冷熱【跡部夢】
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氷帝学園中等部生徒会長 跡部景吾
テニス部のカリスマ部長で跡部財閥のおぼっちゃま。
その所為もあって、今では学園中の注目の的。
今日もホラ…あの人が通るだけで女子達の黄色い声が聞こえる。
うるさくて読書に集中できない…。
「うるさいな~…耳がキンキンする…」
「キャーーーちょっと名無しさん!!跡部様よ~!!」
私の斜め前の席にいる友達は、あの人の大ファン。
正直、なんで“様”付けで呼ぶのかが理解できない。
そりゃあ、あの人がここに来てから食堂や視聴覚室がすごく豪華になって使いやすくなった。
そこは感謝すべき所だけど…。
私にはやっぱり理解できない。
「さて!そろそろ生徒会室に行くね。」
読んでいた本をカバンにしまい、席を立った。
「いいよな~執行部は~…いつも跡部様と話せるし…。」
口をとがらせて文句を言う。
「なら、何で執行部に入らなかったの?」
「だって!!私…生徒会の決まりとかよくわかんないし…」
照れながら下をペロッと出す。
「はぁ~…じゃ、また明日ね!」
手だけ振って行こうとした時、彼女に呼び止められた。
「あっ!名無しさん!!ついでに、跡部様にサインもらってきて!!」
ふり返ると手を合わせて頼む姿が見えた。
「はいはい…一応頼んでみるよ…」
「やった~!!ありがと~!!」
パッと明るい顔になる友達の姿に、半ば呆れながらもその場を去った。
生徒会室に入れば、書き物をしている生徒会長。
私はそっと扉を閉め、ポットにお湯を入れ、紅茶を入れた。
この紅茶も、生徒会長が外国から取り寄せているらしい高級な紅茶。
…おぼっちゃまはインスタントの紅茶はお気に召しませんか…。
そう思いながらも、生徒会長に紅茶を差し出す。
「ご苦労様です。紅茶を入れましたので、飲んで下さい。」
「ああ、ありがとな。」
私がカップから手を離そうとしたとき、生徒会長の手が触れた。
「……。」
「あ…手、当たっちゃってすみません。…私は奥の部屋で書類の片付けをしているので、何かあれば声をかけて下さい。それでは失礼します。」
それだけ言って奥の部屋に入った。
「…フンッ…久しぶりに見た反応だな…。」
翌日、友達が寝坊をした所為で学校に遅刻しそうになった。
朝会が始まるまであと僅かな時間。
廊下をバタバタと走る私たち。
…とその時、私たちは同時に誰かにぶつかった。
「「キャッ」」
ボトッ
ぶつかった弾みで持っていたカバンが私の手から離れた。
「っ…何だ…気をつけろ。」
…そう、ぶつかった相手は生徒会長だった。
「あ…あああああの……その/////」
友達は顔中真っ赤にして生徒会長を見た。
「すみませんでした!!跡部様!!」
…顔はちっともそうは言ってないよ!
生徒会長はそんな友達に目もくれず、落ちた私のカバンを拾って差し出した。
「ほら…カバン落ちたぞ。…今度から、気をつけるんだな。」
そう言って、生徒会長は私の頭をポンッと叩いた。
「っ…すみませんでした。生徒会長…カバン、ありがとうございます。」
生徒会長は最後にフンッと笑って去っていった。
「信じらんない!!跡部様に会えるなんて!!」
「はいはい。よかったね。…早く行かないとホントに遅刻だよ?」
そして、またバタバタと廊下を走っていった。
それからと言うもの、私はよく生徒会長に会っている。
どっちかって言うと、私のいる所にいつもあの人がいる。
今日もそうだった。
「…またいるよ…もう何なの?」
図書室に入ろうとすると、生徒会長が見つかった。
相変わらず周りには女の子がたくさん…。
入るのを止めようとすると、後ろから生徒会長の声がした。
「おい、何逃げてんだ。アーン?」
「…どうしてあなたは私のいる所にいつもいるんですか?」
質問に質問を重ねる。
「フンッ…どうしてだかわからないのか?」
生徒会長が顔を近づけてくる。
そして…いきなりキスされた。
「っ……!」
『キャーーーうそ!?誰?あの子!!』
周りは悲鳴やら怒りやらで大変。
生徒会長の唇が離れたあと、私は思いっきり睨んだ。
「………あんた、ホント最低!!」
それだけ言って走り去った。
その日から、私はいろんな女の子からリンチを受けた。
「…もう絶えられない…」
そう呟いたあと、意を決して生徒会長のいる教室に行った。
「ちょっと来て!」
生徒会長のいる席まで行って、彼の腕を引っぱった。
周りからは怒りの視線。
私の所為じゃないのに!!
体育館裏まで来ると彼の腕を離した。
「お姫様直々に呼ばれるとは…で、用は何だ?」
自分のしたことも忘れたかのような物言いに、思いっきり怒りをぶつけた。
「あなた、あの日何したかわかってんの!?あの日以来、知らない女の子たちからリンチ受けてんのよ!?」
あの出来事が脳裏をかすめる。
「何だそんな事か…」
「何だって……それより、何でキスなんかしたのよ!?」
「それはな…」
また顔を近づけてくる…
「お前が好きだからに決まってんだろ?名無しさん…。」
…え?うそ…
「うそ、でしょ?」
突然の事に頭がついていかない。
「俺はうそは言わねぇよ。」
そう言われて、またあの時みたいにキスされた。
でも、全然嫌な気がしなかった。
…もしかしたら私、知らない間にこの人が好きになっていたのかもしれない。
「あ…私…/////」
顔が真っ赤になる。
まさか、絶対好きにはなれないと思っていた人を好きになるなんて…。
「…返事、聞いてねぇぞ。」
彼の優しい声…瞳…仕草…。
私は返事の代わりに、私から彼にキスをした。
翌日、彼は生徒朝会で全校生徒の前で、私と付き合っていることを暴露した。
女の子からは悲鳴と泣き声。
そして友達からは怖い目線で睨まれた。
「…景吾のバカ…///////」
END
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