君を見てると【海堂夢】
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最近俺の気持ちを狂わせる奴がいる…
同じクラスで隣の席のあいつ…
名無しさん名無しさん…。
クラスでは“触れるな”というオーラを纏っている俺。
だが、名無しさんだけは違った。
「海堂くん!おはよう!」
俺が朝練を終えて教室に行くと、必ず俺に笑顔で手を振ってくる。
「…ああ。…おはよう…。」
最初はうざったいと思っていたが、それも日に日に無くなり、今ではそれが少し楽しみになっていた。
移動教室の時も…
「海堂くん!一緒に行こう!」
教材を持った名無しさんが俺を追いかける。
これも最初は“断る”などと冷たく接してきたが、今では“勝手にしろ”と言うようになった。
ある日の放課後、俺がテニスコートでストレッチをしていた時のこと。
『ファイト!ファイト!ファイト!……』
テニスコートの横脇を女子テニス部が走り去っていく。
「…!」
その中には、楽しそうに笑いながらかけ声と共に走っている名無しさんの姿があった。
その姿を目で追っていると、横から桃城の声が聞こえてきた。
「おっ!女子テニス部、頑張ってんな~!…名無しさん~頑張れよ~!」
桃城が急に名無しさんの名前を呼んだので驚いた。
「お、お前…あいつは練習中だろ?…邪魔してやるな…!」
キッと桃城を睨むと、ニヤッと笑った桃城が俺を見てきた。
「あ~…お前もしかして、名無しさんのこと……」
「ち、違ぇよ!!…くだらねぇ事言ってないで、さっさとストレッチしろ!!/////」
被せるように言ったが、俺の顔は真っ赤だ。
「へいへい…わーったよ!」
桃城はそれだけ言って、去っていった。
「どうしたんだよ俺……!」
何故あんなに無気になるんだ…?
あいつのことになると、たとえ些細なことでも反応してしまう。
あいつの前だと、俺が俺じゃなくなってく…
以前は周りからクールなんて言われていたけど、最近では自分でそう思わなくなった。
―俺は…名無しさんを好きになったんだろうか…?―
あの笑顔に惚れたんだろうか…?
「名無しさん……」
俺も桃城みたいに誰とでも仲良くなれる人間なら、今頃名無しさんをそう呼んでいたのかもしれない。
ずっとライバルとして意識してきた桃城に、少しだけ羨ましさを抱いた。
END
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