恋+愛=?【菊丸夢】
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~名無しさん視点~
恋は幸せをもたらす要因だ。
でも時には残酷で、一気に自分が悲劇のヒロインになったりする。
その悲劇は、ある日突然起こった。
「名無しさん!また不二くん見てるの?」
そう言って私の肩に手を置く友達の名無しさん。
「うん。見てるだけで幸せだから。」
名無しさんを見てからまたテニスコートで朝練をしている不二くんの方を見る。
すると名無しさんが思い出したように言い出した。
「そうそう!昨日放課後不二くんに急に呼び出されて、告白されちゃったのよ~!私困っちゃった!」
「え…?」
名無しさんのその言葉に目を見開く。
「あ!でも安心して!もちろん断ったから!」
ニッと笑って私を見るけど、なぜか素直に喜べなかった。
「あ……そ、そう…。」
それだけ言って私は自分の席に着いた。
~菊丸視点~
俺には好きな人がいる。
でもその人は他に好きな人がいる。
その相手が誰かも知ってる。
でも俺は彼女を見ているだけでいい。
一途な彼女の心を乱したりなんて―したくない…!
ある日俺は教室に忘れ物を取りに行った。
すると俺の想っている人…名無しさんさんが一人教室で泣いていた。
「…あれ~?名無しさんさん?何で泣いてるの?」
俺は極めて明るく話しかけた。
「き、菊丸くん…!?……なんでもない!」
俺の姿を確認した名無しさんさんは、すぐに立ち上がって帰ろうとする。
「あ……何か嫌なことあったの?良かったら言ってみてよ。」
なんて言ってみたけど、ホントは名無しさんさんと一緒にいたいだけなのかもしれない。
すると名無しさんさんは椅子に座り、俯き始めた。
俺は名無しさんさんの前の席に座り、名無しさんさんの話を聞いた。
名無しさんさんが不二のことを好きなこと、不二が名無しさんさんの友達に告白したこと…。
全て聞き終わった頃、名無しさんさんの目から急に大粒の涙が溢れた。
「何で!?何で名無しさんなの!?」
「名無しさんさん…?」
俺に背を向けて名無しさんさんは言う。
「名無しさんは可愛くて、頭も良いし、スタイルも良い…。私に無いもの全部名無しさんが持ってる!!…こんなの不公平よ!!」
力いっぱい泣き叫ぶ名無しさんさんを、俺は無意識に後ろから抱きしめていた。
「あのさ……俺じゃあ…不二の代わりになれないかな?…名無しさんさんの心の穴、埋めることは出来ないかな…?」
その言葉は震えと共に出てくる。
「菊……丸くん…?」
「埋めさせて!!俺が名無しさんさんを悲しませないようにするから!!」
震えた声から必死のものに変わる。
「…ありがとう。」
そう静かに言って名無しさんさんは俺の手にそっと触れる。
「それにね、名無しさんさんにだけ持ってるもの、ちゃんとあるよ?」
「え?」
落ち着いた声音で名無しさんさんに言う。
「名無しさんさんは、誰よりも純粋で心が綺麗だよ。」
「……本当?」
「うん。俺、ずっと名無しさんさんが好きで、ずっと見てたから……わかるよ?」
名無しさんさんを抱きしめる腕を緩めて、前を向かせる。
前を向かせた名無しさんさんの頬は真っ赤だった。
「あ………その……///////」
俺も釣られて照れてしまう。
「ふふ…菊丸くんのその気持ち、すごく嬉しい。」
照れた表情から嬉しさの表情に変わる名無しさんさんは、やっぱりすごく可愛くて……
「キャッ……!」
つい抱きしめちゃう。
「名無しさんさんの気持ちが変わるまででいい。それまで、俺と付き合って欲しい。」
腕に力を込めて思いっきり名無しさんさんを抱きしめる。
名無しさんさんはそんな俺を拒絶するでもなく、ゆっくりと俺の体に腕を回した。
「うん。」
小さな声で確かに聞こえたその声に、俺は嬉しくなってまた名無しさんさんを強く抱きしめた。
~名無しさん視点~
菊丸くんのあの一言から、私たちの仮の交際がスタートした。
でも、私の気持ちは間違いなく変化し始めていた。
それは不二くんにではなく、放課後の教室で泣いている私を励ましてくれた…心が綺麗だって言ってくれた彼に……
新たに恋をし始めている………
「英二~!!」
「んにゃ?名無しさん~!!」
夕日が美しく出ている放課後、私たちは手を繋いで一緒に帰った。
END