花言葉【菊丸夢】
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俺が街を歩いていると、珍しい物を見た。
「…ん?」
「ありがとうございましたー!…いらっしゃいませ!」
それは小さなお花屋さんで、笑顔でお客さんと対応するクラスメイトの名無しさんさんがいた。
学校ではあまり人と話さなくて、名無しさんさんの笑顔なんて見たことがない。
俺は気になってお花屋さんに行ってみた。
「いらっしゃい…あ、菊丸くん…。」
俺の姿を見たとたん驚いたような顔で見つめる。
「名無しさんさん、何やってんの~?」
俺が聞くと少し照れたように顔を俯かせて答えた。
「私の家、お花屋さんなの。だから休日は手伝いしてるの。」
「ふ~ん…綺麗な花がいっぱいあるね!…この花は何ていうの?」
赤い綺麗な花を指さして聞いた。
「それはアネモネの花よ。“君を愛す”っていう花言葉があるの。」
淡々と説明していく名無しさんさん。
俺はそれを興味津々に聞いていた。
「でも色の種類で意味が違うの。」
「えっ!そうなの?」
「うん。白は“真実”、紫は“あなたを信じて待つ”っていうそれぞれの意味があるのよ。」
ニコッと笑って俺を見る。
「へ~!知らにゃかった~…。」
初めて聞くことに驚きながら、でも同時に楽しくなった。
「あ、これは?」
端の方にあった草に指さして聞いた。
名無しさんさんは嫌がる様子もなく教えてくれた。
「それは勿忘草(わすれなぐさ)。“私を忘れないで”っていう意味のあるとても悲しい花の一種よ。」
少し寂しそうな表情で説明する名無しさんさん。
それだけ花が大好きなんだって事がわかった。
そして気づいたら辺りが暗くなり始めていた。
「うわ!もうこんな時間…!名無しさんさんありがとう、楽しかったよー!」
時計を見てから名無しさんさんに別れを告げて帰った。
「うん。またね。」
笑顔で手を振って見送ってくれる名無しさんさんに、俺も笑顔で手を振り返した。
今日だけでいっぱい花の種類を教えてもらった。
でも何故かアネモネの花が忘れられなかった。
それから俺はクラスでも名無しさんさんと話すようになり、名無しさんさんのお店にもよく行って、いろんな花を教えてもらった。
それが俺の日常であり、楽しみになっていた。
それと同時に、名無しさんさんに対する想いも変わっていった…。
「いらっしゃいませー!…あ、菊丸くん!今日はどんな花が知りたいの?」
笑顔で迎えてくれる名無しさんさんに、俺は少し苦笑して言った。
「あ、今日は…花を買いに来たんだ。」
「そうなの?…じゃあ、どの花にするの?」
名無しさんさんが目を丸くしながら聞いた。
「えっと…アネモネの赤色…。」
アネモネに目を向けて注文する。
「かしこまりました!じゃあラッピングするから、ちょっと待ってね。」
名無しさんさんはすぐにラッピングに取りかかった。
すると作業をしながら急に俺に名無しさんさんが質問してきた。
「誰かにプレゼント?」
「え…!」
その一言に、俺の心臓がドクッと跳ね上がった。
「う…うん//////」
俯いて小さな声で答える。
「へ~。…菊丸くんにプレゼントしてもらえる子、幸せものね!」
最後の仕上げをしながら笑顔で言う。
「…はい!完成!…えっと、2,780円です。」
お金を出して花束を受け取る。
「あ、ありがと…/////」
心臓の音がずっと鳴り響く。
「はは!いえいえ。それじゃあ、頑張って渡して来てね!」
名無しさんさんが胸元でガッツポーズをして応援してくれる。
うぅ…逆にプレッシャー……
「あ、あのさ!名無しさんさん!!」
プレッシャーに耐えきれず、思わず名無しさんさんを呼び止めた。
「え?何?」
目を瞬かせ、俺を見つめる。
…よし!頑張るぞ!
「名無しさんさん…この花束、名無しさんさんのために買ったんだ…」
思い切って花束を名無しさんさんに渡す。
「え…!?…どうして…?」
びっくりした表情で俺と花束を交互に見る。
「確かその花言葉って、“君を愛す”…だったよね?」
「菊丸くん…///////」
ここまで言ってようやくわかった様子の名無しさんさんは、顔を真っ赤にする。
「俺、名無しさんのこと好き…//////」
「あ…/////////」
真剣な眼差しで言うと、名無しさんの顔はさっきよりも真っ赤になる。
「…じゃあ、私からもお花のプレゼントするね。」
そう言って、一番奥の方にあった花を何輪か持ってきた。
「…はい///////」
名無しさんが俺に渡してくれた小さな花。
「これは?」
今まで見たことない花を目の前にして、疑問を抱く。
「これはアザレアっていう花で、“愛されることを知った喜び”っていう花言葉があるの////」
俺を見上げて恥ずかしそうにする。
「え…じゃあ……」
「私も、好きです。英二くん!」
ニコッと笑いながら名無しさんが俺に言う。
その瞬間、緊張していた俺の体から一気に力が抜けた。
「よ、良かった…!」
安心して名無しさんについ抱きついた。
「うわっ!え、英二くん…人が見ちゃうから///////」
「気にしない気にしない!」
周りの目なんか気にせずに、俺はずっと名無しさんに抱きついていた。
END
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