いつかあなたと…【手塚夢】
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雪の降る夜―
小学生の私はお父さんとお母さんに手を引かれて、隣町にあるイルミネーションを見に行った。
ゲートを潜ると、そこはまるで神秘の世界。
何万個の色とりどりの光が、見る人を圧倒させる。
…フと周りを見ると、若いカップルがたくさんいた。
手をつないで笑顔で歩いているカップル―
寒いからと言って後ろから男の人が抱きついているカップル―
見ているこっちが恥ずかしくなる…
お母さんは私に向かって笑顔で言い出した。
「名無しさん、キレイだね。」
「…うん。そうだね。」
私も笑顔を返した。
―私もいつか好きな人とここに行きたい―
初めてそう思ったのは、小4の時からだった…
それから5年が経ち、私は中学校を卒業する手前まできた。
半年前に男子テニス部の手塚国光くんと付き合いだした。
とてもかっこよくて、頭が良くて、私とつり合うのかな?なんて思ってたりもした。
でも、国光は滅多に見せない笑顔で“そんなことない”って言ってくれた。
そんな国光から昼ご飯の時間、こんな事を言われた。
「名無しさん。お前さえ良ければ、日曜日の夜に俺と行って欲しい所がある。」
「行って欲しい所?どこ?」
急に国光から言われたので内心ビックリした。
「…いや…それはまだ言えないのだが…。」
少し戸惑った様子の国光を不審に思いながらも、誘いをOKした。
「では日曜日、17時30分に駅前で待ち合わせだ。いいか?」
「うん!楽しみにしてるね!」
こうしてとうとう日曜日になった。
未だに国光は行き先を教えてくれない。
「…いったいどこに行くんだろう?」
期待を膨らませながら、お母さんに出掛けることを伝え、駅前まで行った。
駅前に行くと、もう国光は来ていた。
「時間ピッタリだ。では行くか。」
「う、うん。」
少し緊張しながら国光についていった。
バスに乗り3つ目の駅で降りた。
そこからしばらく歩く。
辺りはもう真っ暗なのに、私たちの進む方向に、たくさんの人が歩いていた。
「ねぇ、どこに行くの?」
「もうすぐ着く。」
そう言ってスタスタと歩く国光。
それから3分程歩いた所に、灯りが見えた。
「ここだ。」
国光が私を見て言う。
なんだか懐かしい風景。
しばらく立ちつくしていると、国光が声を掛けてくれた。
「どうした?名無しさん。」
「う、ううん!何でもない。入ろう!」
「ああ。」
入る為のチケットを買い、ゲートを潜った。
そこは、小学生の頃お父さんとお母さんと一緒に来た、あのイルミネーションだった。
「あ…」
もうすっかり忘れてしまっていたあの時の想いが、頭の中を駆け巡った。
「行くぞ、名無しさん。」
国光は私の手をとって順路に従って歩き出した。
小さな光が点いたり消えたりして、とても奇麗だった。
「キレイ…だね。」
「ああ。そうだな。」
歩きながらそう言う私たち。
ドキドキが止まらない。
私はある話を思い出した。
「…私ね、小学生の頃…一度だけ、お父さんとお母さんとここに来たことがあるの。」
国光は歩みを止める。
「本当か?…それはすまない…なら退屈だろう?」
心配して国光が私に問いかけた。
「ううん!そんなことないよ!…だって、私の夢が叶ったんだから…。」
下を向いて照れを隠す。
「夢?」
「…当時ここに来た時、今みたいに周りがカップルだらけで、お父さんとお母さんもイチャイチャしてて…」
あの当時を思い出しながら、ゆっくりと話す。
その間、国光が黙って私の話を聞いてくれた。
「それで私、思ったんだ…“私もいつか好きな人とここに行きたい”…って。」
国光の方を見ると、ほんの少し国光の顔が笑っているように見えた。
「そうだったのか。…お前の夢が叶ってよかったな。」
「うん!//////」
なんだか嬉しくて、寒いのも忘れてしまいそう。
繋いだ手が温かくて、とても心地が良い。
その手から、国光の愛が感じられた。
END
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