友達or恋人【不二菊】
「学級新聞?」
英二が目を丸くしてパチパチさせた。
どうやら3年6組の学級新聞に、友達紹介という内容で掲示するらしい。
同じテニス部で仲の良い英二と不二が、そのターゲットになった。
「良いけど、何か恥ずかしいにゃ~…」
頭をポリポリと掻いて苦笑した。
部活がオフの日の放課後、英二は学級係のクラスメイトと教室で二人になった。
Q.菊丸くんにとって、不二くんはどんな人ですか?
「う~ん…。気まずい時も、アイツならこう言うってわかるっていうか…そんな関係…?…まぁ、腐れ縁ってやつかな!」
ーなるほど。不二くんってどこかミステリアスなとこあるけど、菊丸くんにとってはそんな風に映ってるんだね。
「そうそう!普段ニコニコしてて、何考えてるかわかんないって思われ勝ちだけどね~!」
ー確かに、いつも何となく含みがある雰囲気だね。
Q.他にも、不二くんのギャップとかはありますか?
「あいつ、無口なようで意外にお喋りなんだよーん!」
ーえー!そんなイメージ全然ない!どんな話をするの?
「だいたいはテニスのことだけど、不二が大好きな激辛料理のこととか、あと、弟の話したりするかな?」
ー激辛って、テニス部全国大会応援限定購買パンでメニューになってたあれもそういえば不二くん発案だったね…。
「そうなんだよー!!絶対ふわふわオムレツのパンだと思ったのにー!」
ー自分もあれは衝撃でした…。
Q.逆に、不二くんの苦手なものはなんですか?
「酸っぱいものが苦手だって聞いたことあるにゃ~…。」
ー酢の物とかそういう類い?
「うん。乾がよく開発する乾汁、不二以外はみんなダウンするけど、みんなでボーリングに行った時の罰ゲームで飲まされた青酢はダメだった!」
ーなるほど…。不二くんにも苦手なものがあって、何だかホッとしたよ。
Q.菊丸くんが知ってる、不二くんの秘密はありますか?
「秘密か~…。あ!不二が使ってるカウンターのポーズは、鏡の前で練習してるらしいよ!」
ー想像したら、何だか可愛いね。
「でもこれはここだけの話にゃ!ぜーったい秘密だって言われたんだから!」
ー残念だけど、それは約束するよ。
この調子でしばらく英二は質問責めにあった。
だがこれは英二だけじゃない。
英二が質問を受ける前、不二も同じように学級新聞係の質問に答えていた。
Q.不二くんにとって、菊丸くんはどんな人ですか?
「英二って、お調子者だってみんな言うけど、意外と世話好きだし、マメでしっかり者なんだよ。」
ーそれは意外!いつも輪の中心になってみんなと遊んでるイメージだから…
「でしょ?部活でトラブルメーカーの後輩がいるから一緒になることもあるけど、基本的には世話を焼いてるかな?」
Q.他にも、菊丸くんのギャップとかはありますか?
「ん~…。悪いことを恐れて、訪れるかもしれないチャンスを見逃したりしてるんだ。」
ーそれはちょっと勿体ない気がするね。
「そうだね。見た目よりも慎重な一面もあるって所は、英二のギャップかな?」
Q.菊丸くんの苦手なものはなんですか?
「夜のトイレが苦手って言ってたよ。一人で行くのが怖いみたい。」
ーわかる気がする。何か出そう!って感じ。
「意外と怖がりだったりするんだよね。」
Q.不二くんが知ってる、菊丸くんの秘密はありますか?
「秘密って言って良いのかはわからないけど、英二の髪型の外ハネの角度でその日の調子が決まるんだって。」
ー外ハネの角度で?
「そう。外ハネが激しいとちょっと怒りっぽくて、緩いと気分が落ちてるんだよね。だからテニスでもそれが影響してて、よく大石に呆れられてるよ。」
ー何か想像つくよ。
「でも、これは内緒ね。英二に怒られちゃう。」
ーわかったよ。約束する。
二人が学級新聞の取材を受けてから数週間後。
教室の外にある学級掲示板に新たに貼り出されたものがある。
【学級新聞 友達紹介~不二周助君&菊丸英二君~】
放課後、部活に行くために教室を出た英二が足を止めた。
「英二、どうかした? 」
後から教室を出た不二が英二に歩み寄る。
「これ、俺たちが取材受けたやつじゃん?」
「え?…あぁ。本当だね。」
英二の見る方向を不二も見る。
「不二、何聞かれた?」
「英二とだいたい似たようなことかな?」
「だいたいってなんだよー!」
頬を膨らませて不二を少し睨んだ。
それを横目に不二はクスッと笑ってポツリと呟いた。
「でも、一つだけ違うことがあるね。」
「え、何々?!違うこと書かれてたの?」
「ここ。」
トントン…と掲示物のとある文章を指した。
『物静かな不二くんと、活発で明るい菊丸くん。一見正反対に見える彼らは同じテニス部という事もあり、友達、チームメイト、時にはライバルという枠で結ばれている。』
「この文章?」
目で追って読む英二の頭には?マークが浮かぶ。
「チームメイト、時にはライバルってことには変わりないけど…そもそも僕ら、“友達”じゃないしね。」
「っ!//////」
不二の一言に英二の心臓は跳ね上がり、みるみる顔を真っ赤にさせた。
「僕らは友達じゃなくて、”恋人“だからね。……英二、大好きだよ」
耳元で囁くと、余計に顔を真っ赤にさせて英二が抗議した。
「~~~~不二ぃ…!///////」
「さて、そろそろ部活行かないと、手塚にグランド何周させられるかわかんないよ。」
ゆでダコのように真っ赤になる英二をクスクスと笑いながら歩き出した。
「あ、後で覚えてろよー!////」
不二の後を追いかけて英二も歩き出した。
END