笑顔の裏側【不二夢】
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「おっはよ~!!」
「おはよ~!あれ!?そのリストバンド可愛い!」
「えへへ☆でしょ~!」
今日も明るく登校してきた名無しさんさん。
彼女はいつも元気で笑顔を絶やさない。
僕はそんな名無しさんさんが好きだ。
でもそんな彼女にあんな出来事があったとは、その時は知らなかった。
ある日僕は部活が終わってみんなと別れた後、一人で歩いていた。
公園を通り過ぎようとした時、遊具の中に人影が見えた。
「?」
立ち止まって近づいてみる。
そこには、ガタガタと震えながら蹲っている名無しさんさんがいた。
「…名無しさんさん…?」
「…っ!!」
僕が呼びかけると、名無しさんさんはビクッとして僕を見上げた。
「…!」
名無しさんさんの顔には、殴られたような跡があった。
よく見ると、身体のあちこちにも痛々しい跡がある。
「…名無しさんさん…それ…」
名無しさんさんに触れようと手を伸ばすと、名無しさんさんは急に叫びだした。
「…嫌…!嫌…!!やめて…!!」
首を思い切り振りながら嫌々と拒む。
すると名無しさんさんはさらに叫ぶ。
「やめて…!やめてお父さん!!嫌!!…痛いよ…ぅ…!嫌!!」
身をよじりながらそう叫ぶ。
その姿が見ていられなくて、思わず名無しさんさんをギュッと抱きしめた。
「大丈夫だから。落ち着いて。名無しさんさんは僕が守るから。」
そう言った瞬間、名無しさんさんは叫ぶのをやめ、僕の腕の中で大人しくなった。
「辛かったね。もう大丈夫。」
名無しさんさんの頭を優しく撫でながらそう言う。
腕の中の名無しさんさんは涙を流しながら肩を震わせた。
しばらくして名無しさんさんは落ち着き、僕は名無しさんさんを離した。
「何があったのか教えてくれるかな?」
そう聞くと、名無しさんさんはコクンと頷いた。
「私、小学校の時にお父さんとお母さんが離婚して、ずっとお父さんと二人暮らしなの。」
初めて名無しさんさんのことを知って驚く。
「最初は何とかやっていけたけど、私が中学に入った頃からお父さんからの暴力が絶えなかったの。」
辛い過去を一生懸命に話す名無しさんさん。
その声はだんだん消え入りそうになった。
「『お前は母親そっくりだ…。見ていて腹が立つ』って…。毎日毎日…暴力を振るわれた…。」
自分の身体を抱いて震える名無しさんさんの腕にも赤い跡がある。
「…その跡、リストバンドで隠してたやつだね…。」
「…う、うん…。みんなには見られたくないから…。」
跡のついている腕を手で隠し、そう答える。
「…そっか…。よく一人で頑張ったね…。…でも…。」
「え?…!」
僕はまた名無しさんさんを抱き寄せた。
「次からは辛いことがあったら僕に言って?好きな人の辛い顔なんて見たくないから。」
「あ…//////不二……くん…////…ありがとう…。」
名無しさんさんは僕の身体にそっと腕を回した。
「約束だよ。」
「うん。」
僕達はそのままそっと唇を重ねた。
END