4時限目:音楽
キーンコーンカーンコーン……
チャイムが鳴ってもまだ音楽室にいない生徒が数名いた。
バタバタ…ガラガラ…
「あら、遅かったわね。」
にっこりと微笑んで音楽教師のセンリツが生徒たちに言った。
「いや…ちょっと前の授業の質問をしてて……。」
言い訳がましく下を向きながら言う。
「うふふ。嘘はダメよ。…あなたたちの心音、嘘の音をしているわ。」
笑顔のままで嘘を見破るセンリツに、下を向いていた生徒は一気に顔を上げた。
「す…すみません…!トイレで遊んでいて遅れました……。」
「いいわ。さぁ、席について。授業を始めましょう?」
素直に謝る生徒を笑顔で許すと、号令がかかった。
「姿勢…!礼!」
『お願いしまーす!』
「今日はこの前習った所をみんなで歌いましょう。…教科書25ページを開いてくれるかしら?」
号令が終わると、いつもの優しい口調で指示を出す。
「さぁ、みんなで歌ってみましょうか。みんな立って?」
ピアノの前に座って楽譜を開く。
みんな一斉に立ち、中には咳払いをして声を確認している生徒もいる。
センリツが前奏から綺麗な音色でピアノを弾いていく。
それに合わせてみんなが歌い始めた。
「♪♪♪♪♪~♪♪~~」
みんなが歌い出した瞬間、センリツがある異変に気づいた。
「?……キルアくん、もう少しオクターブを下げて歌ってみて?……ネオンちゃんはさっきの音をレの音からファの音に変えてみて。」
なんとピアノを弾きながら音の違っている生徒にアドバイスをしている。
恐ろしいほどの地獄耳だ。
歌が終わりセンリツがイスから立ち上がりながら言った。
「みんなとても綺麗な歌声ね。さっきアドバイスされた人はそこを直せばもっと素敵な歌になるわ。」
優しくアドバイスをするセンリツを、生徒たちは驚いた目で見つめる。
「もう何度も見てきたけど…やっぱりすごいね~。」
「ああ…いったいどんな耳してんだ?」
##NAME1##とキルアがこっそりと話す。
「キルアくん、##NAME1##ちゃん、静かにしてね?」
センリツが二人の方を向き、すぐさま注意する。
「…!…す、すみません……。」
「…すんません…」
二人が謝った時、ちょうど授業終了のチャイムが鳴った。
「じゃあ、今日はこれで終わりましょう。号令お願いできるかしら?」
「姿勢…!礼!」
『ありがとうございました!』
「あ~お腹空いた~~!」
「やっと飯かよ~~」
手伸びをしながらゴンたちは足早に返っていった。
続く