あなたを振り向かせたくて【不二夢】
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僕が君に初めて会ったのは、卒業アルバム製作委員会の顔合わせの時だった。
君は2年生なのに真面目で、よく気が利く。
僕はだんだん君に惹かれていったけど、君は全然興味なさそう。
「不二先輩。資料、ここに置いておきますね!」
机の上に丁寧にファイリングしてある写真の資料を名無しさんさんが置いてくれた。
「ああ。ありがとう!…君は気が利くね!」
書き物をしていた手を止めて、名無しさんさんの方を見た。
「そんなことないです。普通ですよ。」
そう言って名無しさんさんは資料を整理しに行ってしまった。
「…あれ?…失敗しちゃったかな?」
こんな風に、いつも名無しさんさんを誉めて、少しでも好感度を上げようとしてるのに、本人は全く気づいていない。
なんとなくイスから立ち上がり、名無しさんさんの方へ行ってみた。
「どうしたんですか?不二先輩…何か足りない資料でもありましたか?」
資料を片手にチラッと僕の方を見た。
「いや…そういうわけじゃないんだけど……名無しさんさんって…可愛いよね?モテるでしょう?」
今度はどう返ってくるか……
「先輩。煽てても何も出てきませんよ?」
結構期待してた答えとは逆に、名無しさんさんは僕の方は一度も見ず、作業をしながら即答した。
「よし、終わった!…それじゃあ不二先輩、お先に失礼します。」
作業が終わった名無しさんさんは、足早に教室を出ていった。
「ん~…今の本気で言ったんだけどな~…。」
やっぱり名無しさんさんは一筋縄ではいかないな~。
そう思いながら、僕は残りの作業を進めた。
次の日の委員会でも、名無しさんさんはいつもと同じ調子。
僕が何度口説いても、サラッと返されてしまう。
やっぱり行動に出るしかない。
「名無しさんさん…いや、名無しさん…。」
今まで名字で呼んでいたのもやめて、名前で呼んでみた。
「な、なんですか?いきなり名前で呼ぶなんて……。」
名無しさんはびっくりした顔で目をパチパチさせる。
その瞬間を狙って……
ガバッ…
「えっ!?」
僕はびっくりしている名無しさんを、前から抱きしめた。
「僕がずっと君を想っていたことに、気づかなかった?」
そっと耳元で囁くと、名無しさんの体がビクッと跳ねた。
「僕、少しショックだったんだよ?…僕が何を言っても同じように返ってくるから…。」
「先…輩…?//////」
抱きしめていた名無しさんの体から、だんだん力がなくなってきた。
「僕、名無しさんのこと、好きだよ。」
名無しさんの顔を真っ直ぐに見つめて、改めて告白した。
「あ…え…と……わ、私で…よければ……////」
名無しさんの声が少し震えていた。
「ホントに?」
「は、はい…。その…私も…不二先輩のこと…好きですから……////」
名無しさんの口から出た言葉は、他のどんな言葉よりも嬉しかった。
…でも、少し気になることがあった。
「え…?じゃあ何で今まで素っ気なかったの…?」
僕が聞くと、淡々と言い出した。
「先輩、すごくモテるし…好きになったら後々自分が傷つくから、好きにならないようにしてたんです……でも、無理でした…。」
名無しさんはえへへと笑いながら説明していく。
「どうして」
「…だって先輩…私が好きにならないように頑張ってセーブしてたのに……先輩が…あんな恥ずかしいこと言うから…/////」
顔を赤くして俯く。
「恥ずかしいこと…?…ああ!」
自分が言ったことを思い出して名無しさんの耳元でまた囁いた。
「名無しさんって…可愛いよね?」
「っ!!!////////」
さっきよりさらに顔を赤くして僕を睨む。
「せ…先輩…!!/////」
「クスッ…さぁ、作業しようか!」
恥ずかしがる名無しさんを余所に作業に取りかかった。
「…も、もぉ~……/////」
名無しさんも渋々作業に取りかかる。
でも、名無しさんの顔は真っ赤のままだった。
END
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