高嶺の花【手塚夢】
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『キャー!!手塚く~ん!』
『こっち向いて~!!』
ここ青春学園中等部はテニスの名門校。
特に男子テニス部が強い。
それも、部長の手塚先輩が部員を引っぱってきたからここまで強くなれたんだと思う。
私は友達の##NAME2##と一緒に今日もフェンス越しに手塚先輩を見ていた。
「うわ~すっごーい!」
「ホントだね~!!」
二人して手塚先輩のテニスに見入っている。
キーンコーンカーンコーン…
するとチャイムが鳴り、男子テニス部は練習試合を止め、顧問の竜崎先生の所に集まった。
「あっ!私たちもそろそろ帰ろっか!」
「あ、うん。」
##NAME2##が私の手を引いて門へと向かった。
次の日の休けい時間。
##NAME2##が私の所に来た。
『昨日の男子テニス部の練習試合見た?』
『見た見た!!手塚先輩ちょーかっこいいよね!?』
周りの女子は昨日の手塚先輩のことでペチャクチャ話していた。
「手塚先輩、すごい人気なんだね~。」
「当然よ!!顔もかっこいいしテニスは上手いし!」
##NAME2##は人差し指を立てて言った。
「そうだよね!」
「でもさぁ、私たちがいくらキャーキャー言っても、手塚先輩にはただのギャラリーにしか見えないんだよね~。」
「えっ?」
急にそんなことを言い出した##NAME2##に思わず聞き返した。
「所詮私たちから見れば手塚先輩って“高嶺の花”なのよ…」
「あ…うん、そうだね…」
それを聞いた瞬間、胸がズキッとなった。
放課後の男子テニスコート。
フェンス越しにはたくさんのギャラリー。
その中に私たちはいた。
「やっぱりかっこいいよね~手塚先輩!」
「うん、そうだね…。」
「?どうしたの?名無しさん~」
「…何でもないよ!そろそろ帰ろう!」
「え?もう!?」
人ごみからぬけ出し、スタスタと歩いて行った。
##NAME2##も仕方ないというように私についてきた
手塚先輩を見られて嬉しいはずなのに、なんだか胸が痛い。
この気持ちは…何?
手塚先輩は頭もいいし、テニスも上手いし、カッコイイし、生徒会長だし…全てが完璧な人だ。
同じ空気を吸ってるし、同じ人間なのに、何だか手塚先輩が遠い存在に思えてくる。
それから何日か、男子テニス部の部活は見ていない。
…見たら、辛くなるから…。
##NAME2##にも何度か誘われたけど、いつも断った。
放課後になり、部活が始まる時間。
すると突然雨が降り出した。
折りたたみ傘を出して帰ろうとした時、目の前に手塚先輩の姿が見えた。
「あ…」
私の視線に気がついたのか、手塚先輩はふり返り、私の方を見た。
「?何だ?」
「あっ…!えっと…」
直接話すのは初めてなので、すごく緊張する。
「…お前は確か、部活を見ているやつか?」
「え…あ、はい!」
嘘…私のことなんて見えてないのかと思ってた!
「…お前の名前は…?」
「えっ!えっと…名無しさん…です…。」
手塚先輩に名前を聞かれるなんて思ってなかった!!
「…あー…俺と帰らないか…?」
「え!?」
手塚先輩と!?
「あの…いいんですか!?」
「あ、ああ…お前の話も聞きたい…。」
「は…はい…/////」
私の顔が真っ赤に染まっていく。
帰り道、クラスの女子の間での手塚先輩の人気など、いろんな事を話した。
「…でも友達に言われたんです。“手塚先輩は高嶺の花”だって…」
俯き元気をなくす私。
「…“高嶺の花”…か…。だがそれはお前にはあてはまらんな。」
「え?」
ボソッと言った手塚先輩に聞き返した。
「名無しさん…俺はお前を一目見たときから好きだった……」
「え!?」
今、何て…?好き?手塚先輩が!?私のことを!?
「じ、冗談は…」
「冗談でこんな事は言わん!」
私に被せて手塚先輩が言った。
「…俺は…こう言うのに奥手だから…いろいろ苦労はかけるかもしれんが…」
「……本当に私なんかでいいんですか?…手塚先輩なら、もっと素敵な人、いると思うのに…。」
「俺は名無しさんを好きになったんだ!…それでいいだろう?」
私の目をずっと見てる手塚先輩。
私は遂にその瞳に負け…
「はい…。」
と答えた。
それから、少しだけど手塚先輩の顔が緩んだ。
―よかった…―
―手塚先輩が完璧じゃなくて―
ほんの少しだけ、手塚先輩が近い存在に思えた。
END
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