消された字【リョーマ夢】
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もうすぐ演劇の大会。
私は青学の演劇部に所属している。
1年生の私は、この大会が初めての舞台。
1年生はキャストオーディションに参加できないのかと思ったら、そうでもない。
私もオーディションに参加して、見事!キャストに選ばれた。
先輩ほど台詞は無いけど、舞台に立つ場面は多い。
つまり、台詞がない所の演技をしなければならない。
夏休みからずっと練習してきて、あっと言う間に大会1ヶ月前になった。
顧問から最低10人以上に招待状を渡せ!と言われた。
女の子の友達はもちろんだけど、私の一番来て欲しい人は…。
同じクラスの越前リョーマ君。
テニス部のレギュラーで、すっごく強いの。
結構話すから、男子の中で一番仲がいい。
そんなリョーマ君に招待状を渡した。
「リョーマ君!暇なら絶対観に来てね!」
二コッと笑って言った。
すると…
「ヤダ。めんどくさい。」
…と返ってきた。
用事があるならまだしも、めんどくさいが理由って…。
「え~!!何その理由~!ひっど~い!」
頬を膨らませて言った。
「せっかく部活休みなのに外に出たくない。それに寒いし…。」
一言付け足して私から離れていった。
それからずっとリョーマ君を誘い続けた。
でもリョーマ君の答えはいつも“ヤダ”
リョーマ君に密に想いを寄せている私にとって、少しショックだった。
リョーマ君がOKしてくれないまま大会当日になった。
衣裳に着がえ、大道具もセッティングし終わり、私はドキドキしながら舞台そででスタンバイしていた。
「はぁ~…リョーマ君、結局来てくれなかったな~…。」
少しがっかりしてため息をついた。
すると、後ろからポンッと背中をたたかれた。
主役の先輩だった。
「大丈夫!出る前は緊張するけど、一度ライトに当たったら楽しいから!」
先輩は私を勇気づけてくれた。
きっと、私が初めての舞台で緊張しているから言ってくれたんだと思う。
「ありがとうございます。」
確かに緊張はしてる…。
…でも、一番来て欲しい人に来てもらえないなんて…。
「あっ!そろそろ幕が上がるよ!」
先輩が小声で言ってくれた。
…友達はいっぱい呼んだし…しょうがないよね…。
気持ちを切り替えて、幕が開くのを待った。
―そして、長いようで短い、私の初めての舞台が終わった―
次の日の朝、私は少し疲れた様子で学校に向かった。
「名無しさん~!劇、良かったよ~!!」
「ねぇねぇ!あの男の子役の先輩にサインもらってきて~!!」
観に来てくれた友達がいろいろ言ってくれた。
「ありがとう!…サイン、もらえたらもらってくるよ!」
一人一人に笑顔を向けて言った。
「名無しさん…。」
「えっ?」
急にリョーマ君に呼ばれた。
「これ…」
ポトッと私の机に紙を落とした。
「何?」
私が聞く前にリョーマ君は自分の席に着いてしまった。
紙を開いて読んでみた。
『ま、良かったんじゃない?』
と、紙の真ん中に書かれていた。
「あっ!そうそう!越前君も確か来てたわ!」
手紙をのぞき込んでいた友達が言い出した。
「え!?」
「名無しさん、しつこく呼んでたもんね~!」
そんな会話の中、一人ボーッとしている私。
―キーンコーンカーンコーン…―
チャイムが鳴り、友達が席についた。
先生が入ってきて、HRが始まった。
私はもう一度手紙を見た。
すると、よく見るとメッセージの下の方に、消しゴムで消されたような跡があった。
しっかり消されていて、遠くからは見えないけど、筆圧が濃いのか、シャーシンの跡がくっきり残っていた。
それは…
『名無しさんの演技、上手かった。』
…と書いてあった。
…リョーマ君、ちゃんと来てくれたんだ…。
改めて確信すると、胸が熱くなった。
HRが終わり、リョーマ君を呼び止めた。
「リョーマ君!」
「ん?」
「…ありがとう!」
ちょっと油断したら涙が出そう…。
「…別に…//////」
ほんの少し、リョーマ君の顔が赤くなるのだった。
END
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