バースデーフール【金ちゃん夢】
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部活が早く終わった今日
今日は西のスーパールーキーこと遠山金太郎の誕生日だった。
金太郎はさっきからずっとそわそわした様子で部員をチラチラ見る。
だがみんなはそれに気づかない。
部長である白石は日誌を書いて、ユウジは部活が終わったからといって冷たくなってしまった小春の機嫌取り、千歳はいつものようにどこかへ放浪、銀は力をつけるためにダンベルを上げて、謙也は特に誰が参加するでもない早着替えで一番乗りだと騒いで、財前はそんな謙也を無視して普通に着替えて、小石川は倉庫の鍵を先生に返しに行き、金太郎の彼女である名無しさんは外で部員みんなの練習メニューを作っていた。
「……………」
忙しそうなみんなにとうとう痺れを切らして金太郎が口を開いた。
「なぁなぁ!今日ワイの誕生日なんや!」
金太郎の発言に先に答えたのは白石だった。
「え?せやったっけ?…おめでとさん。」
日誌から一瞬だけ目を離して金太郎を見て軽く言った。
「何や~覚えてへんかったん?…あぁ…たこ焼きぎょうさん食べたいわ~!…せや!みんなでたこ焼き食べに行かへん!?」
目をキラキラさせてみんなの反応を見る。
すると…
「悪いんやけど金ちゃん、俺、まだオサムちゃんに用があんねん。ほな、また明日な!」
そう言って白石は鞄と日誌を持って帰ってしまった。
「え~!……なぁなぁ!他のみんなはええやろ!?」
するとまた…
「すまん!俺も用事や!」
「ごめんね…金太郎はん…」
「小春が無理なら俺も無理や…」
「すまん……」
「俺も…」
と、立て続けに謙也、小春、ユウジ、銀、財前がそう言い残して帰っていった。
「…何や何や!みんなして用事とか普段ならあり得へんわ!」
去っていくみんなの背中に向かって叫ぶ。
すると金太郎に追い討ちをかけるように名無しさんが部室を覗き込んで行った。
「金ちゃ~ん…私用事で先に帰るわ~!堪忍ね!」
それだけ言って名無しさんも帰っていった。
「………みんなのバカ~!!!」
思いっきり叫んで金太郎も家に帰ることにした。
「みんなの薄情もん!もう部活出たらん!…あ、でもワイテニスしたいわ……どないしたらええねん!」
ブツブツと文句を言いながら歩く。
いつもならみんなと通るこの商店街も、一人で歩くとなんだか寂しくなる。
『うちのたこ焼き、日本一やで~!』
大きな声で売り込みをするたこ焼き屋のおじさん。
「…ええもん…ワイ一人でぎょうさん食べたるわ…!」
金太郎はたこ焼き屋に向かった。
すると…
「金ちゃん、買い食いはあかん。」
後ろから声をかけたのは白石だった。
「白石…。…嫌や!今日はワイの誕生日や!買い食いぐらいええやんか!」
白石を睨んで言う。
「今買い食いしたらみんなで食べられへんで?」
「へ?」
訳のわからないことを言う白石に金太郎は首を傾げた。
「ついてきぃ。」
金太郎に背を向けてスタスタと歩き出す白石。
「あ…待ってーな!」
金太郎は意味がわからず、だが白石の後からついていった。
連れてこられたのは白石の家だった。
「白石!白石ん家で何するん?」
いくら話しかけても白石は答えてくれない。
それはまるで金太郎が言うことを聞かず、白石を怒らせたときのようだった。
「……」
また怒らせてしまったと思い、金太郎はそれ以上何も言えなかった。
リビングへ続く扉の前で急に白石が立ち止まる。
「…?」
「金ちゃん、入りや。」
ガチャッと扉が開き、言われるがまま入ると…
『ハッピーバースデー!金ちゃん(金太郎はん)(金太郎)!!!!!!!!!』
「うわぁ!!な、何や!?」
金太郎がリビングに入った途端に鳴り響いたクラッカーと祝福の声。
そこには千歳、謙也、銀、小石川、小春、ユウジ、財前、名無しさん、そしてオサムまでいた。
周りは綺麗に装飾され、テーブルの真ん中にはバースデーケーキが置いてあり、もう一つの小さなテーブルにはたこ焼き機と材料や食器が並んでいた。
「びっくりしたやろ?」
後ろから白石が声をかける。
「何で?みんな用事で帰ったんちゃうん!?」
驚いて白石を振り返ると小春が言い出した。
「用事っていう嘘を吐いたのよ~!心ん中では可哀想って思ってたんやけど…堪忍ね~!」
「嘘やったん!?」
「今日はエイプリルフールやからな!」
「謙也さんならエイプリルフール以外でも騙されそうですわ…。」
謙也に財前が突っ込むと、一気に笑いが起きた。
「うっさいわ!!」
「ま、とにかく今日は金ちゃんの好きなだけ食べや。」
白石が座るように促しながら笑顔で言った。
「みんな……おおきに!!」
驚いた顔からようやく笑顔になり、みんなのところに座った。
「せやけど、小石川。オサムちゃんのとこ行ってなかなか帰ってけぇへんかったけど、よう間に合ぅたな!」
ユウジがフと言い出すと、小石川が苦笑して言った。
「ほんまやで~!もうアカンと思ぅたわ…。」
「金太郎の誕生日会あるんなら先に言うてくれれば話はせぇへんかったのに…!」
「オサムちゃんに話したら絶対そうめんになるわ!」
「さっすが白石や~!1こけしやるわ!」
「いらん!」
そんなやり取りをしながらバースデーケーキに火の灯った蝋燭が立った。
誕生日の歌を歌って金太郎がすごい勢いで蝋燭の火を吹き消した。
「おめでとう金ちゃん。これ、俺らからのプレゼントばい。」
千歳が大きな紙袋を金太郎に手渡す。
「ワイに?おおきに!」
袋から一つずつプレゼントを開けていく。
「うわ~!!ぎょうさんあるわ!!」
「金ちゃん、あとね、これは私から。」
喜ぶ金太郎に今度は名無しさんがプレゼントを手渡した。
「え?ほんまに!?」
「うん!」
名無しさんから受け取ったプレゼントを早速開けてみた。
「これ、たこ焼き回すやつや!!」
中身を出して叫ぶ。
「金ちゃんの好きなものってたこ焼き以外思いつかんくて…」
「ワイめっちゃ嬉しいわ!おおきに名無しさん!!!」
「うわ!!」
いきなり金太郎は名無しさんに抱きついた。
「ちょ…金ちゃん!みんな見てる…//////」
恥ずかしさに顔を真っ赤にする名無しさん。
「おーおー!イチャつきよって!」
「お似合いたい!」
みんながはやし立てると名無しさんは余計に顔を赤くさせる。
すると財前が話を切るように静かに言った。
「あの…たこ焼き冷めますけど…?」
その言葉が名無しさんの助けになり、金太郎の腕を優しく離した。
「さ、金ちゃん、たこ焼き食べよう!」
名無しさんは金太郎にお皿を渡して微笑んだ。
「せやな!!ぎょうさん食べるで~!!」
嘘から始まったこの日は、金太郎にとって忘れられない思い出になった。
END