クリスマスに私といてもいいの!?』
『いや…むしろ一緒にいたい…かな…?』
大石からの思ってもみなかった返信に戸惑う。
「い…一緒にいたいって……それって………!いやいやあり得ない!!!違う違う!!!!」
一瞬考えたことを自分の中で否定して大石へ返信する。
『あはは!ありがとう!詳しく決まったらまたメールしてね!』
それだけ打ってまた宿題に没頭する。
だが大石からのメールの内容が頭を過って集中出来なかった。
クリスマス当日、名無しさんが待ち合わせ場所の駅前に着いた頃には既に大石は待っていた。
「ごめん!待たせちゃったね!」
人混みを掻き分けて大石の元へ行く名無しさん。
名無しさんの姿を見つけて笑顔で手を振る大石。
「俺が早く来ただけだから大丈夫だよ!…さ、行こうか!」
大石についていく名無しさんだが、内心何を話していいのかわからなくて黙ったままついていく。
すると大石が先に口を開いた。
「急に誘ってごめんね…」
「う、ううん!大丈夫だよ!」
普段普通に話している相手でも、上手く目を合わせられない。
口調も不自然になる。
だが名無しさん自身もなぜ目が合わせられないのか、なぜ上手く話せないのかがわからなかった。
着いたところは展望台。
東京の街が一望出来る場所だ。
それと同時に周りはカップルばかり。
そんな雰囲気の中、名無しさんは少し複雑な気持ちになりながらも景色を楽しんだ。
次に来たのはプラネタリウム。
冬の星空を心地良いナレーションと共に楽しんだ。
気がつくともう陽は西に傾き、沈みそうになっていた。
待ち合わせ場所の駅前で二人は別れる。
「今日はありがとう!楽しかったよ!」
いつもの笑顔で言う大石に名無しさんも頑張って笑顔になる。
「うん!こちらこそありがとう!楽しかったよ!」
そう言って手を振って電車に乗った。
電車に乗りながら名無しさんは今日一日のことを思い返す。
「(大石くんは普段と変わらなかったけど、何で今日私を誘ったの…?)」
その答えは予想しているにも関わらず、つい考えてしまう。
「(…確かに、最近大石くんといること増えたし、気がついたら隣には大石くんがいるし…いや、でも……)」
名無しさんは親友に相談したときのことを思い出した。
『やっぱりね~…不思議に思ってたのよ!大石くん、最近名無しさんの傍にかなりの確率でいるし…!…大石くん、名無しさんのこと好きだと思うよ?』
『そんなにハッキリ言わないでよ…!まだわかんないんだし…』
『あのね~…クリスマスの日に好きじゃない女の子を誘う男の子がどこにいるのよ?しかも一緒にいたいだなんて…確実じゃない!』
『そ、それは…大石くんが優しいから…!』
『名無しさんは大石くんのこと好きなの?』
『…正直よくわからない。今の関係が楽しいと思うのは事実だよ?でももし大石くんが私のことが好きなら、ちょっと複雑かな…?』
『どうしてよ!嬉しくないの?』
『そりゃ嬉しいよ?…でも……もしそうだとしたら…私、今後大石くんとどう接したらいいのかわからなくて…』
『普通にすればいいんじゃないの?今までみたいに仲良く…』
『あれは大石くんが友達として見れたから出来ることで…大石くんの気持ちに気づいたら…きっと出来ないよ…』
『ま、とにかくデート楽しんで来なさいよ!感想待ってるからね~!』
『で、デートじゃないよ…!!!』
「はぁ~………」
長い溜め息を吐いた頃、降りる駅に着いた。
名無しさんは重い腰を上げて帰り道を歩いた。
END