僅かな君の本当の姿【菊丸夢】
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毎月一回ある頭髪検査。
っていっても、そこまで厳しくないし、見るのは髪の長さだけ。
こんなんで本当に頭髪検査なのか?
と思うくらい厳しくない。
俺はそんな頭髪検査を何よりも楽しみにしていた。
頭髪検査をすることが楽しみなんじゃなくて、頭髪検査の為にいつも髪を結んでるアノ子のゴムを取っている姿が見られるから。
髪がすごく長くて、サラサラしていて綺麗なのに、いつも髪を低めの位置で二つに結んでいる。
だけど髪を解いた彼女は、二つに結んでいた時よりもずっと大人っぽくて、…可愛い////
でも、そんな一時はあっという間に終わってしまう。
今日も頭髪検査の為にクラスごとに列に並ぶ。
女子と男子に分かれてそれぞれの先生の所へ髪を見せる。
女子の方は、髪が全体的に見えやすいように結んでいた髪を解く。
その中に、アノ子…名無しさんさんもいた。
「はい、合格!…次の人~!」
髪の短い俺たち男子は、すぐに終わって教室に戻っていく。
俺も終わって教室に戻ろうとする。
すると、ふわっとした長い綺麗な髪の名無しさんさんが俺とすれ違った。
「あ…」
すれ違った際にほのかにフローラルなシャンプーの香りがした。
「…いい香り……。」
しばらく遠ざかっていく名無しさんの後ろ姿を見つめたまま、立ちつくしてしまった。
教室に入ると、一番後ろにある名無しさんさんの席を無意識に見てしまう。
でも、予想した通り……
「あ、やっぱり…もう結んでる…。」
いつも俺が教室に戻ってきた時には、既に名無しさんさんは髪を結んでいた。
この前だって、名無しさんさんを追い抜かして先に教室に戻った時も、名無しさんさんが教室に入ってきた時にはもう結んであった。
名無しさんさんは歩きながら起用に髪を結んでいるみたい。
…何でなんだろう…?
そう思ったときには、俺はもう名無しさんさんの所にいた。
「どうしたの?菊丸くん。」
上目遣いで名無しさんさんが俺を見る。
「ねぇ…何でいつもすぐに髪を結んじゃうの?」
俺の唐突な質問に少しびっくりする名無しさんさん。
「あ~…人に髪を解いてる所、あんまり見られたくないの。」
苦笑しながら俺の質問に答える。
「何で!?名無しさんさん可愛いじゃん!!…あ……」
つい口走って俺が密かに思っていることをポロッと言ってしまった。
慌てて口を押さえても、もう遅かった。
「え……?」
名無しさんさんも目をパチパチさせて俺を見る。
そんな名無しさんさんの表情がみるみる赤くなっていく。
「あ……え~っと………俺、名無しさんさんのこと…好きだから……その…名無しさんさんの素顔がみたいな~なんて……//////」
うわ~!俺何言ってんだろう……/////
恥ずかしすぎてもう何言っちゃってんのかわかんないよ~~!!!
「…菊丸くん……//////」
名無しさんさんの顔がさっきよりも赤くなっていく。
うぅ~…止めて~!そんな目で見るなよ~~!
「ありがとう。菊丸くん!」
恥ずかしくて瞑っていた目を開けると、名無しさんさんが笑顔で俺に言った。
「…え……?」
一瞬わけがわからずしばらく名無しさんさんをじっと見る。
すると、後ろからポンッと誰かに肩を叩かれた。
「おめでとう!英二!」
振り返ると、相変わらずの笑顔で不二が立っていた。
「ふ、不二!?」
よく見ると、周りには頭髪検査から戻ってきたクラスメイトたちが一斉に俺たちを見ていた。
「…あ!!」
自分のことしか考えてなかったから、他に人がいることを忘れていた…。
「やるな~菊丸!」
「よく大勢の前で言えるよな~!」
「俺、名無しさんのこと狙ってたのにな!」
「よかったね!名無しさんさん!」
「幸せにしてもらうのよ!」
「二人共お似合いのカップルよ!」
気がつくと、クラスの男子や女子が俺たちを祝福している。
「も~~~!俺格好悪い~~!!//////」
「クスッ!」
顔を真っ赤にしながら頭を抱えている俺を見て、名無しさんさんはクスッと笑っていた。
END
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