Rival【手塚夢】
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『名無しさんちゃんと名無しさん先輩って、本当に仲良いよね~!』
『喧嘩したことないでしょ?』
青学の中でも有名な仲良し姉妹、二年生の名無しさんと三年生の名無しさん。
二人は女子テニス部に所属していて、全国でもトップクラスのダブルスコンビ。
だが、そんな二人がシングルスでお互いが試合をしたらどっちが勝つのか、疑問に思う人は少なくない。
「お姉ちゃん、早く行こう!」
「あ、名無しさん。待って、すぐ行く!」
HRが終わり、いち早く三年生の教室に行って名無しさんを迎えに行くのは、名無しさんの日課だった。
「10秒以内に来なきゃ帰りにアイス奢っても~らおっ!」
「ちょっ…!何よそれ~!!」
そんな事を言いながら楽しそうに部室に向かった。
休憩中、二人の周りにはたくさんの仲間が集まっていた。
「あ、二人のタオルお揃いだ~!」
部活仲間の一人が名無しさんと名無しさんに言った。
「え?あぁ。私このタオルお気に入りなの。」
「私もよ!」
二人は顔を合わせて笑った。
「好きな物まで一緒なんだ~!」
そう言われて二人同時に頷いた。
名無しさんと名無しさんはありえないというほど趣味が合う。
好きな食べ物も同じなら色も同じ。
…そう、好きになる人も―
ある日、青学では部長副部長会というのが開かれた。
各クラブの部長と副部長が、今後どんな風に部員を引っ張っていくかを話し合う会。
そこで二人が同時に好きになった相手は、男子テニス部部長の手塚国光。
部のために真面目に取り組む姿に、二人は胸を打たれた。
「…お姉ちゃん、私…好きな人出来ちゃった…。」
帰り道を歩きながら名無しさんがポツリと呟いた。
「え!?私も好きな人出来たのよ!」
名無しさんの意外な返答に、名無しさんは驚く。
「へ~!…じゃあさ、同時に好きな人の名前言おうよ。」
「…いいよ。」
名無しさんの提案に乗って、二人は声を合わせて言う。
『せーの…手塚(先輩)(くん)!』
「え…」
「うそ…」
同じ名前が重なった瞬間、二人は顔を見合わす。
「…私たち、どこまで似たもの同士なんだろうね…?」
「ホント…笑っちゃうくらいそっくり…。」
静かに言うけど、二人の目はさっきと明らかに違っていた。
それから二人は今まで以上にライバル意識をした。
他のみんなも二人の異変に気がついていた。
ある日手塚が一人で帰っていると、テニスコートの壁でボールを打っている名無しさんがいた。
手塚は名無しさんに近づいて話しかけた。
「まだ残っていたのか。」
手を止めて振り返った名無しさんは驚いた。
「あ…手塚先輩…!///////」
「もう遅い。練習に励むのはいいが、時間確認を忘れるな。」
「は、はい!すみませんでした!」
深く礼をした後、急いで部室に戻って着替えた。
名無しさんが校門を出ようとすると、手塚が門の前で立っていた。
「手塚先輩…帰ったんじゃぁ…」
「女子を一人で帰らせるわけにはいかないだろう。」
名無しさんに背を向けて言う。
「あ、ありがとうございます///////」
頬を染めて小さく呟いた。
二人が暗くなりかけた道を歩いていると、手塚が口を開いた。
「今日は一人なのか?」
「あぁ…お姉ちゃんは用事があるとかで、部活を早く切り上げて先に帰ったんです。」
淡々と言う名無しさんに、手塚は納得したような顔をした。
「そうか。…お前は何事にも一生懸命に取り組むんだな。」
「え…?」
急にそんなことを言われ、思わず手塚を見上げる。
「一生懸命に取り組むお前は嫌いじゃない。…むしろ好きだ。」
「え!?///////」
「ん?…あ、いや…//////」
一瞬何を言われたのかわからないでいる名無しさんは、顔を真っ赤にしながら手塚を見つめる。
手塚も名無しさんから目を反らして顔を赤く染めていた。
しばらくの沈黙が続き、ついに観念したのか、手塚が名無しさんに向き直って真剣な表情で見つめた。
「俺はお前が好きだ。」
「先輩///////」
目をぱちくりさせ、手塚を見つめる。
恥ずかしさで目を反らそうにも手塚の真剣な瞳に吸い込まれて、なかなか反らせない。
「あの…私でいいんですか…?」
恐る恐る小さな声で聞いた。
「ああ。お前だからいいんだ。」
頷きながらそう言われ、名無しさんの鼓動が飛び跳ねる。
聞こえてしまうんじゃないかという緊張と、嬉しさが頭の中で交差する。
「ありがとうございます…。私も先輩のことが好きです////////」
掠れた声で言うと、手塚の頬が少しだけ緩んだ。
「ありがとう。」
誰にも見せない表情、誰にも聞かせない優しい声で、手塚はギュッと名無しさんを抱きしめた。
END
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