恋人として【リョガリョ】



U-17の合宿を追放になったリョーマは、兄、もとい恋人のリョーガの誘いでアメリカ代表となった。

アメリカに着いてすぐ、最後の代表に選ばれるために次々に選抜候補を倒していった。






14人目のアメリカ代表となったリョーマはどんどん力をつけていき、今日も代表メンバーと打ち合いをしていた。

「お疲れ~リョーマ!」

「っ…!キコ…重い…」

リョーマにとってはほぼ軽い運動程度の試合を終えたリョーマの首元に、後ろからキコが腕を回して言った。

日本とは違い、スキンシップの激しいアメリカ。

だが更に激しいスキンシップをするものがここに。

「おいキコ。そいつは俺のだ。」

すぐさまキコからリョーマを剥がし、自分の元へ引き寄せる。

「ごめんごめん。でも、流石リョーガの弟だね!」

ウインクしてリョーガを見上げるキコ。

それに対してリョーガはニヤリと笑って言い放った。

「弟でもあるけど、俺たちは恋人だぜ?な?チビ助。」

「ちょ…!」

リョーマを無理矢理自分の方に向かせ、あろうことか公衆の面前でキスをした。

「ワーオ!」

リョーマの対戦相手だったドゥドゥがコートの反対側で驚きの声を上げる。

「そういうことはここでは慎みなさいと何度も言っているでしょう、リョーガ。」

腕を組んで見ていたラルフが呆れた様子で忠告する。

すっかりお馴染みとなったリョーマへの濃すぎるスキンシップ。

毎度毎度忠告するラルフとアラン、あまり反省の色を示さないリョーガ、囃し立てるキコ、ドゥドゥ、ロッキー、その様子を気にもせず練習に打ち込むマックスウェル。

リョーマがアメリカに来てからそんなに日が経っていないのに、この光景は日常茶飯事になっていた。

だが、いつものこの光景にたじろぎつつも、リョーマは一つの疑問を抱いていた。












ある夜、アメリカ代表宿舎脇のテニスコートで一人、リョーマが壁打ちをしていた。

そこに近付く一人の男。

「よぉ、チビ助。」

リョーガだ。

その声に壁打ちを止めて声の方を向く。

「毎日毎日、ホント真面目だなお前は。だが、その辺にしとけよ。」

リョーマの頭をポンと軽く叩いて溜め息を吐いた。

「ねぇ、一つ聞きたいんだけど。」

「あ?何だよ聞きたいことって。あ、言っとくけど真剣勝負はやんねぇぞ?」

余裕を見せるような表情で言うリョーガ。

何故だか南次郎を思い出させる表情だった。

「今日は…違う…。」

少し俯きながらボソッと言うリョーマに、リョーガはその顔を覗き込んだ。

「じゃあ何だよ。兄ちゃんに言ってみな?」

今にも唇が触れそうな程の距離で、リョーガの口許がニヤリと笑った。

リョーマは一呼吸置いて顔を数ミリリョーガに近付け…

チュ……

「っ…!」

突然触れた唇にビックリしてリョーガが一歩下がった。

驚いた表情も束の間、またニヤリと笑った。

「へぇ~。お前からキスしてくるなんて珍しいじゃねぇか。」

「何で…キス以上のことしてこないの?」

「あ?」

今度は怪訝そうな表情でリョーマを見るリョーガ。

よく表情がコロコロ変わるな。と思いつつも、リョーマは更に続けた。

「人前でキスしたり、耳とか…舐めたりする癖に…何で…」

「だってお前、まだガキだもん。」

リョーマに被せるように言うリョーガの声音は、いつもの真剣勝負しようと言われて断るそれと同じものだが、リョーマを見据える瞳は真剣そのものだった。

その瞳に少し怯むが、リョーマも負けじと続けた。

「俺だって何も知らないわけじゃない。その先のことぐらい知ってるし、恋人同士ならしたいって思う。」

「その先って…。お前それ一人で調べたのか?」

「いや…ロッキーから聞いた…。」

「あいつ…。余計なこと吹き込みやがって…。」

ロッキーを思い浮かべながら溜め息を吐くが、誰よりも二人の仲を面白がってた彼のことだ。

彼ならやりかねないと思いつつ苦笑した。

「とにかく、今は俺はお前とその先をする気はねぇよ。くだらねぇこと言ってないで、とっとと寝やがれ。背ぇ伸びねぇぞー、チビ助。」

リョーマに背を向けて立ち去ろうとするリョーガを、リョーマはすかさず追い掛けてリョーガの腕を掴んだ。

「逃げるの?」

そのリョーマの行動に若干のイラつきを覚えながらも、再び溜め息を吐く。

「そういうことじゃねぇよ。」

「じゃあ何?」

キッと睨むリョーマを一瞥したが、埒が明かないと思いリョーガはある行動に出た。

「…?…っ!」

突然リョーガは自分の方に抱き寄せ、リョーマの唇にキスをする。

いつものキスは強引さこそあるものの、優しさも混ざったキス。

だがこれは優しさ何て欠片もない、ただ奪うようなキス。

突然のことに戸惑うリョーマを他所に、リョーガは角度を変えてキスをしながら抱き寄せる腕に更に力を込めて、右手をリョーマの服の裾に手を入れ始めた。

「ちょ…!んっ!」

僅かに出来る息継ぎでリョーマは抵抗の言葉を口にしようとするが、それもすぐに抑えられてしまう。

「ぁ…!」

服の中をまさぐるリョーガの右手は、小さな突起に触れた。

その反応を見過ごすわけもなく、リョーガはつねったり擦ったりを繰り返す。

「やめ…ぅ…あ…っ」

「良い反応だな、チビ助。」

ニヤリと笑い、少し反応しているリョーマの自身をズボン越しに掴むと、ビクッと小さく跳ねた。

だがすぐにそこから手を離し、リョーガは自分の指を丁寧に舐めていった。

「…?」

硬く瞑っていた目を少し開けると、そこには普段のリョーガとは違う、獣が映っていた。

その姿にドキッとしているのも束の間、リョーガはリョーマのズボンをパンツごと下ろし、唾液で塗らされた指を硬く閉ざされた後ろの部分に持っていった。

「え…」

大きく見開くリョーマの瞳。

逃げようと捩るリョーマの体を、リョーガは片腕で器用に抑えた。

「キスの先、したかったんだろ?」

耳元で囁けば、身動いでいたリョーマの体はピタッと止まる。

「良い子だ。」

言いながらリョーガは指をまだ開いたことのないリョーマの後孔に突き刺した。

「ッ!!ぁ…や…ぃ…た!!」

ピリッとした痛みがリョーマを襲う。

逃げようにも、動けば動くほど中の指が動いて余計に苦痛を与えた。

反応していたリョーマの自身は既に主張を失っていた。

と、そこへ…

「そこまでです、リョーガ。それ以上の行為は、リョーマへの体の負担が大きすぎます。」

リョーガの後ろの方で、ピシャリと言う人物。

声の方を振り向くと、アランが腕組みをして立っていた。

その姿を確認したリョーガは、フッと笑ってリョーマを解放した。

ペタンと力なく腰を落とすリョーマに、アランの後ろで目を丸くしていたドゥドゥが駆け寄った。

「おい、大丈夫かリョーマ!」

「これでわかったかチビ助。これが大人のやることだよ。ガキのお前が、むやみにキス以上のことがしてぇなんて言うもんじゃないぜ。」

リョーガの声音には優しさはなく、冷たいものになっていた。

「っ……」

リョーマに背を向けて歩き出すリョーガに、ドゥドゥが声をかけた。

「リョーガ!リョーマはどうするんだよ!」

「そいつ多分立てねぇだろうから、悪いが部屋に運んどいてくれ。」

振り向くことなくドゥドゥに言いながらコートから出ていった。

「リョーガ。やりすぎです。あなたには場所を弁えろといつも言ってあったはずですが?」

アランの言葉を受け流すかのようにリョーガは手をヒラヒラとさせて言った。

「あれ以上する気はねぇよ。」

「では私たちが止める前のあなたの表情はどう説明しますか?今にも本気で襲いかかろうとしている、獣の目でしたよ。」

図星をつかれて一瞬立ち止まるが、またすぐに歩き出した。

「リョーマの小さな体ではあなたを受け入れるのに相当無理をさせてしまう。だから手を出さない。そうならきちんとリョーマに話してあげるべきでは?」

アランの忠告にドキリとした。

コートの端ではドゥドゥがリョーマを抱えて歩いている姿が見える。

リョーガはそれをチラッと見て小さくため息を吐いた。

「…人の気も知らねぇで…」

アランに言ったのか独り言なのか。

どちらとも取れない声音で呟き、宿舎まで戻っていった。


















ガサ…ガサ…

「ん……ん…?」

次の日、何かが自分にのし掛かる感覚で目が覚めたリョーガ。

目を開けるとそこには自分に跨がるリョーマがいた。

「これはどういうことだチビ助…」

寝起きの頭ではリョーマの行動が理解できない。

いや、寝起きでも理解できないだろう。

つい昨日の夜、自分の欲をさらけ出し、純粋な弟を辱しめ、怖がらせてしまった。

なのに何故今ここにその被害者がいるのだろうか。

「ドゥドゥから聞いた。アンタが思ってたこと、アンタが悩んでたこと。アンタが我慢してたこと。」

ドゥドゥは昨日、リョーマを部屋のベッドに運びに行く途中、ポツリと呟いた。



『リョーガにはリョーガの考えや思いがあるんだ。決してリョーマが子どもっぽいから何もしないわけじゃないぜ。でも、小さいからこそ、負担をかけさせたくなかっただけだ。その事は、理解してやってくれ。』








「みんなには全部お見通しだったってわけね…」

フッと笑って一人納得する。

「悪かったな、怖い思いさせて。」

上にのし掛かるリョーマの頭を軽くポンと叩く。

そしてそのまま優しく撫でた。

「俺こそ…アンタの気持ち知らなくて…ごめん…」

リョーガから少し目を逸らして小さく呟く。

「でも、昨日の今日でここにこうやって来るとは、お前も肝座ってんな。」

クスっと笑いながらリョーマに優しく口付ける。

「こうでもしないと、アンタ俺から逃げるでしょ?」

「よくわかってんじゃねぇか。」

アランだけでなく弟までにも図星をつかれ、軽く苦笑した。

「さて、そろそろそこ降りてくれねぇと、俺何するかわかんねぇぞ?」

少し上半身を起こしてリョーマの膝をポンポンと叩く。

「別に…いい…。」

大きな瞳がリョーガを捉える。

その瞳に一瞬呑まれそうになるが…

「バーカ。俺がどんな気持ちで耐えてんのか知ったばっかだろ?…第一、大会前にそんなことしたら、俺がアランやラインハートに殺される。」

その様子を想像して少し身をすくめるリョーガに、同じくリョーマも想像したのか、口元をニヤつかせた。

「それ見るのも面白いけどね。」

「冗談キツイぜ…」

カッカッカと笑うリョーガに釣られてリョーマもクスッと笑いながらリョーガの上から身を退かせた。

「リョーマ」

ベッドの上から降りるリョーマにふとリョーガが呼び止めた。

普段はチビ助のくせに、たまに呼ばれる自分の名前にドキッとして少し身構えた。

ゆっくり振り返ると、リョーガの整った顔が目の前にあって……

「好きだぜ、リョーマ」

チュ……

言葉のあとに軽く口付けられた。

「っ~~~~~//////」

慣れたはずのこういった行為も、不意を突かれれば顔を真っ赤にして何も言えなくなる。

それをわかってるかのように、リョーガはまたカッカッカと笑ってベッドから降りた。


















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