Shall we dance?【不二夢】
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ホールを借りての青学一大イベント、ワルツダンスパーティー。
このパーティーにはルールがある。
男女一組ずつがペアとなって、チケットを持っていないと参加できないという少し残酷なルール。
そして、ダンスパーティーに参加するものは必ず正装をしなくてはならない。
男子はタキシード、女子はドレス。
学校が業者から借りているらしく、かなり本格的なダンスパーティーになる。
もうすぐ卒業の私たち三年は今年が最後のパーティー。
クラス内でもその話でもちきりだった。
「名無しさん!名無しさんはもちろんダンスパーティー行くよね!?」
キラキラした目で私を見つめる友人。
「…私、周助に誘われてないから。」
読んでいた本に目を離さずにそう言う。
「ええ!?!?不二くんまだ名無しさんを誘ってないの!?」
目を丸くして叫ぶ。
「うん。受験もあるし、忙しいんじゃない?」
「…でも、申し込み締め切りは明日なんだよ!?…不二くんが誘わないなら、名無しさんから誘いなよ!」
一生懸命私を説得する友人を見上げて言う。
「いいよ。周助が誘わないってことは行かないってことだもん。それにそこまでして行かないよ。」
そう言うと友人は頬を膨らませる。
「え~!折角名無しさんの彼氏なのに~!」
「彼氏だから無理強いはしたくないの。…ちょっと飲み物買って来る。」
そう言って私は立ち上がり、教室を後にした。
…そう。
これでいいの。
本当は周助とダンスに行きたい。
無理強いはしたくないなんて言ったけど、本当はただ臆病なだけ…。
周助を誘う勇気なんて…私にはない…。
「周助には…ファンがいっぱいいるもんね…。」
自分で気持ちを押し殺して、自販機のボタンを押そうとする。
すると…
ピッ…
「え…?」
誰かが私の代わりにボタンを押した。
「ちょ…!何すんのよ!……!」
勢いよく振り返ると、そこには周助が立っていた。
「…周助……」
驚いて見上げると、クスッと笑って私を見つめていた。
「僕も喉が渇いちゃってね。」
「じゃあ自分で買えばいいでしょう?なんでわざわざ私が押そうとしたときに押すのよ!」
少し睨むと、周助はまたクスッと笑う。
いつものこの笑顔。
でもやっぱり慣れずにドキドキしてしまう。
「ごめんごめん…。代わりにこれで許してくれるかな?」
「え…?」
そこで周助が差し出したのは二枚の紙。
「これ…」
その紙には「ワルツダンスパーティー」の文字。
「名無しさんを誘おうと思ったんだけど……僕と参加してくれるかな?」
真剣な瞳でそう告げられる。
「周助……はい。」
そっとチケットを受け取ると、ここが学校だということも忘れて周助に抱きついた。
ダンスパーティー当日。
思ったよりかなりの人が会場にいた。
「名無しさん、綺麗だよ。」
タキシードに身を包んで周助が言う。
「ありがとう。…周助も…かっこいいよ…//////」
「ありがとう。」
すると曲が始まり私たちは手を取り合い、ダンスを踊った。
END