あなたがくれたモノ【不二夢】
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いつもと変わらない病室で目を覚ます。
生まれつき心臓の弱い私は、小さい頃からずっと入院している。
勉強は家庭教師の先生がわざわざ病室まで来て、毎日10分だけ勉強する。
勉強が終わると一人になった病室で本を読んだり、音楽を聴いたりする。
毎日その繰り返し。
ある日、本を買いに行くために病院の売店に行った。
私が本を買って戻ろうとしたとき、急に心臓の発作が起こった。
「…っ!…はぁ…はぁ……!」
苦しむ私を、誰かが後ろから背中を擦ってくれた。
「大丈夫!?…しっかり!」
必死になって声を掛けてくれるその人の顔をまともに見ることも出来ず、私は発作に耐える。
そしてそのまま私はナースたちに運び込まれ、発作を抑える薬を打たれて病室のベッドに寝かされた。
しばらくして私が目を覚ますと、私を覗き込んでいる人物がいた。
「良かった。目、覚めたんだね。†紅アリス†さん。…大丈夫?」
しばらく彼を見つめていると、やがて彼がさっき私の背中を擦ってくれた人だと気づいた。
彼はベッドの横に記してある私の名前を見ながら言う。
「あ…はい。あの…さっきはありがとうございました。」
起き上がって礼をしたかったけど、さすがに身体がだるかったからそのままの状態で頭だけ動かして礼をした。
「いいんだ。…あ、これ、君が買った本。」
そういって私に本を差し出した。
「あ…ありがとう!」
本を受け取ると、彼はベッド横の椅子に座った。
「僕は不二周助。†紅アリス†さんが急に発作を起こしたときはびっくりしたよ。」
苦笑しながら不二さんが言う。
「すみません…。私、生まれつき心臓が弱くて…」
申し訳なさそうに言う私に、不二さんは“そうなんだ”と優しい声で言う。
「ところで、不二さんはどうして病院に?」
「友達のお見舞いにね。」
私が聞くと、不二さんは笑顔で答える。
「そうなんですか///////」
いつの間にか私は不二さんの笑顔に引き込まれていった。
それから私たちはいろんなことを話した。
不二さんがテニス部に所属していることや、その部活仲間のこと。
会ったこともない人たちのことを知るうちに、なんだか一度にたくさんの友達ができた気がした。
気がつくと窓の外は暗くなり始めていた。
「また来るよ。今度は†紅アリス†さんのお見舞いにね!」
そういって不二さんは綺麗な笑顔で病室を後にした。
私は不二さんの去った方をずっと見つめ、ふと思う。
「私………病気になんて負けない……!」
不二さんという生きる希望が見つかり、私は強くなろうと決めた。
END
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