voice〜声から始まる恋【菊丸夢】
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『6時のチャイムが鳴りました。校内に残っている生徒は、速やかに下校してください。』
今日もまた、いつものように下校を知らせる放送が学校中に流れる。
学校中に流れる女の子の声はとても透き通っていて、まるで森林の中に木漏れ日が差し込んでいるような声だった。
かと思えば、時には天使に包まれているようなとても優しい声になる。
俺はこの声が大好きだ。
…いったい誰の声なんだろう?
そう思いながら部活メンバーと帰っていた。
ある日、また同じように放送が流れている頃、俺は部活を終えて帰るところだった。
教室に宿題を忘れたことに気づき、みんなには先に帰ってもらった。
俺が教室から出て、靴箱に向かおうとしたとき、丁度放送室から出てくる女の子が見えた。
「あれ?…あの子……」
もしかして、いつも放送してる子かな?
気になって見つめていると、その子に近づく先生がいた。
「名無しさん!放送ご苦労だったな。お前も遅くならないうちに帰りなさい。」
「はい。わかりました。それでは失礼します。」
先生に笑顔を見せて彼女は帰っていった。
あの声……間違いない。
いつも放送してる子だ…!
「…名無しさんさんっていうんだ…。」
名無しさんさんの笑顔と声を合わせてみると、あまりにも絵になりすぎて、思わず顔が真っ赤になった。
…一目惚れってやつかな…?///////
そう思いながら俺は家まで歩いた。
次の日、俺は名無しさんさんに告白しようと決意した。
いきなり知らない人に告白されても困るだろうということは承知のうえで。
でも、どうしても気持ちが抑えられなかった。
放課後、部活が終わったあと、放送室の前で彼女が出てくるのを待った。
ドキドキしながら深呼吸した。
すると、名無しさんさんがカバンを持って出てきた。
「あ…あの……」
「え?」
急に出てきた俺にびっくりする。
「えっと…俺…名無しさんさんのこと、好きなんだ…!」
「えっ……///////」
「急にそんなこと言われたら迷惑かもしんないけど…でも、抑えられなくて…//////」
断られることを覚悟で告げた言葉。
だけど返ってきた答えは意外なものだった。
「…嬉しい//////」
「え?」
「私も放送室の中で、テニスコートで練習してるあなたをいつも見てたの…カッコイイな~って…。…でも名前がわからなかったから…。」
名無しさんさんがそこまで言うと、俺は名前を言ってないことに気づいた。
「あ…ごめん!俺、菊丸英二!!……忘れてた…」
照れながら頭をかくと、名無しさんさんは笑顔で言った。
「……英二…くん?」
「え……//////」
名無しさんさんに下の名前を呼ばれ、ドキッとする。
「あ、ごめん。急に下の名前で呼んだりして…」
「っ!全然いいよ!むしろ嬉しい!!…えっと、名無しさんさんのことも、名前で呼びたい…」
少し遠慮がちに言うと、名無しさんさんは笑顔で答えてくれた。
「私は名無しさん。」
「名無しさん…ちゃん…。」
「うん…///////」
顔を真っ赤にして名無しさんちゃんが頷く。
つられて俺まで赤くなる。
いつの間にか陽が落ちかけていることに気づく。
「あ…そろそろ帰ろうか…!」
「そ、そうだね…//////」
俺は思わず名無しさんちゃんの手を握って、帰り道を二人で歩いた。
END