ノートと囁き【不二夢】
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私には片想いの相手がいます。
同じクラスの不二周助君。
私の隣の席で、いつも優しい笑顔を見せてくれる。
2年生の時、私はイマイチクラスに馴染めなくて、いつも浮いていた。
でも3年生になって不二君に出会って、一目惚れした。
帰宅部の私はいつも放課後に教室で、テニスコートでテニスをしている不二君を見ている。
つまり私は、不二君に会うために学校に来ている。
ある朝、私はいつもの様に学校に来ると、クラスの人数がすごく減っていた。
「あ!名無しさんさん、おはよう。」
ニッコリ笑って不二君が手を振ってくれた。
「あ…!うん、おはよう…。」
少し緊張しながら席についた。
「ねぇ…何でこんなに人がいないの?」
「たぶん、みんな休みなんじゃないかな?」
私が聞くと不二君が答えてくれた。
すると先生が真剣な顔つきで教室に入ってきた。
「…みんな、よく聞いてくれ!このクラスは一週間、学級閉鎖だ!」
先生の話を聞いて喜ぶ人もいれば、残念がる人もいた。
私もその一人。
(そんな…。一週間も不二君に会えないなんて…。)
「何か大変な事になっちゃったね…。」
こっそり不二君が私に言った。
「…うん…。」
元気のない私に不二君が聞いた。
「どうしたの?元気ないけど…。」
表情に出たのか、不二君が心配してくれた。
「…う、ううん…。大丈夫!」
少し顔を赤くして言った。
すると不二君は机からノートを取りだし、ノートの端に字を書いた。
『僕、学級閉鎖イヤだな…。』
書き終わると私に見せた。
私もペンを出して“どうして?”と書いた。
私の字を見ると、また不二君はノートに書き出した。
『だって一週間も名無しさんさんに会えないから。』
(…えっ…?不二君、それって…。)
顔を真っ赤にして不二君を見ると、不二君が私の耳元で囁いた。
「僕、名無しさんのこと、好きだから…。」
不二君の甘い囁きに、耳まで赤くなった私の顔。
しかも私の下の名前で言ってくれた。
どう反応していいかわからず、困惑していると、不二君がまた私に囁いた。
「名無しさんは?僕のこと、どう想ってるの?」
「……私も、不二君が…好き…///////」
私の心臓がドクドクして破裂しそうだった。
―キーンコーンカーンコーン…―
やっとチャイムが鳴り、HRが終わった。
「これからよろしくね!」
と言って不二君は私に笑顔を見せて、菊丸君の所に行ってしまった。
さっき囁かれた言葉が頭から離れない。
思い出せば思い出すほど、顔が真っ赤になっていく。
そしてまた、心臓の音がドクドクと私の中で鳴り響いていた。
END
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