for a long TiMe【桃城夢】
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『…そっか……。武くん、東京に行っちゃうんだ………。』
『ああ。東京にある青学に行って、日本一のパワーテニスプレイヤーになるんだ!!』
『…うん!頑張ってね、武くん!私、応援してるから!』
『おう!サンキューな!』
―私、ちゃんと笑えてるかな…?―
鹿児島第三小学校の卒業式まで残り僅か。
彼氏の武くんは、東京にあるテニスの名門、青春学園中等部を受験して、受かったみたい。
まだ付き合って半年も経ってないのに、もう何年も一緒にいたみたいに悲しくなる。
それだけ私が武くんのことが大好きだったことがわかる。
…正直寂しい。
でも、これから東京で頑張る武くんのためにも、精一杯明るく接した。
それから1年が経ち、私は中学二年生になった。
夏休みが始まる前、お父さんから転勤する話が出た。
場所は……東京…
私の頭に、武くんの笑顔が出てきた。
鹿児島での思い出もあるけど、それより武くんの方が強かった。
「…お父さん、お母さん、私…中学なら行きたいところがあるの!」
思い切って二人に言ってみた。
「あら、どこなの?」
お母さんが不思議そうにする。
「青学!」
「青学って、武くんが行った青春学園?」
「うん。」
二人ともびっくりして顔を見合わせている。
「…まぁ名無しさんの成績なら受かると思うが…。おっ!そうだ、不動峰なんかどうだ?セーラー服、可愛いぞ?」
娘の話を聞いていなかったんだろうか、私は半ば呆れながら言った。
「お父さん、青学もセーラー服だよ?……それに、私はどうしても青学に行きたいの!」
「…む…わ、わかった。じゃあ青学でいいんだな?」
「うん!」
大きく肯いたあと、部屋に戻った。
「今の内に勉強しとかなくちゃ!」
勉強はあんまり好きじゃないけど、武くんに会うと考えたら、嬉しかった。
それから1週間後、私は生まれ故郷である鹿児島を離れ、東京に向かった。
その5日後に青学の入試があり、数日後……見事合格した!!
「やった~!!武くんに会える!!」
喜びを隠せないまま家中を飛び回る。
「良かったわね。…そうそう、さっき学校から電話があってね、学校内を案内するから、次の月曜日に学校にいらっしゃいって。」
「ん、わかった~!」
お母さんが言ったことに大きく返事をした。
それから間もなく学校案内の日がやって来た。
先生に案内されながら学校内をぐるぐるまわる。
まだ夏休みなのに、部活をしている人たちがたくさんいる。
そしてテニスコートの横を通り過ぎた時…
「?……!!名無しさん?」
「…?」
僅かだけど、誰かに呼ばれた気がした。
そっと声がした方を向くと、そこにはずっと会いたかった私の彼氏、武くんがいた。
「…!!武くん?」
少し身体が大きくなってるけど、間違いなく武くんだった。
テニスの練習中だった武くんは、ラケットを持ったまま私の方に近づいてきた。
「お前!なんでここにいるんだよ!?」
武くんは驚きと喜びを隠せない表情で言った。
「お父さんの転勤で、東京に引っ越したの。そして私は二学期からここの生徒だよ!」
「ま、マジか!?」
「うん!」
武くんがすごく喜んでくれてる。
何だか照れくさい気もする。
…とそこへ……
「桃~!何やってんだよ~……って桃、その子誰??」
頬にバンソーコー付けた人が近づいてきた。
「あぁ、英二先輩…。こいつは…小学校の時からの彼女です…。」
「ええぇぇえ!!!桃の彼女ぉぉぉぉ!?!?!?」
すっごいびっくりした感じでその人が驚く。
「フシュ~~~~…桃城に彼女?」
「“桃城には小学校からの彼女がいた”…と……データが一つ増えた。」
「桃先輩に彼女って…信じられない……。」
……と次々にテニス部の人たちが近づいてくる。
「…え、えっと……。」
ちょっと怖くなって一歩下がった。
「ちょっ…何なんっスか先輩たち!俺に彼女がいたらそんなに珍しいっスか!?」
耳まで真っ赤にしながら武くんが言った。
私も顔が熱い……//////
「…と、とにかく名無しさん、部活、もう少しで終わるからよぉ…待っててくんねぇか?」
私に向き直って武くんが言った。
「うん!待ってる!」
私が返事をすると、武くんが部員たちにからかわれながら去って行った。
「青春ですね~。」
急に横から先生がしゃべりだした。
「後は桃城くんに任せましょう。…では、二学期から頑張ってくださいね?」
それだけ言ってどこかへ行ってしまった。
テニス部の部活が終わり、武くんが走って私の所まで来た。
「悪ぃ!んじゃ、帰るか!」
「うん!」
二人で並んで、交差点を歩く。
「…なんか久しぶりだね…こうやって二人で帰るの…/////」
「あ、ああ…だな?//////」
小学校の頃はもっと無邪気で、恥ずかしさは無かったけど、今はすごくドキドキする。
「…と、ところでよぉ…お前、なんで青学に行こうと思ったんだ?」
唐突な質問に少し驚いたけど、武くんの顔から眼を逸らして答えた。
「そ、それは……た、武くんに会いたかった…から/////」
「っ!/////…ほ、本当か…?」
「う、うん…////」
正直こんなにドキドキするとは思わなかった。
だって、武くん……かっこよくなってるんだもん…!!
「じゃあ、これからは毎日一緒だな!」
明るく、でも少し照れながら武くんが言う。
「そうだね!………武くん、大好き…。」
久しぶりに言う台詞。
「あぁ…俺も、名無しさんのこと、大好きだぜ。」
久しぶりに聞く台詞。
胸の中がはち切れそうなほどのドキドキ…
そんな想いを抱えながら、夕日の奇麗な帰り道を歩いた。
END
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