伝えたい気持ち【河村夢】
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中間テストが終わった次の日、クラス全体はやりきったような表情で溢れかえっていた。
だが、名無しさんは違った。
青春学園高等部へ進学せず、他の高校を受験する名無しさんは、中間テストが終わっても気を抜かず、毎日勉強をしている。
それは彼氏の河村も気づいていた。
河村が名無しさんから進学しないことを聞いたのは、中間テストの2週間前だった。
名無しさんと河村が一緒に下校していると、名無しさんがフと言い出した。
「隆…私、高等部には進学しない…。」
「え!?」
河村は突然の事に驚いた。
「私、やりたいことがあるの。それを叶えるために…ね!」
遠い目をしながら語る。
「…そっか!頑張ってね!」
「…うん!ありがとう!」
河村は名無しさんに笑った後、少し寂しそうな顔をした。
それからずっと名無しさんはHRが終わると急いで一人で帰っていった。
HRが終わって、急いで帰ろうとする名無しさんを河村が呼び止めた。
「あっ!名無しさん!!…あのさ…今度の週末、遊びに行かないか?」
「え?……うん、いいよ。………じゃあ、また明日ね!!」
それだけ言うと、名無しさんは急いで帰っていった。
名無しさんを誘った日、河村は駅前で名無しさんを待った。
「…名無しさん、来てくれるかな?」
時計を気にしながら心配した。
その時、河村の方へ走ってくる姿が見えた。
名無しさんだ。
「ごめんね、遅くなって!…行こう。」
名無しさんの手には普通の女の子用のバッグと、恐らく勉強道具が入っているであろう手さげがあった。
「……うん。行こうか。」
少し手さげが気になったが、目的の場所へと二人は向かった。
着いた先はカラオケ屋さん。
部屋に入るなり河村はリモコンとマイクの準備、名無しさんは手さげから勉強道具を取り出し、勉強を始めた。
「え…名無しさん、歌わないの?」
困ったように河村が言った。
「あ~…いいよ隆、いっぱい歌って。」
河村と目も合わせずにノートと教科書をパラパラとめくった。
「う、うん……。」
仕方が無く河村は一人で歌った。
河村が4曲目を歌い終えると、チラッっと名無しさんの方を見た。
名無しさんは相変わらず習った所からまだ習っていない所まで予習復習をしていた。
河村は次の曲を入れた瞬間、名無しさんに言った。
「…名無しさん!…この曲、ちゃんと聴いててね。」
「え?う、うん。」
やっと河村の方を見た名無しさんは不思議そうな顔をした。
♪♪~♪~~~♪♪
Aメロ、Bメロと曲が過ぎていく。
そしてサビ…
「♪やっぱり 勉強ばっかしてちゃダメダメ! たまには息抜きしよう 勉強なんか今日はヤメヤメ! もっと楽しい事があるさ On The Radio♪」
サビを聴いた瞬間、名無しさんはハッとしたような顔をした。
曲が全部終わると、河村が名無しさんに言った。
「勉強もいいけど、俺は名無しさんの笑ってる所、楽しんでる所が見たいよ。」
河村は少し顔が赤くなった。
「…ごめんね、隆。隆の気持ち、全然分かってなかったね…ありがとう。…一緒に歌おう!!」
名無しさんは笑ってマイクを手に取った。
「あ、ありがとう。」
河村もマイクを持ち直し、二人で楽しい一日を過ごした。
END
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